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youtu.beインドのムンバイで看護師をしているプラバと、年下の同僚のアヌ。⼆⼈はルームメイトとして⼀緒に暮らしているが、職場と⾃宅を往復するだけの真⾯⽬なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し⼼の距離があった。プラバは親が決めた相⼿と結婚したが、ドイツで仕事を⾒つけた夫から、もうずっと⾳沙汰がない。アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋⼈がいるが、親に知られたら⼤反対されることはわかっていた。そんな中、病院の⾷堂に勤めるパルヴァティが、⾼層ビル建築のために⽴ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、⼀⼈で⽣きていくというパルヴァティを村まで⾒送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、⼆⼈はそれぞれの⼈⽣を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する――。


本予告は、同僚のルームメイトのプラバとアヌが住む部屋に “差出⼈のない”プレゼントが届くシーンから始まる。送り主は、ドイツで仕事を⾒つけたあと、全く⾳沙汰が無いプラバの夫のようだ。
「最後に電話したのは︖」「1年以上前かしら」――。プラバは<冷たい炊飯器>を⼀⼈の夜に、黙って抱きしめることしかできない。
⼀⽅アヌも「⾒知らぬ⼈と結婚できるもの︖」「私には無理」――。奔放に恋愛を楽しみながらも、親から届くお⾒合い写真と周囲からの評判の間で葛藤。⽂化、宗教、階級、性別、数えきれない現実の壁にとらわれてままならない⼈⽣。
「運命から逃れられない」「幻想を信じないと気が変になる」そう呟きながらも、それでも必死に前を向き、ありのままに⽣きていこうとする⼆⼈。「⼈知れず私がどこかに消えても、誰も気づきやしない」「私たちがいるわ」―優しさに満ちた⾔葉と⼆⼈の⼼象を奏でるような⾳楽が多種多様に溢れる光と美しい⾊彩に包まれ、捉えられた映像となっている。


冒頭には、本作がカンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した際の審査員でもある、映画監督・是枝裕和から寄せられたコメントも。「カンヌ映画祭で出会い、本当は⾃分だけの宝物にしておきたいけど、こっそりお勧めします。傑作です」と称賛の声を寄せている。
インド映画として30年振りに第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部⾨⼊りを果たした『私たちが光と想うすべて』。グレタ・ガーウィグ監督を審査員⻑に、⽇本から審査員として参加した是枝裕和監督も、本作を絶賛︕パルム・ドールを受賞し、その後アカデミー賞作品賞を受賞した『ANORA アノーラ』、ほか『エミリア・ペレス』『サブスタンス』など、その年の注⽬作品となる強豪作品が多数出品された中、インド映画史上初のグランプリを獲得したほかゴールデン・グローブ賞など100以上の映画祭・映画賞にノミネートされ25以上の賞を受賞、オバマ元⼤統領の2024年のベスト10 に選ばれ、70か国以上での上映が決定するなど、世界中から⾼評価を獲得致。


なお、本作の監督を務めたムンバイ⽣まれの新鋭カパーリヤーが、最初にその稀有なる感性を世界に⾒つけられたのは、初の⻑編ドキュメンタリー映画『何も知らない夜』。2021年のカンヌ国際映画祭監督週間でベスト・ドキュメンタリー賞に当たるゴールデンアイ賞、2023年の⼭形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部⾨でロバート&フランシス・フラハティ賞(⼤賞)を受賞。鋭く政治的でありながら美しく詩的なハイブリッド作品と⾼評価を受け、ドキュメンタリーというジャンルの可能性を広げ、初の⻑編劇映画となった本作で、⾒事カンヌ国際映画祭グランプリを獲得︕光に満ちたやさしく淡い映像美、洗練されたサウンド、そして夢のように詩的で幻想的な世界観を紡ぎ出し、これまでのインド映画のイメージを⼀新、「ウォン・カーウァイを彷彿とさせる」と評判を呼び、シャーロット・ウェルズ監督(『aftersun/アフターサン』)、)セリーヌ・ソン監督(『パスト ライブス/再会』)など、30代の若⼿⼥性監督たちの作品が世界の映画祭で脚光を浴びる中、現在39歳のパヤル・カパーリヤー監督もまた、世界中から新たな才能として注⽬を集めている。


タイトルが⽰す通り、全編にわたって、多種多様な光がスクリーンから零れ落ちる本作。繫華街のネオン、スマートフォンのライト、朝の太陽と⼣陽、海の⽔⾯、そして彼⼥たちの瞳の輝きと⼼に灯された希望――世界中に光を届ける新たな傑作が、この夏、⽇本を照らし出す。
『私たちが光と想うすべて』
7月25日(金)よりロードショー
監督・脚本:パヤル・カパーリヤー
出演:カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
配給:セテラ・インターナショナル
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