アカデミー賞で作品賞を受賞した『シェイプ・オブ・ウォーター』のギレルモ・デル・トロ監督の最新作『フランケンシュタイン』が一部劇場にて本日10月24日(金)より公開。本作のみどころをご紹介します。(文/平沢薫、編集/SCREEN編集部)

イントロダクション

ギレルモ・デル・トロ監督が、生涯ずっと映画化を熱望していた企画がついに実現。自ら原案、脚本を手がけ、19世紀刊行のメアリー・シェリーの古典名作ゴシック小説「フランケンシュタインの怪物」を、デル・トロならではの脚色で映像化。物語は原作と同じ、北極探検隊の隊長が、北極海で救出した青年の話を聞くという形で始まるが、後は映画独自の構成。前半は怪物を創造したヴィクター青年の視点から、後半はその怪物の視点から語られ、創造主と怪物を同等の存在として描き出す。そして、原作を踏まえつつ、ヴィクターとエリザベスの関係や、創造主と怪物がたどり着く関係など、監督の脚色も加えた独自のストーリーが紡がれていく。

その物語を描き出すのが、デル・トロ流の映像美。奇妙な道具が並ぶ博士の実験室、ヴィクターの夢想に何度も浮かぶ燃え上がる天使の像、彼が初めて出会った時にエリザベスの顔を覆っているヴェールの深い青緑色─デル・トロ監督の色彩と造形による幻想的な映像美が、物語に没入させる。

あらすじ

画像: あらすじ

ヴィクター(オスカー・アイザック)は、幼少期に“死”によって愛する母を奪われて、“死”を超える“生命”の創造に没頭。死体を使って生きた怪物(ジェイコブ・エロルディ)を生み出すが、彼の意図通りの存在ではないことを知って失望する。さらにある事件が起き、ヴィクターはそれを隠すため、怪物ごと実験室を燃やしてしまう。しかし、怪物は生き延びて、放浪の中で言葉を学び、ある望みを胸に抱いて、ヴィクターを探す。

『フランケンシュタイン』5つの注目ポイント

画像: 『フランケンシュタイン』5つの注目ポイント

Ⅰ. THE CREATURE 人間よりも人間らしい“怪物”

映画の後半は、怪物の視点から彼の体験と想いが語られて、彼がモンスターではなく、内面には繊細な感情と豊かな知性を秘めていることが描かれる。怪物は、愛と自分の存在理由を求めて、創造主ヴィクターを追い続ける。演じるのは、マーゴット・ロビー主演の新作『嵐が丘』ではヒロインの恋人ヒースクリフ役のジェイコブ・エロルディ。怪物の独特な動きを描くため、1960年代発祥の日本の前衛舞踏“暗黒舞踏”を学んでいる。

Ⅱ.DARKNESS & LIGHT 漆黒と光のアート世界

19世紀ヨーロッパの美学にデル・トロ風味を加えた絢爛たる映像美が目を奪う。監督は以前から、米コミック・アーティスト、バーニー・ライソトンの83年の刊行のイラスト版フランケンシュタインの熱狂的ファンで、その古典的で仄暗く幻想的な雰囲気を映画に取り入れた。また、ハリウッド黄金期の古典映画や華麗なオペラを意識したとも語っている。美術は、監督の『ナイトメア・アリー』のタマラ・デヴェレルが担当。

画像1: Ⅱ.DARKNESS & LIGHT 漆黒と光のアート世界
画像2: Ⅱ.DARKNESS & LIGHT 漆黒と光のアート世界

Ⅲ. THE THEME “父と子”の歪んだ葛藤

デル・トロによる脚本は、この物語の“父と子”というモチーフにも焦点を当てる。幼少時のヴィクターに対して、彼の父親が与える評価は冷酷で厳しく、時には体罰も与える。幼いヴィクターはそんな父親に親しみを感じることができず、対抗心を抱く。しかし、そんな経験があるにも関わらず、成長したヴィクターは、ある意味で彼の息子とも言える“怪物”と、良好な関係を築くことができない。父と子の葛藤が連鎖していく。

Ⅳ. TALENTED ACTORS エッジーな俳優陣が集結

ヴィクター役は「スター・ウォーズ」シリーズに出演しつつ、コーエン兄弟やポール・シュレイダー監督作に主演するオスカー・アイザック。怪物役は『Saltburn』『嵐が丘』とエメラルド・フェネル監督作が続くジェイコブ・エロルディ。共演に「X エックス」三部作のミア・ゴス、『西部戦線異状なし』のフェリックス・カメラー、『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツ、マッツの兄ラース・ミケルセンらが集結。

Ⅴ. TEAM GUILLERMO デル・トロ組の名スタッフが集合

スタッフは監督作常連の名手たち。撮影は『クリムゾン・ピーク』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ナイトメア・アリー』と組んできたダン・ローストセン。今回もデル・トロの色と影を見事に捉える。音楽は『シェイプ・オブ・ウォーター』『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』のアレクサンドル・デスプラ。19世紀の上流階級の優美な衣装の数々は『クリムゾン・ピーク』『パシフィック・リム』のケイト・ホーリーが担当。

画像: Ⅴ. TEAM GUILLERMO デル・トロ組の名スタッフが集合

登場人物

ヴィクター(オスカー・アイザック)
幼い頃に愛する母を死によって失ったことから、“死”を超越することを決意。“生命”を創り出そうとする。

画像: ヴィクター(オスカー・アイザック)

ヴィクター(オスカー・アイザック)

“怪物”(ジェイコブ・エロルディ)
ヴィクターにより死体から創り出された存在。ヴィクターが恋心を抱くエリザベスに優しくされ、彼女を慕う。

画像: “怪物”(ジェイコブ・エロルディ)

“怪物”(ジェイコブ・エロルディ)

エリザベス(ミア・ゴス)
ヴィクターの弟ウィリアムの婚約者。容姿は兄弟の母(二役)にそっくり。

画像: エリザベス(ミア・ゴス)

エリザベス(ミア・ゴス)

ハーランダー(クリストフ・ヴァルツ)
エリザベスの叔父。ヴィクターの実験に出資するが、その裏には目的が。

画像: ハーランダー(クリストフ・ヴァルツ)

ハーランダー(クリストフ・ヴァルツ)

レオポルド(チャールズ・ダンス)
男爵で医学者。兄弟の父で、ヴィクターに厳しく、ウィリアムを溺愛する。

画像: レオポルド(チャールズ・ダンス)

レオポルド(チャールズ・ダンス)

ウィリアム(フェリックス・カマラー)
ヴィクターの弟。兄を敬愛し、兄に頼まれて彼の実験に協力する。

画像: 登場人物

10/24(金)劇場公開、11/7(金)配信
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:オスカー・アイザック、ジェイコブ・エロルディ、ミア・ゴス、クリストフ・ヴァルツ、フェリックス・カメラー、チャールズ・ダンス、デヴィッド・ブラッドリー、ラース・ミケルセン

Netflix映画『フランケンシュタイン』一部劇場にて10月24日(金)より公開/11月7日(金)より世界独占配信

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