カバー画像:『サンダーボルツ*』より ©2025 MARVEL

「サンダーボルツ」というチーム名が仮称の可能性も?(写真は『サンダーボルツ*』)
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PLAYBACK
意外と『アベンジャーズ』を観直しておくと面白いかも?
本作のメンバーから察するに予習しておくと良い作品をあげておきましょう。まずは『ブラック・ウィドウ』。エレーナ、レッド・ガーディアン、タスクマスターがデビューしたのはこの作品です。続いて『アントマン&ワスプ』。サンダーボルツのメンバーであるゴーストはこの作品のヴィランでした。そしてドラマ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」。バッキーとUSエージェント(ウォーカー)が知り合ったのはここです。
基本この3作で十分ですが、ヴァルは『ブラック・ウィドウ』にカメオ、そして「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」にも出ています。ただしヴァルというキャラのことをもっとよく知りたいなら『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』でしょうか? ヴァルの本性というか彼女のMCUにおけるスタンスがよくわかります。
また、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』においてバッキーが数シーン出てきます。この時、いまバッキーが政治の道でアメリカ政府と関わっていることが示唆されています。なおサンダーボルツのメンバーは6人でここに絡んでくるのがヴァル。最後はNYの戦いのよう。これは『アベンジャーズ』の初期メンバーが6人でニック・フューリーが裏にいて最後がNY決戦だった構造をなぞっており『アベンジャーズ』も見直しておくと面白いかもしれません。
と、予習作品をあげましたが、必ずしも過去作を観てなくても大丈夫かと思います。アベンジャーズが解散して、希望のヒーローが不在の時代。そこにエレーナ=元女スパイ、レッド・ガーディアン=元ロシアの超人兵士、ゴーストは特殊な体質を持つ、タスクマスターは特別な戦闘スキルを持つ、USエージェントはキャプテン・アメリカになり損ねた男、そしてバッキーは片腕がメカの元超人戦士等、過去になんかいろいろやらかして訳ありの面子が集められた、ということが理解できればOK(観ているうちにこういうことはわかるでしょう)。

なんとバッキーは政治の道に進んでいる(写真は『サンダーボルツ*』)
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元スパイのエレーナほか訳アリ面子、ということは覚えておこう(写真は『サンダーボルツ*』)
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KEYWORD
注釈? 弾痕? その意味は? 最注目のキーワード「*」を考察
本作においてもっとも注目したいキーワードは『サンダーボルツ*』というタイトルの「*」部分、つまりこのアスタリスクです。これが何を意味するのか? 文中に「*」が使われる時は “この文章や単語には注釈がつきます”みたいな意味です。では、サンダーボルツにいかなる注釈がつくのか?
一つは「今回はアベンジャーズが来られない(いない)のでこいつらが世界を救います」というエクスキューズとしての注釈。またはサンダーボルツというのは仮称です、みたいな意味。というのも予告でバッキーたちが自分たちのチームをサンダーボルツと呼ぶのが(呼ばれるのを)嫌がっているシーンがあります。だから名前が劇中変わって別の名前になるかも。いっそ彼らがアベンジャーズと呼ばれるのかもしれません。
また、このアスタリスクは銃痕のようにも見え、今回銃を使うヒーロー(バッキー、エレーナ、タスクマスター)も多いので銃撃アクションが多いということ、また、アスタリスクは6つの突起があるのでメンバー6人を指しているという可能性も。いずれにせよサンダーボルツというチーム名自体になんらかのミステリーがある?

銃を使うキャラも多め。「*」は弾痕を示している?(写真は『サンダーボルツ*』)
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そしてなんといってもサンダーボルツの面々が結局誰と戦っているか? この映画のメイン・ヴィランは誰か? です。予告等で、彼らがボブという人物と出会い、そして空を浮遊する魔人が人々を消していくという恐ろしいシーンがあります。コミックではボブはセントリーという超人になり、そして彼のダークサイドが覚醒してヴォイドと呼ばれるヴィランになります。従って恐ろしい空飛ぶ男はボブがヴォイドになったと解釈できる。このボブ=セントリーも超人血清で生まれたので、①ヴァルがアベンジャーズの代わりにアメリカを守る超人としてボブ=セントリーを密かに作り上げていた ②その彼が暴走してヴォイドになった ③その後始末のためバッキーを中心としたサンダーボルツが組織され派遣された、という展開でしょうか?

ボブ(右端)は何者なのか?要注目だ(写真は『サンダーボルツ*』)
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FUTURE
『サンダーボルツ*』以降のMCUはどうなっていく?
先日電撃的に発表になった『アベンジャーズ:ドゥームズデイ(原題)』のキャストをみるかぎり、『サンダーボルツ*』からバッキー、エレーナ、レッド・ガーディアン、USエージェント、ゴーストおよびボブが参加することは見えてきました。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』からはキャプテン・アメリカとファルコンが参戦。彼らはMCUにおけるメインの世界=神聖時間軸アース616の住人です。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』組も『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』に参加。またここに旧X−MEN映画のキャストも出演することがわかっています。ファンタスティック4とX−MENはそれぞれ別の世界観=マルチバースにおける別バース同士の関係でどちらもアース616とも違います。
つまり『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』には別バース同士の3つの世界からヒーローたちが集められている。それがロバート・ダウニーJr.演じるドクター・ドゥームと対峙する。コミックではドクター・ドゥームはファンタスティック4のメイン・ヴィランなので、まずは『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』でなんらかの形でお披露目でしょうか? こうした動きの中、ドラマ「デアデビル:ボーン・アゲイン」が大人気です。宇宙やマルチバースの秩序をかけた壮大な戦いの中、街の人々を守るヒーロー、デアデビル。いってみればストリート系のヒーローですね。こうしたキャラも『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』には関わって欲しいです。
さて、この原稿を書いている時にトム・ホランドのスパイダーマン映画第4弾のタイトルが『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』であると発表されました。同名のコミック(※)では様々なスパイダーマンの設定が一新され新たなピーターの物語が始まります。このスパイダーマンの物語が『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』を意識したマルチバース物なのかそれとも「デアデビル:ボーン・アゲイン」路線のストリート系かも気になるところです。

この面々が「アベンジャーズ」第5弾にも登場する(写真は『サンダーボルツ*』)
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※日本では「スパイダーマン: ブランニュー・デイ」の名で邦訳版が発売中。
より没入したいならまずはこの3作品
ゴーストの背景が明かされる『アントマン&ワスプ』(18)

『アントマン&ワスプ』ディズニープラスで見放題独占配信中
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『サンダーボルツ*』の面子のほとんどがMCUフェーズ4作品の出身ですが、彼女はフェーズ3映画『アントマン&ワスプ』に登場。ゴーストことエイヴァは研究所の事故に巻き込まれ、まさに幽霊(ゴースト)のように物質の間をすり抜ける身体になってしまう。その治療の鍵がアントマン映画でおなじみの量子世界にあるのです。
USエージェントの誕生を知るなら「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(21)

「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで独占配信中
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「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」ディズニープラスで独占配信中
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スティーブ・ロジャースが去った後、彼のバディだった2人にいかなる運命が待ち受けていたかを描きます。サム視点でみれば本作の続編が『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』であり、バッキ—に注目すれば『サンダーボルツ*』 もまたこの作品の続編です。USエージェントも本作がデビュー作となります。
サンダーボルツ*の半数は本作で初登場『ブラック・ウィドウ』(21)

『ブラック・ウィドウ』ディズニープラスで見放題独占配信中
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ブラック・ウィドウ/ナターシャの過去を描いた作品で、そこに彼女の“妹”で新たなウィドウとなるエレーナ、彼女の“父”でキャプテン・アメリカのライバルを自認するレッド・ガーディアン、そしてナターシャの過去の過ちから生まれたヴィラン、タスクマスターが絡んできます。女性アクション映画として見応え十分です。

『ブラック・ウィドウ』ディズニープラスで見放題独占配信中
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『サンダーボルツ*』
2025年5月2日(金)公開
アメリカ/2025年/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ジェイク・シュライアー
出演:フローレンス・ピュー、セバスチャン・スタン、デヴィッド・ハーバー、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ワイアット・ラッセル、ハナ・ジョン=カーメン、オルガ・キュリレンコ
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