本作は、『ディーパンの闘い』でカンヌ映画祭パルムドール、『ゴールデン・リバー』でヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞するなど世界で高く評価されているフランスの名匠ジャック・オーディアールが監督と脚本を担ったミュージカル・エンターテインメント。
出演は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで広く愛されているゾーイ・サルダナ、主演でカンヌ国際映画祭において、トランスジェンダーの俳優として初めて女優賞を受賞したカルラ・ソフィア・ガスコン、全米の若者から絶大な人気を誇るセレーナ・ゴメス、そして国際的に活躍するメキシコ出身のアドリアーナ・パス。
第77回カンヌ国際映画祭では、異例の4人でのアンサンブルでの女優賞、審査員賞のW受賞。ヨーロッパ映画賞でも主要5部門を総なめ、さらにゴールデングローブ賞でも最多4部門を受賞。そして第97回アカデミー賞では、同年度最多となる12部門13ノミネートを果たし、助演女優賞<ゾーイ・サルダナ>と歌曲賞の2部門でオスカーに輝いた。
作品との出会いを「すべてが特別に感じた」と振り返るゾーイ・サルダナ
今回到着した映像では、第82回ゴールデングローブ賞、第50回セザール賞など、数々の映画賞で助演女優賞を総なめにしたゾーイ・サルダナが、キャリア集大成となった本作への思いを熱く語っている。
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youtu.be初めて本作の脚本を読んだときのことを回想し「感想というより、感情が高まった。とても興奮した。異質な物語だけど身近に感じて、それでいて新鮮さもあった」と当時の興奮を語るサルダナ。「私にとってすべてが特別に感じた。まさにこんなプロジェクトを求めていたの」と、自身のキャリアにおいても特別な一作と感じたことをを打ち明けている。
また、「映画に国籍があるとすれば、本作はどこに属しますか?」という問いには、ズバリ「“humanity”(人間ね)」と回答。その理由を「もちろん舞台はメキシコだけど、私にとっては人間の物語のように感じたの。人々の変化の道のりが描かれている」と説明している。
サルダナが演じるのは、男性優位の社会の中で才能を搾取されてきた有能な女性弁護士リタ。物語は、彼女の元にメキシコ全土を恐怖に陥れていた麻薬カルテルのリーダー、マニタスから「女性としての新たな人生を用意してほしい」という驚くべき依頼が舞い込むことから始まる。
リタの完璧な計画が成功し、マニタスの性別適合手術は成功。それぞれに新たな人生を歩みだした数年後、マニタスがエミリア・ペレスとして再び彼女の前に現れたことで運命は大きく動き始める—―。エミリアをはじめ、抑圧された人生を過ごしてきた立場の違う4人の女性たちが、運命を切り開く一歩を踏み出す姿とその過程を、本作は克明に描き出していく。

ゾーイ・サルダナ
スペイン語を母国語に持つサルダナは本作でスペイン語の演技に挑戦。ドミニカ系アメリカ人俳優として初のアカデミー賞受賞の快挙を達成し、自らのルーツになぞらえた授賞式でのスピーチは感動を呼んだ。スペイン語で演じる機会について「アルゼンチンやメキシコ、カリブ諸島などのスペイン語圏の映画を見て育ったの。こうした作品にかかわりたかった」とかねてからの願いであったことを告白。
さらに、これまでのキャリアでダンサーとしても活躍してきたサルダナは、その経験は「人生に向き合う姿勢が形作られ、仕事の取り組み方にも活かされている」という。言葉通り、本作のミュージカルシーンでは華麗なダンスを披露。パーティ会場の中で圧倒的な身体性を駆使して縦横無尽に動き回るダンスとパワフルな歌声は、本作のハイライトの一つになっており、楽曲「El Mal」はアカデミー賞で歌曲賞を受賞した。彼女のこれまでのキャリア、そして人生そのものの集大成ともいえる演技に世界の注目が集まっている。
『エミリア・ペレス』
3月28日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
配給:ギャガ
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