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ヒュー・グラントからヒュー・グラントへーー【ロマンティック・コメディの帝王】から【技巧とユーモア溶け合う個性派】へ

2025-04-29

スクリーン編集部 @ SCREEN

最新作『異端者の家』では、「死ぬほど怖い」との声も挙がる怪演を魅せるヒュー・グラント。近年は悪役を中心にクセ強な役で大活躍中ですが、やっぱりロマコメ時代のヒューも素敵……。そこで今回は、個性派として光る現在に加えて、世界中をオトしたロマコメ時代、それぞれの側面からヒューの魅力に改めて迫ってみます！（文・大森さわこ／デジタル編集・スクリーン編集部）
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世界が恋する“ロマコメの帝王” から善悪の境界線が見えない個性派へ

世界が恋する“ロマコメの帝王” から善悪の境界線が見えない個性派へ

画像: Photo by Iris Schneider/Los Angeles Times via Getty Images — Photo by Iris Schneider/Los Angeles Times via Getty Images

Then：ロマコメで輝いた90年代当時

90年代のヒューは94年の『フォー・ウェディング』で急に大きな成功を得て、ハリウッドにも進出。95年にアメリカの路上で売春婦とワイセツ行為をして逮捕され、多くの人を驚かせた。当時の恋人だった女優のエリザベス・ハーレイは彼を許し、ふたりで製作プロダクションを作り、『恋するための３つのルール』（99）などを製作。彼女とは別れた後も友情が続く。99年に初来日した時は記者会見では気さくな顔を見せ、独特のユーモア感覚も発揮していた。

ワーキング・タイトルと共に“ときめき”で世界を席捲

ヒュー・グラントが日本のファンに最初の強烈な印象を残したのはジェームズ・アイヴォリー監督の文芸映画『モーリス』（87）。上流階級のゲイの青年役を好演して、ヴェネツィア映画祭の主演男優賞も獲得。しかし、その後、俳優としては伸び悩む。

そんな彼が生まれ変わるきっかけとなったのがロマンティック・コメディの『フォー・ウェディング』（94）。女性にモテるのに、本当に好きな女性には心からの愛を告白できない。そんな主人公役が好評を博して英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞の主演男優賞を獲得。ヒューの〈ロマンティック・コメディの帝王〉としての快進撃が始まる。『9か月』（95）ではハリウッドに進出し、ジュリアン・ムーアと共演した。

画像: ワーキング・タイトルと人気作を連発！『ノッティングヒルの恋人』（99） — ワーキング・タイトルと人気作を連発！『ノッティングヒルの恋人』（99）

画像1: ヒュー・グラントからヒュー・グラントへーー【ロマンティック・コメディの帝王】から【技巧とユーモア溶け合う個性派】へ

『ノッティングヒルの恋人』

Blu-ray：2,075 円（税込）
DVD：1,572 円（税込）
発売元：NBCユニバーサル・エンターテイメント

また、ヒューをスターにした『フォー・ウェディング』の製作プロダクション、ワーキング・タイトルとの新たなコンビ作『ノッティングヒルの恋人』（99）も、またまた大人気を博す（日本では25年にリバイバル上映も実現）。ヒューは旅行専門の書店のオーナー役。たまたま、店に立ち寄ったアメリカの人気女優と恋に落ちてしまう。当時、勢いに乗っていたハリウッドの人気スター、ジュリア・ロバーツとの共演も好感度が高く、日々、マスコミに追いかけられる花形女優とシャイな一般人との不器用な恋のゆくえが世界中をときめかせた。

オクテ男子からプレイボーイまで！英米のロマコメで大活躍

画像2: ヒュー・グラントからヒュー・グラントへーー【ロマンティック・コメディの帝王】から【技巧とユーモア溶け合う個性派】へ

『ブリジットジョーンズの日記』

U-NEXTにて配信中

ワーキング・タイトルとヒューの蜜月時代は、その後も続き、『ブリジット・ジョーンズの日記』（01）では素直な性格の主人公の心を乱すプレイボーイの編集長役。これがまたまた当たり役となり、その後の『ブリジット・ジョーンズの日記　きれそうなわたしの12か月』（04）や最新作『ブリジット・ジョーンズの日記　サイテー最高な私の今』（25）まで、２０年以上に渡って同じ役を好演し、軽妙なユーモアセンスを発揮。また、ワーキング・タイトル製作の群像劇の名作『ラブ・アクチュアリー』（03）では英国の若き首相役。『ノッティングヒルの恋人』同様、恋にはオクテな役で、秘書に恋する彼の言動にハラハラさせられつつ、応援したくなった。少しひねり技が入っていたのが人気作家ニック・ホーンビーの小説の映画化『アバウト・ア・ボーイ』（02）で、経済的に恵まれない少年とプレイボーイの男性との奇妙な交流を描き、笑いがありながらも、どこかホロリとさせられた。

画像3: ヒュー・グラントからヒュー・グラントへーー【ロマンティック・コメディの帝王】から【技巧とユーモア溶け合う個性派】へ

『アバウト・ア・ボーイ』

U-NEXTにて配信中

また、ハリウッドでは人気女優たちとの共演作が次々に作られた。サンドラ・ブロックとの共演作『トゥー・ウィークス・ノーティス』（02）では、社会活動に力を入れる弁護士のヒロインに興味を持つ不動産企業のCEO役。ドリュー・バリモアが新人の作詞家を演じる『ラブソングができるまで』（07）では、かつて人気を誇ったポップシンガーの役で、80年代風のビートにのったヒュー自身の歌声と腰ふりダンスに大笑い。また、サラ・ジェシカ・パーカー共演の『噂のモーガン夫妻』（09）は夫婦の危機を乗り越えようとする夫役を演じた。英国とハリウッドの両方で〈ロマコメの帝王〉として90年代から２０００年代まで大活躍を続ける。