宣教の為に2人のシスターが足を踏み入れてしまったのは、並外れた頭脳を持つ男が支配する、出口の見えない屋敷だった・・・。『ミッドサマー』や『LAMB/ラム』などのA24による脱出サイコ・スリラー『異端者の家』が、本日4月25日(金)より全国公開。監督を務めたのは、『クワイエット・プレイス』の脚本を手掛けたコンビ、スコット・ベック&ブライアン・ウッズ。この度、両名がSCREEN ONLINEのインタビューに応じ、A24との協業についてやキャスト陣について語ってくれた。

ヒュー・グラントは「チャーミングだけどダークでもある」

――⻑年温めていた企画ということですが、「宗教」や「信仰」というセンシティブなテーマで映画を作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

スコット・ベック監督(以降、ベック)「恐竜やモンスターやエイリアンが登場する、ストレートなホラー/スリラー映画の脚本や監督を務めてきて、本作ではよりパーソナルな内容を描きたかったんだ。本作の内容は、ブライアンと僕の何十年におよぶ友情から生まれたもので、人生について、そして僕たちが信じることと信じないこと、その理由について深く話し合ってきた結果でもある。怖さやスリラーの要素を背景に、僕たちがずっと考えを巡らし、あれこれ考察してきたテーマを描きたかったんだ」

画像: スコット・ベック監督(左端)、ブライアン・ウッズ監督(右端)

スコット・ベック監督(左端)、ブライアン・ウッズ監督(右端)

――ある種、挑戦的なテーマです。そんな中、今回A24というパートナーを得られたのは⼤きな助けになったのではないかと思いました。A24との協業で良かったことは何でしょうか。

ブライアン・ウッズ監督(以降、ウッズ)「A24は出てきた当時からずっとファンだった。昔の作品でいうと、ソフィア・コッポラ監督の『ブリングリング』には特に魅了された。エンターテインメント性がありつつ、映画作りやストーリーテリングに対する野心が感じられる、芸術性の高い作品を生み出してきた印象だ。常に最もハイレベルな技巧を用いている。だから、彼らと組むことは長年の夢だったし、本作に手を挙げてくれた時は本当に興奮した。彼ら以上のパートナーはいないと思うね。僕たちが観たくなるような作品を世に出しているスタジオが、僕たちの監督作に関わってくれたのはとても大きな意味がある」

――今回映画をリードしていくのが、リード役のヒュー・グラントです。『クラウド アトラス』を鑑賞されて以来、彼との仕事を熱望されていたそうですが、お⼆⼈が引き寄せられるヒューの魅⼒とは?

ベック「ヒューは様々なキャラクターを演じてきた。多くの人が知っているのは、チャーミングでウィットに富んでいる役だ。でもその下にはダークな側面が潜んでいると、常に僕たちは感じていた。そういう顔は、インタビューでもたまに見せている。自虐的だけど同時にチャーミングにもなり得るんだ。相手を楽しませつつ、緊張させることも可能だ。

ミスター・リードの配役を考えた時に、典型的な悪役を演じそうな役者の名前も挙がった。でもヒューに実際会ってみて、ミスター・リードは何事も楽しむタイプで、議論を交わす際もどこか生き生きとしているに違いないと考え始めるようになったんだ。実際、ヒューは、チャーミングだけどダークでもあり、彼をキャスティングすることにワクワクした。僕たちは常に、いつもとは違う“何か”を感じた時、その“何か”を追及することが好きなんだ。サプライズが好きだからね。ヒューをホラー映画に配役することは、多くの人にとってサプライズであり、みんなきっと映画を見に行ってくれるはずだと感じたんだ」

画像: リード(ヒュー・グラント)

リード(ヒュー・グラント)

――今回のヒュー・グラントは、知的でウィットに富んだ彼の話術を存分に魅せつつも、⼼の奥にドス⿊い何か、そして哀しみを感じさせる演技でした。リードのキャラクターを作っていく上で、ヒューとはどんなお話をされましたか。

ウッズ「彼は念入りに準備をするタイプなんだ。脚本を繰り返し読んで、理解ができなかったり、リズムがつかめないシーンやセリフにぶつかると、遠慮なく聞いてくる。だから、撮影前に何通ものメールのやり取りをしたし、話し合いも重ねた。あれは楽しかったね。“参考にした人物はいるのか”と聞かれたから、英国の無神論者であるクリストファー・ヒッチェンズやリチャード・ドーキンスを挙げて、方向性を示してあげたんだ。

カルトリーダーにも大いに影響を受けた。ネクセウムのキース・ラニエール、さらには米国では宗教として認識されているサイテントロジーの創設者、L・ロン・ハバードなどだ。ミスター・リードは、そのような多くの思想家や指導者がもとになっているから、それについてヒューともよく話し、彼はその情報をもとに役作りをしていった」

――モノポリー(「The Landlord's Game」) を 例に出し、宗教の説明をするシーンがとても印象的です。どのようにして思いついたのでしょうか。

ベック「特に宗教のような大きな概念を扱っている時、ビジュアルを用いて比較することが鍵となってくる。僕たちはビジュアルメディアを扱っているわけだしね。この映画では、古代の宗教を説明して対比させることに苦労した。僕たちは、観客が馴染みのあるポップカルチャーを挿入することが元々好きなんだ。

モノポリーは世界的に人気のあるボードゲームだから、入り口としては完璧だった。それにモノポリーも反復という歴史を辿ってきた。レディオヘッドとホリーズの曲も同様だ。だからアコーディオンのように広げて、様々な比較を見せられると思った。楽しめると同時に、観客が自らの信念を鑑みた時に、より明確に分かるようにね」

――ちなみにヒューが「スター・ウォーズ」のジャージャー・ビンクスのモノマネをするシーンは彼のアドリブだと海外のインタビューで読みました。本当でしょうか?

ウッズ「ジャージャー・ビンクスに関するセリフは脚本にあった。でもジャージャーの声のマネをするのはヒューのアイデアだった。ヒューとの撮影で楽しかったのは、すべてのテイクが異なるということだ。毎回、何か変えてくるんだ。同じセリフであっても、毎回違う形で役に入り込んでいるから、わずかな違いが出てくる。それは見ていて、本当に面白かったよ」

『異端者の家』全国公開中
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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