一見普通の男が、圧倒的な力を発揮する──。ボブ・オデンカーク主演『Mr. ノーバディ 2』は、スリル満点のアクションとユーモアが交錯する作品。インタビューでは、ボブ自身が明かす役作りの秘訣、過酷な撮影現場の様子、そして前作への想いを語ってくれました。(デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:Photo by Marc Royce/Contour by Getty Images

観客がその自由さを疑似体験することで、自然と笑みがこぼれるはずだと考えていますーーボブ・オデンカーク(ハッチ・マンセル役)

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──『Mr. ノーバディ 2』において、ハッチ・マンセルはどのように描かれているのでしょうか?

「1作目でハッチ・マンセルは、ロシアンマフィアの全財産を金庫ごと炎に包みました。金も絵画も、すべて焼き払った結果、彼の所属する組織が肩代わりした3,000万ドルの負債を抱えることになります。

物語はそれから4年後、借金返済のために組織の指令に従って仕事をこなす現在の彼から始まります。倫理や正義感は二の次。ただ命じられたことを遂行するだけ──しかし、もともと暴力そのものを楽しむ男であるため、むしろ嬉々として任務に取り組むのです。借金返済という大義名分を得て、彼はますます暴れることに正当性を感じています」

──今回、マンセル家のバカンスはどのように描かれていますか?本作では再び家族の物語に光が当たりますね。

「ハッチは仕事で家を空けがち、妻ベッカは不動産エージェントとして多忙、そして2人の子どもたちはスマートフォンに夢中で、家族の間には距離が生まれていました。その現状を前に、ハッチは『家族の繋がりをもう一度取り戻さなければ』と考えます。

妻も同じ気持ちであり、彼は子どもの頃に楽しい思い出を持つリゾートへ家族を連れて行こうと計画します。記憶の中では巨大なウォーターパークが輝く夢の楽園。しかし実際に訪れてみると、そこはただの寂れた観光地。理想と現実の落差がコミカルに描かれるのです」

──本作の根底に流れる「怒り」というテーマについて教えてください。

「私たちは日々、小さな苛立ちや理不尽に直面します。しかし現実の中でその怒りを爆発させることはできません。だからこそ映画の中で、それを思い切り表現することができるのです。

たとえ暴力的な作品であっても『もし人生がもっとファンタジーで、自分の思うままに暴れることができたら?』という発想を楽しんでもらいたい。観客がその自由さを疑似体験することで、自然と笑みがこぼれるはずだと考えています」

画像: 画像は『Mr. ノーバディ 2』より

画像は『Mr. ノーバディ 2』より

──このシリーズに向けた準備やトレーニングについてお聞かせください。

「私は25年間コメディ作家として活動し、それで生計を立ててきました。その後、ドラマ『ブレイキング・バッド』やスピンオフの『ベター・コール・ソウル』でシリアスな役を得て、映画出演の機会も増えました。幸い体に大きな故障はなく、骨折も数回程度。トレーニングへのモチベーションは十分にありました。

そこで『アクション映画に挑戦できるのではないか』と考え、スクリーン・ファイトを学びつつ、約2年間かけて体を徹底的に鍛えました。『ベター・コール・ソウル』を撮影しながら脚本を書き、売り込みを行い、その合間にもトレーニングを続けていました。結果として1作目ではスタントを自らこなせるまでに成長。

撮影終了後も鍛錬を怠らず、今ではワークアウトが日課となっています。さらに前作にも出演した友人のダニエル・バーンハード──世界屈指のスタント俳優──と共に練習を続けており、『Mr. ノーバディ 2』ではさらに複雑で高度なアクションを披露できました。1作目までの2年間、そして続編までの4年間、合わせて6年間の鍛錬が今作に活かされています」

──ハッチ・マンセルの格闘スタイルやアクションデザインはどのように工夫されたのですか?

「この作品のアクションを支えるのは、87ノースのスタントチーム。グレッグ・リメンターやカーク・ジェンキンスといった世界最高のアクションデザイナーが参加しています。彼らは通常、滑らかで華麗な動きを設計しますが、ハッチの場合は違います。

彼の戦いは不器用で、重く、泥臭い。そこで私は『もっと不格好にしてほしい。綺麗な技は外してくれ』と何度も依頼しました。若いスタントマンたちは俊敏に動き、アクロバティックな技もこなせますが、ハッチはそうはいきません。その不器用さこそがキャラクター性であり、観客に“リアルな痛み”を伝える武器になっているのです」

──特に印象に残っているアクションシーンはありますか?

「今作には多彩なファイト・シーンが盛り込まれています。中でも印象的なのは、狭いエレベーター内で暗殺者3人を相手にする乱闘シーン。限られた空間の中にアクションを凝縮した見応えのある場面です。

さらに、ゲームセンターでの戦闘も忘れがたいシーンです。一度去ったハッチが戻り、再び暴れ回る展開は観客の期待を裏切らず、むしろ高めていきます。それぞれの戦いには小さな物語があり、ただの肉弾戦ではなくキャラクター同士の衝突として描かれています。世界一流のスタントマンたちと共に挑んだ日々は、私にとって非常に充実した時間でした」

ボブ・オデンカーク プロフィール

1962年10月22日、米・イリノイ州生まれ。南イリノイ大学卒業後、シカゴで即興劇やスタンダップコメディに携わる。1987年に「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家となり、89年と93年に同番組の脚本でエミー賞を受賞。「ブレイキング・バッド」(09~13)のソウル・グッドマン役で注目を集め、スピンオフ「ベター・コール・ソウル」(15~22)で主演を務めた。主な出演作に『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(19)など。

『Mr. ノーバディ 2』

10月24日(金)公開
監督:ティモ・ジャヤント
出演:ボブ・オデンカーク、コニー・ニールセン、ジョン・オーティス、RZA、コリン・ハンクス、クリストファー・ロイド、シャロン・ストーン
配給:東宝東和
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