「DEATH STRANDING」アニメ&実写化!
ファンにとって最大のサプライズとなったのが、「DEATH STRANDING」関連の映像化プロジェクト。劇場アニメーション作品『DEATH STRANDING MOSQUITO』の制作が発表され、会場をどよめかせた。

小島監督、宮本浩史
監督は「プリキュア」劇場版シリーズを手掛けてきた宮本浩史、脚本には『プリズナーズ』で知られるアーロン・グジコウスキーを迎え、ABCアニメーションとProduction I.Gがタッグを組む。原作の独自の世界観をアニメならではの表現で掘り下げることが期待される。
さらに、A24とマイケル・サルノスキ監督による「DEATH STRANDING」実写映画版もいよいよ本格始動。監督・脚本を務めるマイケル・サルノスキ、さらにA24製作・買付部門の共同代表サム・ハンソンも登壇した。

マイケル・サルノスキ監督
サルノスキ監督は「『クワイエット・プレイス:DAY 1』のあとということで正直かなり緊張していたんです。でも、小島さんにお会いして直接お話をさせていただき、さらにA24の皆さんとも意見を交わすうちに、想像以上に自由度が与えられることがわかって、すごく安心しました。
小島さんは真のアーティストでありながら、他のアーティストを支援したいという強い想いを持っています。そんな小島さんからこのチャンスをいただけたことを本当に光栄に思っています。今作ではゲームをプレイしたことがない人にも、ゲームを愛する人にも、新しい物語を届けられたらと思っています」と率直な思いをコメント。
一方、小島監督自身も「世界一クリエイターを大切にして、意見を尊重してくれるA24とやりたかったということと、脚本と監督ができる人に任せたかった。そこで、『PIG/ピッグ』を観て以来ずっと注目していたマイケルさんにお願いすることになりました」と今回の映画化への強い想いを明かした。
巨匠たちが語る「エンターテインメントの未来」

押井守、ギレルモ・デル・トロ、ジョージ・ミラー、小島秀夫、ジェフ・キーリー
続けて10周年イベントのハイライトのひとつとなったのが、映画・アニメ界を代表するクリエイターたちによるスペシャルトークセッションだ。
壇上に並んだのは、小島秀夫監督をはじめ、「マッドマックス」シリーズのジョージ・ミラー監督、『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督、そして押井守監督という錚々たる顔ぶれ。司会を務めたのは「The Game Awards」の創設者で知られるジェフ・キーリーが務め、まさに世界規模で注目される顔ぶれが揃った。
小島監督はエンターテインメントの未来について「映画や小説、アニメ、ゲームといった既存の表現はこれからも残っていく」と前置きしつつ、「音楽も映画もゲームもテキストもすべてがデジタル化され、今やスマホやタブレットひとつで享受できる」と現状を指摘した。
そのうえで「これまでバラバラに存在していたものは、やがて融合していくはず。映画とゲームの亜種のような、誰も見たことのない新しいエンターテインメントが生まれる」と展望を語る。
またAIの進化によって「莫大な予算や長い制作期間を必要としていたものづくりも効率化され、個性的な表現が主流になっていく」とし、これからのエンターテインメントの可能性に期待を寄せた。

ギレルモ・デル・トロ監督
デル・トロ監督は、テクノロジーとの関わり方について、「技術に完全に投降するのではなく、なにかそれをうまく取り入れて自分のものにしていく」という姿勢を示し、その上で「やはりこの人間の精神のようなものを再び見つけねばならない」と強調。
監督が描く未来とは、テクノロジーが巨大な力を持つ時代において「人間としての深さやつながりをどう見つけていくか、模索し続けることが重要」と語った。

ジョージ・ミラー監督
ミラー監督は、テクノロジーとAIの進化について「この変化はすでに起きている。そしてそのペースはこれまで以上に早くなっていく」と指摘する。自身もAIに強い関心を抱き、「映像表現やストーリーテリングだけでなく、医学や医療といった幅広い分野でその影響を実感している」と語った。
さらに「これまで1年、あるいは2年かかっていたことが、1〜2週間で可能になるかもしれない」とし、そのスピードを評価する一方で「素晴らしいことでもあり、恐ろしい側面もある」と率直に述べる。それでも「そんな道のりを楽しみたい」と前向きに結んだ。

押井守監督
押井監督は、近年のアニメ制作環境について「この5〜6年の技術的な変化は、それ以前の40年に匹敵するほど急速」と語る。手描きの現場でもモーションキャプチャの活用が一般化し、「作品ごとに制作フローを一からやり直すような感覚になる」と、その変化の大きさを表現。
一方で「物語の本質は普遍的で、人間が人間である限り変わらない」と指摘。特に重要なのは「キャラクターの存在」であり「時代を映し、未来を予見するキャラクターが必ず登場する」と強調した。さらに「アニメーションは存在しない人物を創造する仕事であり、人間を描く面白さこそが揺るがない」と結んでいる。
小島監督の独立から10年。人との、ファンとの“つながり”だけを頼りに歩んできた軌跡は、この日のイベントで多くのクリエイターやキャスト、そしてファンに支えられていることが証明された。人と人、クリエイターとファン、作品と観客、それぞれの間に生まれる温かい「つながり」こそが、小島監督が目指すエンターテインメントの核であることを強く感じさせるイベントとなった。