カバー画像:『13日の金曜日 PART3』より © 2025 Paramount Pictures, All Rights Reserved. UNDER LICENSE FROM PARAMOUNT HOME ENTERTAINMENT INC
ジェイソンの生き様を一旦おさらい!
ホッケーマスクに至るまで ─ ジェイソン進化録 ─
ホッケーマスクが定着したのは3作目から
スラッシャー映画の元祖とも評される1980年の『13日の金曜日』。このタイトルを聞くと、今やアイコンと化したホッケーマスクの殺人鬼ジェイソン・ボーヒーズを連想するのは当然だ。しかし、ここでいったん、彼の歩みを整理してみよう。そもそも、この記念すべき第1作の殺人鬼は彼ではなく、彼の母親パメラ。この時点では、ジェイソンはクリスタル湖で起きた事故により11歳で死亡した……とされている。クリスタル湖の若きキャンプ監視員がセックスに夢中になり、監視がおろそかになったことで息子が死んだと、パメラは思い込み、それが許せずキャンプ場で奔放にはしゃぐ若者たちを惨殺したというわけだ。
ところが2作目では、死んだと思われたジェイソンが、生きていたことが判明! ここでジェイソンは晴れて殺人鬼デビューを果たす。目的は、前作で殺された母パメラの復讐。しかし、この時点ではジェイソンはホッケーマスクではなく、布袋のようなものを被っている。ホッケーマスクが定着したのは3作目以降。彼が顔を隠す理由は、顔面に先天的な損傷があり、そこにコンプレックスを抱いているからとされている。
2作目では左眼部分に穴の空いた布袋を頭に被り殺人鬼デビュー!
4作目でジェイソンはいったん葬られ、5作目こそ模倣犯の犯行が描かれたが、6作目では雷に打たれたことでフランケンシュタインの怪物のごとく新たな生を受ける。こうなると向かうところ敵なし。不死身の体を得てやりたい放題となるのだが、そんなトゥーマッチ感がジェイソンの最凶キャラを際立たせたのは想像に難くない。もちろん、“いつまでこのシリーズ、続くの?”という冷笑反応もあったが、それはジェイソンというキャラが広く認識されたことの証明でもある。
原点はもちろん大傑作の1作目だ。ここでのジェイソンの登場シーンはラストのほんの一瞬で、ヒロインの悪夢の中で、湖中から不意に11歳の彼が姿を現わすが、これをもっとも怖い場面として記憶しているファンは少なくない。そんな初期衝動こそが、ジェイソンを真のホラーアイコンと認識させる所以なのではないだろうか。
どうして『13日の金曜日』というタイトルに?
当初の脚本には「A Long Night at Camp Blood(キャンプ・ブラッドの長い夜)」というタイトルが付けられていたが、第1作の監督でシリーズの生みの親ショーン・S・カニンガムはインパクトを求めて『13日の金曜日』に改題。それはキリストが磔刑に処された日ということから、欧米では不吉とされる日。映画では6月13日の金曜日に、若者たちがキャンプ場に入るが、この日でなければ彼らは殺されることもなかった!? ちなみに9作目以降はジェイソンのキャラクター権と映画化権がパラマウントから他社に売られるが、タイトルの権利だけはパラマウントが保持し続けたため、原題に「Friday the 13th」の文字は入っていない。
特殊メイクの神!トム・サヴィーニの存在
特殊メイクの才人トム・サヴィーニを抜きにして『13日の金曜日』は語れない。『ゾンビ』などのジョージ・A・ロメロ監督作品で名を上げた彼はシリーズ1作目で数々の衝撃的な惨殺シーンを作り上げ、多大な貢献を果たした。この仕事が高く評価されたことからサヴィーニは引っ張りだことなり、一度はシリーズから離れるが、ジェイソンが死ぬ4作目で復帰。監督のジョセフ・ジトーは『ローズマリー』(81)で一度サヴィーニと組んだことがあり、それが縁となった。そもそも1作目でジェイソンを作り出したのはサヴィーニなので、“死化粧”を施すには適役だったのかもしれない。
▼1作目で若きジェイソンを演じたアリ・レーマンに特殊メイクを施すトム・サヴィーニ
トム・サヴィーニのInstagram(@thetomsavini)より