新世代の恐怖映画をリードするロバート・エガース監督による新作『ノスフェラトゥ』が間もなく公開されますが、本作は約100年前に製作された『吸血鬼ノスフェラトゥ』へのエガースのオマージュが溢れた作品になっています。このように世代を超えて愛され続けてきた「吸血鬼映画」というジャンルの100年の流れを振り返ると、国境を越え、別ジャンルとの融合や正統派への回帰など様々な形を経て“永遠の命”を得た様子がわかります。(文・田中雄二/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『ノスフェラトゥ』より © 2024 Focus Features LLC. All rights reserved.

80年代以降も人気スターの出演などでヒット作品が続々登場

80年代は、デヴィッド・ボウイ、カトリーヌ・ドヌーヴの“美形吸血鬼”が話題となったトニー・スコット監督の『ハンガー』(83)、マチルダ・メイが宇宙から飛来した女形バンパイアを演じたトビー・フーパー監督のSF『スペースバンパイア』(85)、トム・ホランド監督のコメディ『フライトナイト』(85)、ティーン向けホラーコメディの『ロストボーイ』(87)などが製作された。

カトリーヌ・ドヌーヴとデヴィッド・ボウイ共演の『ハンガー』

SF映画と融合した『スペースバンパイア』

90年代には、フランシス・フォード・コッポラ監督がブラム・ストーカーの原作に忠実な『ドラキュラ』(92)を発表。トム・クルーズ、ブラッド・ピットらが吸血鬼を演じたニール・ジョーダン監督の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)とともに、永遠の命を得たが故に時のさまよい人となった吸血鬼の孤独を描いた。また、ロバート・ロドリゲス監督のアクションホラー『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)など、性や暴力の描写がより明確になった吸血鬼映画も増えた。

フランシス・フォード・コッポラ監督版『ドラキュラ』

トム・クルーズとブラッド・ピット共演の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』

00年代から現在にかけては、ロバート・パティンソン主演のロマンスファンタジー「トワイライト」シリーズ(08〜12)、スウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)、リンカーン大統領が吸血鬼ハンターだったとする『リンカーン/秘密の書』(12)、ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の『ダーク・シャドウ』(12)、ジム・ジャームッシュ監督の『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』(13)など、吸血鬼が登場する多種多様な映画が製作されてきた。そして今年、ついに吸血鬼ノスフェラトゥが復活する。

ロマンス映画の要素が強かった「トワイライト」シリーズ

評価が高かったスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女

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