この春、映画ファン必見の話題作が勢ぞろい!旬の俳優たちが挑んだ最新作をインタビューとともにたっぷりご紹介。今回はコールマン・ドミンゴ主演最新作『シンシン/SING SING 』をピックアップ!(デジタル編集・スクリーン編集部)

CHECK POINT

画像: グレッグ・クウェダー監督(右)が本作を製作することになったきっかけとは?

グレッグ・クウェダー監督(右)が本作を製作することになったきっかけとは?

NYにあるシンシン刑務所の実話がベース

本作が生まれるきっかけになったのは、グレッグ・クウェダー監督が友人の映画製作を手伝っていた際に、アメリカの刑務所で行われている「芸術を通じての更生プログラム」、通称RTAを知ったこと。アメリカ国内において、収監後ふたたび刑務所に戻ってくる人の割合は60%を超えているが、RTAの卒業生が刑務所に戻ってくる割合は5%未満だった。この目覚ましい統計に監督は深い関心を抱き、リサーチを開始。そこから映画製作がスタートした。

主人公のモデルとなった人物がカメオ出演

コールマン・ドミンゴ演じる主人公のモデルとなったジョン・“ディヴァインG”・ホイットフィールドは本作に原案として参加。劇中でも描かれるように、彼は実際に小説や戯曲を執筆しており、そのうち数本が長年にわたってRTAで演じられている。また、本作にはカメオ出演も果たしており、ドミンゴ演じる“ディヴァインG”が食堂にいるところを訪れ、『Money Grip(原題)』初版にサインを頼む収監者役を演じている。

主要キャストの85%以上が元収監者や関係者

 本作の最大の魅力の一つは、主要キャストの85%以上が実際の元収監者や演劇プログラムの卒業生たちであること。監督は「キャストの大半は卒業生である必要がありました。才能ある人々がそこにいるとわかっていたからです」と語る。彼らの多くは映画やテレビ出演の経験こそないものの、シンシン刑務所などで長年舞台経験を積んできた。釈放されて10年が経つ者もいれば、数カ月の者もおり、それぞれの人生が映画にリアリティをもたらしている。

コールマン・ドミンゴ インタビュー

“芸術は私たちを救うパラシュートになり得る”、それは真実なんです

画像: Photo by Emma McIntyre/Getty Images for IMDb

Photo by Emma McIntyre/Getty Images for IMDb

──『シンシン/SING SING』の脚本に心を惹かれた理由を教えていただけますか。

「私は教育的演劇でキャリアを始めたんです。私たちは芸術プログラムをやっていて、地元の高校に訪問しては演技を行い、授業を少しやったものでした。芸術によって子どもたちに影響をあたえるんです。だから私はすでに理解できていました、芸術プログラムを最高警備刑務所に持ち込むというアイデアは革命的だと。そもそも彼らを刑務所に入れることになった制度に完璧に対抗することですよ」

──主人公を演じるにあたって、モデルとなったジョン・ホイットフィールド本人とはどんな話をしたのですか?

「彼を知ろうとして、ひたすら耳を傾けました。愉快な人だろうか、どんなものを食べているんだろうか、とね。彼は身体に取り入れるものについて、とても気を遣っていて、新兵訓練を経験した人とよく似ています。なにが正しくて、なにが悪いのか、すべての行動についてとても思慮深いんです。芸術を通した更生プログラム(RTA)に参加した人々に会うようになって、自分に必要なことがわかりました。刑務所での彼らの人生がどのようなものだったか知ることではなく、いまの彼らがどんな人で、プログラムが彼らのためにどう働いたかを知ることが大切だと」

──本作が観客に問いかけるものは何だと思いますか?

「これは勝利の、そしてもちろん決意の物語であり、そんな決意を打ち砕いた制度と戦うストーリーなんです。芸術監督のローデッサ・ジョーンズはこう言いました。“芸術は私たちみんなを救ってくれるパラシュートになり得る”。それはRTAの者たちにとってまさしく真実です。私たちは誰でも日々、より善くなり、より善い天使の元に行くために、自分でなにかを選んでいる。究極的には、それがこの作品で描かれていることです」

──もっとも感動的な場面の一つであるラストシーンはどのように生まれたのでしょうか?

「ラストシーンは脚本に書かれていましたが、私はそれに反対したんです。『いいや。言葉はいらない』と。すると撮影の直前に、グレッグ(監督)も『言葉はいらないようだね』と言うから、『ああ、頼む。なしで行こう。私たちは視線だけで演じられる』と答えました。もうひとりの男だけが、私がいま感じていることをわかっている。そんな彼は一言も発する必要がないんです」

『シンシン/SING SING 』
2025年4月11日(金)公開
アメリカ/2023/1時間47分/配給:ギャガ
監督:グレッグ・クウェダー
出演:コールマン・ドミンゴ、クラレンス・マクリン、ショーン・サン・ホセ、ポール・レイシー

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