この夏、公開される『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は恐竜映画の歴史に新たな1ページを加えてくれますが、今年はその恐竜映画の元祖といわれる『ロスト・ワールド』の公開から数えて100年目のメモリアル・イヤーです。『ジュラシック・パーク』が登場する以前も以後も映画ファンに愛されてきた恐竜映画にはどんな作品があるか、この100年の間に生まれた代表的な作品を探ってみましょう。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

初期の恐竜映画はストップモーション・アニメなどが主流

世界初の恐竜映画にして、当時革新的だったストップモーションの技術を最大限にいかし、観客の度肝を抜いた『ロスト・ワールド』が公開されたのは1925年。いまから100年前のことである。アーサー・コナン・ドイルの原作を映画化したサイレント時代のSFで、アマゾン奥地に生きていた恐竜たちの戦いが描かれ、いまでは何ということのないストップモーションアニメーションの技術だが、当時の観客は大興奮だったという。この特殊技術を編み出したのがウィリス・オブライエンで、本作の成功を機に、8年後あの『キング・コング』を作り出した。ここでもコングとティラノサウルスなど恐竜との戦いが大評判となり、30年代を代表するようなヒット映画になった。とはいえ、40年代にはあまり類似的な作品はなく石器時代を舞台にした『紀元前百万年』(40)では、オブライエンの技術は引き継がれず、本物のトカゲやワニ、イグアナなどを使って恐竜に仕立てていた。

50年代になってようやく登場したのが、『原子怪獣現わる』(53)。日本が誇る『ゴジラ』(翌54年公開)にも影響を与えたという名作だ。内容は核実験で現代に甦った恐竜が人類と戦うというもので、原作はレイ・ブラッドベリの短編「霧笛」。原子怪獣の名はリドサウルスで放射能の影響を受けた巨大モンスターという設定はこれが初だった。そしてこのリドサウルスの製作を担当したのがストップモーション・アニメの神様レイ・ハリーハウゼン。本作は彼の初期の傑作のひとつに数えられる。

この後、恐竜ならぬ巨大怪獣をメインに設定した『原始怪獣ドラゴドン』(56)『海獣ビヒモス』(59)『怪獣ゴルゴ』(61)などの知る人ぞ知る作品が生み出され、マニアックなファンに支持されるように。その間にジュール・ヴェルヌの小説「地底旅行」を映画化した『地底探検』(59)が製作されたが、地底で人間が遭遇する恐竜らしき巨大生物には『紀元前百万年』で起用された“トカゲ特撮”が使われている。続いて『ロスト・ワールド』を英リメイクした『失われた世界』(60)も公開されるが、こちらも特撮は“トカゲ特撮”が起用されていた。

1925年:『ロスト・ワールド』

画像: 『ロスト・ワールド』 Photo by Getty Images

『ロスト・ワールド』
Photo by Getty Images

恐竜映画のみならず特撮映画の元祖として知られる。ストップモーション・アニメの恐竜が当時はとても珍しく大ヒットした。

1933年:『キング・コング』

画像: 『キング・コング』 Photo by Getty Images

『キング・コング』
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謎の島に生息する巨猿キング・コングと太古の恐竜の決闘シーンなどが話題を呼び、今も怪物映画の古典として愛される作品。

1953年:『原子怪獣現わる』

画像: 『原子怪獣現わる』 Photo by Getty Images

『原子怪獣現わる』
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核実験によって氷原に現われた古代の巨大生物リドサウルスと人類の攻防を描く。後のモンスター映画に多大な影響を与えた。

1959年:『地底探検』

画像: 『地底探検』 Photo by Getty Images

『地底探検』
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地底に広がる異世界を探検する一行が恐竜のような生物に襲われたりしながら冒険を展開。J・ヴェルヌの原作を初めて映画化。

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