シリーズのファイナルを迎える『死霊館 最後の儀式』のキャストとスタッフの言葉をお届けします。長年このシリーズに携わってきた常連たちは、大きな感慨がある模様。一方初参加の若手俳優2人はフレッシュな感想を述べてくれました。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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ヴェラ・ファーミガ & パトリック・ウィルソン
(ロレイン&エドのウォーレン夫妻)

“このシリーズで成し遂げたことを誇りに思っているし、良い気持ちで締めくくれるわ(ファーミガ)

“「死霊館」ユニバースはどんな形であれ続いていってくれることを楽しみにしている(ウィルソン)

ヴェラ・ファーミガ Photo by GettyImages

パトリック・ウィルソン

──あなたたちが長年演じてきたロレインとエドが、こんなにも人々を惹きつける理由は何だと思いますか。

ヴェラ「ウォーレン夫妻は英雄的な行動や自己犠牲を信じさせてくれる人たち。思いやりを持ち、それぞれの持つ才能を人々のために使えば、この世界をもっと優しく愛に満ちた神聖な場所にできると示してくれる。私たちは彼らを理想的な形で演じているけれど、それは“愛の掟”の模範となるように描いているのだと思う」

パトリック「映画の中での彼らの描かれ方や、私たちの演じ方は、物語の暗さと良い意味でコントラストをなしている。事件によってドラマがどんどん重くて暗い方に向いていっても逆に夫妻の関係性は強固になる。そこにあるのは、英雄的で理想的で、愛に満ちた関係だ。2人が協力しあうことでそれらが成立する。つまり物語が暗くなるほど、そこに見出せる光も強くなる。愛情や軽妙なユーモア、化学反応が起きる瞬間……そうしたものが観客にとって“安全な場所”になっていく。“私たちの”ウォーレン夫妻は、そういう存在になったのだと思う」

──フィナーレとなる本作は夫妻の娘のジュディが重要な役になりますね。

パトリック「今度の事件に関わることになった最初の目標はジュディだ。今回は彼女が最優先事項になる。これまでの映画のように『仕方ないから助ける』のではなく、全く違う物語になるんだ。エドに関しては、彼の信仰心が揺らぐことはないが、心臓発作を起こした後、健康に対する不安はあるね。彼は娘の能力について本当に気づいていないようだが、もう一つの現実的な問題、つまりトニーのことだけど、そちらの方を心配している。古い価値観を持つ男だから、そこは実務的なんだ」

ヴェラ「これまでのシリーズ作品ではジュディは自分の能力を受け入れたことはなかった。でも今回は初めてその能力を探り、逃げないで向き合うことになる姿を描いているわ。思春期の娘を強い女性に育てるように“コーチ”してきた上に、霊能力に関しても“コーチ”が必要になる。ロレインはジュディに能力を抑え、遮断するように教えて来たけれど、今回はジュディ自身が初めてハンドルを握る。これまでずっと娘を守って来たロレインにとってこれが“最後の儀式”のようになるの。親なら誰でもわかるように、子供には必ず『失敗』や『失望』を経験させなければいけない時が来るもの。それを避け続ければ、勇気や根性、耐久力、回復力といったものは育たない。手離すことも親の役目なの」

──このシリーズがまだ続くような可能性を残したまま、物語を閉じてしまうことに関してはどういう気持ちを持っていますか。

パトリック「正直に言って、個人としてはまだ実感がわかないというところ。受け止めるのが難しいな。例えば2作目の『エンフィールド事件』で初登場したシスター・ヴァラクは、その時はメインのキャラクターではなかったのに、その後になって2本も映画が作られてヒットした。つまり次に何が起きるかなんて誰にもわからないということだ。だから『死霊館』ユニバースがどんな形であれ、続いていってくれることを楽しみにしているし、そうなると信じているんだ。もしかするとみんなが想像するような形じゃないかもしれないけど。ヴェラ、君はどう思う?」

ヴェラ「私はもう感謝の気持ちでいっぱい。これは本当に特別な体験だったし、私たち自身を誇りに思っているわ。そしてこのシリーズが成し遂げたことも誇りに思っている。良い気持ちで締めくくれるわ」 

ミア・トムリンソン(ジュディ)

“映画の中で付けているブレスレットは本物のジュディのものよ”

ミア・トムリンソン

「実際のジュディ・ウォーレンが撮影現場に来て、一緒にディナーにも行ったの。実在の彼女に会うことで、彼女がどんな人なのか、何を大切にしているかなどを取り入れ、それをキャラクターに反映してリアリティを出すことができたわ。私が演じたジュディはごく普通の人生を送りたいと願っている。トニーとの結婚、子供や自分の家庭を持つことを夢見ている。彼女の両親は悪魔の研究者であり、心霊現象を扱う職業だけど、彼女自身は本質的にとても怖がりで、その世界に深く関わることを避けている。それは本物のジュディも同じ。今回の映画ではジュディが女性として成長し、恐怖を克服してそれを力に変える姿が描かれている。俳優として大切なのは役の中に自分の一部を見つけ、それらを美しく融合させること。実在の人物を演じる場合、特に責任を感じる点ね。ちなみに映画の中で付けているブレスレットは本当のジュディのもの。私からのささやかな敬意の表明なの」

ベン・ハーディ(トニー)

“役作りが自分の父親とたくさん話をするきっかけになった”

ベン・ハーディ

「トニーはこの映画の中で“光”のような存在と思っているんだ。彼はこの世界に何が待っているかわかっていないからこそ、明るいエネルギーを放っている。また彼にとってこの物語はエドに対して自分はジュディに相応しい人間で、この世界で生きていけると証明する旅になる。実際のトニーに会えた時は撮影開始直前で、もう僕なりのトニーは出来上がっていたんだけど、彼と話をして小さな宝石のようなエピソードを拾って、それを演技に取り入れたりした。もちろんフィクションのトニーだけど。それに映画の舞台である80年代の音楽を調べるために、僕の父親とたくさんの話をして、父子の絆になったね。このシリーズが特別なのは、真実に根ざしているからなんだけど、信じるか信じないかは別としてこれらはメディアが報じた事件で、それを描くことで恐怖が一段階リアルになり、本当に怖くなる。だからこそ観客も僕自身もこのホラーシリーズに惹かれるんだと思う」

「死霊館」シリーズの仕掛け人たちの熱い思い

ジェームズ・ワン(製作/原案)

「最初の『死霊館』から確実に私は大きく成長してきた。あれからもう10年以上が経ち、私の周辺も大きく変わった。『死霊館』は映画作りにおけるキャリアの中でおそらく最もいとおしい思い出としてこれからも振り返るだろう。この映画こそが自分を常に望んでいた道へと導いてくれた作品だ。このシリーズ、ウォーレン夫妻の物語、そしてそれを映画として形にできたことに対し、感謝すべきことが本当にたくさんある。そして今回の『最後の儀式』で私たち全員の人生における非常に大きな一章をしめくくろうとしている」

ピーター・サフラン(製作)

「マイケル(チャヴェス)と私が繰り返し話していたのは、観客を心底怖がらせるだけじゃなくて、感情で泣かせる映画にしよう、ということだった。この10年で劇場用映画のハードルは確実に上がった。人間の本質に何らかの形で触れる作品でなくてはならない。私はいつもこう言っていた。『もし観客を怖がらせ、泣かせることもできれば、それは勝利だ』とね。マイケルはそれを心に刻んで美しい映画を作り上げたんだ」

マイケル・チャヴェス(監督/製作総指揮)

「私が『死霊館』ユニバースの一員になれたのは本当に幸運の一言。この素晴らしい経験、一緒に仕事をした友人たちに別れを告げるのは感傷的な出来事だった。特にヴェラとパトリックはシリーズの心であり、魂だった。私たちは観客が期待する恐怖を届けつつもこの物語を最適な形で終わらせるために、重みがあり、感情的な厚みが感じられるような、登場人物たちに相応しい結末を目指し、そしてさらに大きなスケールを追求したんだ」

左から、ジェームズ・ワン、マイケル・チャヴェス、ピーター・サフラン

『死霊館 最後の儀式』
2025年10月17日(金)公開
アメリカ/2025年/2時間15分/ワーナー・ブラザース映画配給
監督/マイケル・チャヴェス
出演/ヴェラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、ミア・トムリンソン、ベン・ハーディ

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