Photo by Sebastien Vincent/Contour by Getty Images
純情キャラもダメ男も好演し演技力が知れ渡るように
バッキー/ウィンター・ソルジャー役としてMCU作品では『サンダーボルツ*』までカメオを含め計9本の映画、ドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」、声の出演で「ホワット・イフ…?」と、メインキャストの地位を築き、セバスチャン・スタンには多くのオファーが舞い込むようになった。その中でもアカデミー賞に絡んだ2本で、セバスチャンは対照的な役を好演する。日本でも大ヒットしたリドリー・スコット監督の『オデッセイ』(15)では、マット・デイモンの主人公とともに火星探査のミッションに臨む医師で生物学者役。チームにも献身的な、まっすぐで純情なキャラを共感度満点の演技を披露した。対して『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)では、フィギュアスケートのハーディング選手の元夫役で、彼女に暴力をふるい、ライバル襲撃事件も導く“ダメ男”に豹変。この話題を集めた2作で、セバスチャンの俳優としての魅力が知れ渡った。
好青年を演じた『オデッセイ』
ディズニープラスのスターで配信中©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
ワルい役でも演技力が光った『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』
『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』
Blu-ray:5,170円 (税込)
DVD:4,180円 (税込)
発売元: ショウゲート
販売元: ポニーキャニオン
©2017 AI Film Entertainment LLC. All Rights Reserved.
バッキー役を獲得した後のセバスチャンのキャリアを辿るうえで、意外な注目作が、2012年のミニシリーズ「ポリティカル・アニマルズ」(12)。シガニー・ウィーバーが演じる元ファーストレディ(大統領夫人)で国務長官の主人公の息子トーマス役で、麻薬に溺れ、自殺未遂事件も起こしたゲイの青年を熱演。母親が出馬する大統領選にも影響を与えるキーパーソンだが、偉大な親を持ち、苦悩を深めるゲイという役どころは、国の皇太子を演じたドラマ「Kings」(09)、建築家で大学教授の息子を演じた映画『アーキテクト(原題)』(06)と、セバスチャンの隠れた十八番。その演技力を信頼し、複雑な心情を任せたくなる作り手が多いのだろう。
隠れた注目作「ポリティカル・アニマルズ」
U-NEXTにて配信中 ©Warner Bros. Entertainment Inc.
ドラマ「Kings」(09)でのセバスチャン
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2024年はキャリアハイ!日本公開が待ち遠しい新作も!
2013年には、映画化もされた名戯曲「ピクニック」の再演でブロードウェイの主役も務め、長年の舞台経験も発揮。映画では、ベトナム戦争での米兵たちの真実を追求する『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』(19)で、名だたる名優たちを相手に主演を果たした。
堂々たる主演を務めた『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』
U-NEXTにて配信中 © 2019 LFM DISTRIBUTION, LLC
そして2024年、『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』がセバスチャンの新たな代表作となる。外見は本人に似ているとは言えない彼が、若き日の言動や仕草で現在のトランプを想起させる高難度のチャレンジに成功。映画の公開がトランプの大統領再選と重なり、セバスチャンの演技が注目されたのも、俳優としての“強運”かもしれない。
本作でオスカー候補に『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』
『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』
7月16日(水)発売
Blu-ray/5,500円(税込)
DVD/4,400円(税込)
発売元:キノフィルムズ/木下グループ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
© 2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
同じ年の『ア・ディファレント・マン(原題)』ではベルリン国際映画祭の男優賞に輝く。神経繊維腫症という難病ながら、俳優志望で顔の整形手術で別人に生まれ変わる主人公エドワードは、俳優の力量が試される役どころ。特殊メイクで挑んだ手術前の悲痛さと、術後の生き生きとしたシーンの演じ分けのギャップは、彼を長年見つめてきたファンには鳥肌モノ! 明らかにキャリアの頂点を迎えた2024年の後も、祖国ルーマニアの名匠、クリスティアン・ムンジウ監督の新作などが待機中で、MCUでのバッキー役を見守りつつ、セバスチャン・スタンの飽くなき意欲を応援し続けたい。

ベルリン国際映画祭で男優賞を受賞
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セバスチャン・スタン 主な出演作品
□『71フラグメンツ』(1994)
□「ロー&オーダー」(2003/ドラマ)
□『Tony n' Tina's Wedding(原題)』(2004)
□『紅門 −べにもん−』(2005)
□『The Architect(原題)』(2006)
□『レニー・ハーリン コベナント 幻魔降臨』(2006)
□『The Education of Charlie Banks(原題)』(2007)
□「ゴシップガール」(2007-12/ドラマ)
□『レイチェルの結婚』(2008)
□『愛とセックスとセレブリティ』(2009)
□「Kings」(2009/ドラマ)
□『ブラック・スワン』(2010)
□『オフロでGO!!!!! タイムマシンはジェット式』(2010)
□『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)
□『ファインド・アウト』(2012)
□『アパリション −悪霊−』(2012)
□「ワンス・アポン・ア・タイム」(2012-13/ドラマ)
□「ポリティカル・アニマルズ」(2012/ドラマ)
□「ラビリンス」(2012/ドラマ)
□『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)
□『ブロンズ! 私の銅メダル人生』(2015)
□『アントマン』(2015)
□『幸せをつかむ歌』(2015)
□『オデッセイ』(2015)
□『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)
□『ローガン・ラッキー』(2017)
□『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017)
□『I’m Not Here(原題)』(2017)
□『ブラックパンサー』(2018)
□『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)
□『ストレイ・ドッグ』(2018)
□『ずっとお城で暮らしてる』(2018)
□『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
□『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』(2019)
□『悪魔はいつもそこに』(2020)
□『マンデー』(2020)
□「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」(2021)
□「ホワット・イフ...?」(2021-23/アニメシリーズ)
□『355』(2022)
□『フレッシュ』(2022)
□「パム&トミー」(2022)
□『Sharper:騙す人』(2023)
□『ゴーステッド Ghosted』(2023)
□『ダム・マネー ウォール街を狙え』(2023)
□「Bupkis(原題)」(2023/ドラマ)
□『A Different Man(原題)』(2024)
□『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』(2024)
□『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(2025)
□『サンダーボルツ*』(2025)
□『Avengers: Doomsday(原題)』(2026)