「オッドタクシー」タッグが贈る、“⼤逆転”に⼈⽣を賭けた、ある男の愛の物語。映画『ホウセンカ』にて、生まれたてと死にかけの人間だけが声を聞くことができる喋るホウセンカの声をピエール瀧が担当。物語の軸を担う不思議な役を一定の距離感と独特な解釈でアプローチする様子が窺えた。
(撮影/久保田司 取材・文/柳真樹子)
画像1: 喋るホウセンカは何をイメージ?
ピエール瀧『ホウセンカ』インタビュー

――タイトルにもなっている、喋る「ホウセンカ」の声を担当すると聞いた時の心境は?

マネージャーから「喋るホウセンカの役がきました」と聞いて、「何を言っとんの?」という(笑)。まず、どういうことだ?と思ったのがシンプルな最初の感想ですね。

――ご説明を受けたり脚本を読まれて、改めてホウセンカという役の対しての感想は?

脚本を読んで、渋い話だなと思いました。ただ、脚本と企画書をいただいた時は、まだ各キャラクターのビジュアルができていなくて。この作品をアニメでやることの想像ができませんでした。

――ビジュアルがない状態で、よく声のイメージができましたね。

僕から「声のパターンがいくつかあると思うんです」と話しました。達観したようなキャラクター、刺さるようなセリフを割と吐く、などをヒントにしました。渋い声で喋る、達観した仙人みたいなもの、宇宙人が喋っているイメージ、あとは可愛らしいキャラクター的な感じ……とか、いくつか声を出して「どれですかね?」と相談しました。あまり監督からは明確な指定はなかったですね。

――普段の声より高くて軽快な感じがしました。

「記憶が受け継がれる」とか、すごく高次元の生物みたいなことをホウセンカが言うじゃないですか。プリミティブにも聞こえるけど、なんか高次元なところからの言葉のような気もするので、そういうことをすっと言えるのは宇宙人っぽい。なので、高くて可愛らしい要素の声かなと。ホウセンカ自体がもともと小さな植物なので、おっさんの野太い声じゃないなとは思ったので、結果として宇宙人をイメージした、高めの可愛いらしい声に落ち着きました。

――やっぱり、昔から富士山とかケンタウロスとか、人間以外のものをやられてきて、声も色んなパターンをお持ちなんですね!

そちらが思ってらっしゃるようなことは全然ないです(笑)。この作品はホウセンカ以外は割とオーソドックスに進んでいく展開なので、ホウセンカだけが異色な存在です。それがある種、肝ではあるのでしょうけど、だからといってキャラクターを強く出しすぎると世界観を壊すので非常に難しい落としどころでした。クセが出すぎず、ひっこめすぎず、ちょうどよいキャラクター感になるのは宇宙人という結論でした。

画像2: 喋るホウセンカは何をイメージ?
ピエール瀧『ホウセンカ』インタビュー
画像3: 喋るホウセンカは何をイメージ?
ピエール瀧『ホウセンカ』インタビュー

――声の収録は、ほぼ小林さんとお二人だったとか。

小林さんとサシでお仕事するのは初めてだったので、非常に光栄であり、どんな感じなのかなと楽しみでした。僕が小林さんのようなキャリアの方に何か言うのも失礼ですが、「小林さんアフレコやったことあるのかな?」と勝手ながら心配して。「こういうときはこうするんですよ」と先輩風を吹かせていたら、途中で「あ、この人、ジブリ作品やってる!」って気づきました(笑)。

――(笑)。

作品が仕上がったのを観ると、阿久津の息遣いとか、死ぬ間際のしんどそうなところや吐息が一発で作れるのは凄いですね。

――オフィシャルコメントで、小林さんが「収録後にピエールくんが歩いて帰ったと聞いた。彼なりのクールダウンかな」とおっしゃってました。その辺はどうだったんです?

最近、仕事だったり友人との食事会とか、色んな所に行きますが、出先から家まで歩いて帰ることを趣味にしているんです(笑)。

――それはどんなに遠くても?

いちばん遠くて3時間半くらいかけて家まで歩きました。このアフレコの時も赤坂から歩いて帰ったんです。いつもとは違う道を歩いて……だから、阿久津みたいなもんですよね(笑)。

――ほんとだ(笑)。

だいたい幹線道路を歩いて帰れば間違いないですが、毎回、同じ道を歩いても面白くないんで。「この角を曲がったら、その先はどうなってるんだろう」とか考えながら帰るのを趣味にしています。疲れたらタクシーに乗っちゃえばいいので。このアフレコの後もそうしながら帰ったので、小林さんにはクールダウンとおっしゃっていただいたのはありがたいのですが、完全に切り替えてました(笑)。

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