


原作は、2021年9月に発売され、瞬く間に話題となった君嶋彼方によるデビュー作『君の顔では泣けない』。第12回「小説 野性時代 新人賞」を受賞し、発売前に重版が決定するなど、大きな注目を集めた。ある日突然、誰かの体と入れ替わってしまう──数々の名作を世に送り出してきた“入れ替わりもの”。そこに【15年も入れ替わったまま】という独自の設定が加わり、新たな物語が完成した。
入れ替わってしまうふたり、坂平陸(さかひら りく)と水村まなみを演じるのは、今回が初共演となる芳根京子と髙橋海人。トレンドを席巻する数々の話題作に出演し、若手俳優の中でも傑出した存在感を放つ二人が、その才能と感性、演技力と人間力を注ぎ込み、唯一無二の共闘を演じ切った。さらに、今後の活躍に期待が高まる西川愛莉と武市尚士が高校生時代の陸とまなみをフレッシュな魅力で表現。そして、話題沸騰の注目俳優、中沢元紀、前原滉、林裕太がそれぞれ入れ替わるふたりに密接に関わるキーパーソンを演じ、大塚寧々、赤堀雅秋、片岡礼子、山中崇が陸とまなみの両親役として物語を支えている。監督は『決戦は日曜日』(22)の坂下雄一郎。リアルとフィクションの境を繊細に編み、入れ替わったまま大人になっていくふたりの時間を切なく、そして瑞々しく描き出した。
高校1年生の夏に入れ替わってから、15年間入れ替わったままの人生を生きてきた陸とまなみ。“入れ替わり”というとどこかコミカルな作品の印象が強いが、原作者である君嶋が同作を執筆したきっかけは、“入れ替わり”というテーマに興味を抱いた時に、【実際にそうなった場合、本人たちはこの上なく大変なのではないか】と考えたことだった。「肉体的なこともそうですが、友人や家族はもちろん、本来の自分自身として会えない状況になるわけだから、もっと悩んだり苦しんだりするはず。自分だったらどうするか、なるべくシリアスに向き合って、真剣に書きたいと思いました」と言う君嶋は、数ある映画化のオファーの中から、コメディタッチにしないという坂下監督のスタンスを聞き、「作品を理解してくださっていると感じ、坂下監督に託そうと思いました」と語る。
入れ替わりを経験する陸・まなみを演じた芳根と髙橋。互いの人生を歩んでいることで、自分の身に起きる出来事に素直に反応することができず、常に葛藤や迷い、戸惑い、切なさなど様々な感情を抱く様子を細やかに演じ切った。「二人はあまりにも自然で見落としてしまいそうな細かな動きやしぐさまで、陸とまなみという役をただただ生きていただきました。お互いを思いやる気持ち、戻りたいけど戻らないほうがいいんじゃないかという葛藤、本作にそこはかとなく漂う優しさと切なさと温かさはこの作品唯一無二のものだと思います」とプロデューサーの小西も自信をのぞかせる。
普段は明るい笑顔を見せ、入れ替わった人生を歩んでいながらも、ふとした時に垣間見える一瞬の表情は、その胸の内に様々な感情を内包していること感じさせる。今回解禁されたスチールでも、芳根・髙橋の意味深な表情が印象的に切り取られており、それぞれが車の中で自分の“本当の想い”と向き合う一連のシーンも見逃せない。
『君の顔では泣けない』
11月14日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(c)2025「君の顔では泣けない」製作委員会