次回作『ランニング・マン』(2026年1月30日(金)公開)で満を持してアクション超大作に初主演するグレン・パウエル。出演が決まって真っ先に相談に行ったという“師匠”トム・クルーズのことや、鬼才エドガー・ライト監督との仕事について、撮影現場で話を聞きました。
画像: Jane Greer for The Washington Post via Getty Images

Jane Greer for The Washington Post via Getty Images

——『トップガン マーヴェリック』がシネマコン(世界中の映画館オーナーが集うイベント)で初披露されてから3年が経ち、先日ふたたび最新作『ランニング・マン』を引っ提げてシネマコンに登壇されました。当時のことを思い出しましたか?

「公開までに長い時間を費やしたので、『トップガン マーヴェリック』をシネマコンで見たことは記憶に残っている思い出の一つです。2018年の秋に撮影が始まってから、2022年の夏まで公開できませんでした。本来設計された形で劇場公開できるよう、トム(・クルーズ)はみんなに待つように伝える決断をしました。僕自身若かったので、こんなにも素晴らしい機会を待たなければならないのは簡単ではありませんでしたが、トムはこの仕事や劇場のすばらしさ、そして、それが持つ社会的影響力を教えてくれました。『トップガン マーヴェリック』はシネマコンで初めて上映できることになり、たくさんの劇場オーナーと一緒に映画を見たのを覚えています。そこで、大の大人が涙し、映画の終わりにはハイタッチしている光景を目の当たりにしました。私たち演者とそこにいた観客で、その瞬間それぞれの生を共有した感動は忘れられません。その瞬間はとても特別で、その経験から、仕事の意義というものが僕の中で明確になりました」

——先日のシネマコンではトム・クルーズと再会する場面もありましたね。あなたはトムの“愛弟子”または“後継者”とも言われていますが、トムとの関係はどのようなものですか?

「トムは映画に対する取り組み方や惜しみない熱量、観客を楽しませる努力と、それと隣り合わせの危険、そのすべてを決して包み隠さず楽しそうに語ってくれます。それが彼との関係において何より素晴らしいことです。実は『ランニング・マン』への出演が決まり、僕が最初に電話したのがトムだったんです。いや、まずは両親に、でしたが、その次が彼でした(笑)。彼に聞いたことのひとつは、どうやってアクション映画を最高レベルで成し遂げればいいかということでした。観客を楽しませるために、これほど身を粉にして取り組む人が、トムの他にはいないのは確かです。トムは走り方のアドバイスはもちろん、“自分が走る姿を動画で確認するといい。思っているほどかっこよくなかったりするから”と助言してくれました。もちろん実践しましたし、僕のコーチが“俳優界で唯一正しい走り方を知っているのはトムだけだ”と言っていました。彼こそ真の“ランニング・マン”かもねと言っていましたよ。トムは僕にとって素晴らしい師匠であり、友人でもあります。彼は仕事に信念をもっている。僕がトムのようになれる保証はどこにもありませんし、トムになりたいわけでもありませんが、彼から多くのことを学んだということは間違いなく言えます。彼は映画制作がチーム競技だと言っていました。僕らの誠心誠意は賭けかもしれませんが、すべて観客のためなんです」

——『ランニング・マン』ではエドガー・ライト監督と組んでいらっしゃいますが、もともと監督のファンだったのですか?

「エドガーは『ショーン・オブ・ザ・デッド』以来、僕のお気に入りの映画製作者の一人です。あの映画は今でもなお、その当時体験したのと同じように色褪せず、彼はその後もヒット作に次ぐヒット作を世に送り込んできました。2008年に僕は、一緒に仕事をしたい監督のリストを作ったんです。監督を5人ほどリストアップしたのですが、エドガー・ライトはその第1位でした。ロンドンで行われたトム・クルーズの誕生日パーティに、僕と監督は2人とも招待されました。そしてロンドンで一緒に劇場で『狙撃者』のリマスター版を観ることになり、コーヒーを飲んだんです。彼とは本当に馬が合いました。無類の映画好きで、とても情熱的で、楽しいことが大好きな人です。トムの誕生日でも長い時間を一緒に過ごすことになり、今ではすっかり仲良しになりました」

画像: 『ランニング・マン』

『ランニング・マン』

——『ランニング・マン』の主人公のベンは下層階級ですが、ジェームズ・キャメロンやジョン・カーペンターの映画のように下層階級に焦点を当てた作品になっているのでしょうか?

「この物語の面白いところは、中流階級があまり登場しないことです。持てる者と持たざる者、(大企業の)重役とスラム街の住人など、階級間の隔たりが大きいのです。どんなに働いても自分の道を見つけられないという思いが、この階級の人々の不満になっています。それがこの作品に人々が共感する理由なのだと思います。激しい不満は普遍的な感情であり、特に今日、非常に広く浸透しているものです。僕が脚本を読むときにいつも見極めようとしていることは『普遍的な物語になるのか? これは世界中で通用するのか? この人物ならではの視点なのか? それとも誰もが感じることなのだろうか?』ということです。そして、これは極めて独創的な物語の中にある、非常に普遍的な感情であるように思えるのです。皆さんが予告編や本編を観るとき、きっと今までこんな映画は観たことがないと感じるでしょう。エドガー監督は懸命に努力し、この作品を作り上げています。本作ではエドガーのスーパーパワーにさらに磨きがかかっていると思います。彼の素晴らしいところは、人々のことを心から気にかけていて、とてもよく本を読んでいるということです。本作には類まれで並外れた鼓動が感じられると思います」

——『ランニング・マン』の原作者スティーヴン・キングにはお会いになりましたか?

「スティーヴンとは直接話していません。エドガーから電話がかかってきて、主人公のベン・リチャーズを演じてほしいという知らせを受けたときは、有頂天になったのを覚えています。すごく興奮したものです。でもその直後、エドガーにこう言われました。『一つ言っておきたいんだけど、スティーヴン・キングの承認を得なければならないんだよね』と。僕は『えっ?』となりました。スティーヴンはその夜『ヒットマン』を観る予定で、僕がベン・リチャーズを演じるべきかどうかを知らせてくれることになっているというんです。有頂天になっていたところから一転して、スティーヴンが『ヒットマン』を気に入ってくれるかどうかに全てがかかっているという状況になったわけです。結果、彼は気に入ってくれました。すべてうまくいったんです」

——『ランニング・マン』はかつて『バトルランナー』としてアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化されていますが、今回は以前の作品とはトーンが変わっているのでしょうか?

「この映画のクレイジーなところは、気骨と激しさがあり、危機感に真実味があるということです。エモーショナルでありながら、すべてがこの鮮やかで生き生きとした世界の中に存在し、容赦なく楽しいのです。実はシュワルツェネッガーと話しました。これを見てください(ツーショット写真を見せてくれながら)。『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』の撮影現場でのシュワルツェネッ
ガーと僕です。このときは11階建てのビルの側面でちょっと難しいスタントをやり、かなり危険でした。皮肉にもみんなから『エクスペンダブルズの中で最もエクスペンダブル(=使い捨て要員)だ』と言われました(笑)。でもその後、彼は『君もここまでになったな』と言ってくれました。僕たちは今回の映画で彼の賛同を得ることができました。これは、キャラクターを象徴的なものとした人物の後釜になる際は、必ずやらなければならないことで、シュワルツェネッガーには絶対に話をしなければいけないと思いました。彼はとても喜んでくれました」

——子どもの頃からどんなアクション映画を観てこられたのですか?

「この映画について参考にした作品は、『ダイ・ハード』や『ニューヨーク1997』といった、並外れた困難に立ち向かう普通の人々についての物語です。だからケヴィン・コスナーやカート・ラッセル、メル・ギブソンなどが出演する映画が大好きなんです。彼らは超能力を持っているわけではないですが、ハリソン・フォードのような男たちは、身体能力が高く、明らかにコメディセンスがあります。ハリソン・フォードは、男らしくパンチを体で受け、観客を笑わせ、物語のビートを伝えることができます。エドガーと一緒にいて楽しいのは、僕たち二人が話す言葉が“映画言語”だということ。だから、もし僕が混乱するようなことがあれば、彼は『あの映画に出てくるこの場面』などと言ってくれます。エドガーが僕に観るべき映画のリストを提案してくれるのもとても嬉しくて、まるで楽しい映画学校に参加するようなものなのです」

『ランニング・マン』
2026年1月30日( 金)公開
配給:東和ピクチャーズ
©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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