中野量太監督が脚本・監督を務めた最新作は、作家・村井理子氏が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセイ「兄の終い」をもとに映画化した『兄を持ち運べるサイズに』。絶縁状態にあった実の兄の突然の訃報から始まる家族のてんてこまいな4日間の物語が11月28日(金)より全国公開。本作を軸に、兄妹の愛と葛藤を描いた3つの物語を紹介!
画像: 喧嘩しても、憎んでも、やっぱり兄妹っていい 『兄を持ち運べるサイズに』ほか“兄妹の愛と葛藤”を描く映画たち

兄妹というのは、不思議な関係だ。生まれたときから一番近くにいるのに、時に他人よりもわかり合えない。憎らしく思う瞬間もあれば、どこかで一番安心する存在でもある。そんな”兄妹“の複雑で愛しい関係を描いた映画が、近年いくつも生まれている。

11月28日(金)公開の中野量太監督5年振りの最新作『兄を持ち運べるサイズに』は、幼い頃からマイペースで自分勝手な兄に振り回されてきた妹・理子(柴咲コウ)が、ダメ兄(オダギリジョー)の死をきっかけに、もう一度“家族”を想いなおす、てんてこまいな4日間を描いた物語だ。

自由奔放で周囲に迷惑をかける兄が昔から大嫌いだった理子。大人になっても母に甘えて同居を続ける兄に対し、恨めしさと同時に、どこか羨ましさも抱いていた。しかし、母に癌が判明すると兄はそそくさと実家を出て行き、母の葬儀でお金の無心をされたことで、理子は兄との縁を断つ。そんな絶縁状態だった兄の訃報を聞いた理子は、遺体と遺品を引き取りに宮城県・多賀城市へ向かう。兄の遺品を整理する中で、理子はこれまで知らなかった「兄」の姿に少しずつ触れていく━。

“家族とは何か?”という普遍的な問いを妹・理子の目線で紡ぎ出す、滑稽で、愛おしく、少し切なくなる中野監督ならではのヒューマンドラマ。観る人もまた自分の家族や、兄、妹の存在を感じずにはいられない作品となっている。

2025年4月公開の映画『花まんま』は、大阪の下町で暮らす加藤俊樹(鈴木亮平)とフミ子(有村架純)の兄妹の物語。兄の俊樹は、亡き父と交わした「どんなことがあっても妹を守る」という約束を胸に、ずっと妹を守り続けてきた。しかし、フミ子には「幼少から別の女性の記憶がある」という秘密があり、その記憶が兄妹の関係を揺るがしていく。衝突を繰り返しながらもやがて見えてくるのは、誰よりも強くお互いを想う合う気持ち。最後には、兄妹の深い“絆”が胸に残る感動作だ。

2019年11月公開の映画『ひとよ』は、女優で劇作家の桑原裕子が主宰する「劇団KAKUTA」による同名舞台を、『孤狼の血』の白石和彌監督が映画化した作品。暴力に支配された家庭で、子供たちを守ろうとする母親と、残された3人の兄妹のその後を描く。タクシー会社を営む稲村家の母こはる(田中裕子)は、家庭内で暴力をふるう夫を、子供たちの未来のためにと殺めてしまう。その一夜から次男・雄二(佐藤健)、長男・大樹(鈴木亮平)、長女・園子(松岡茉優)の運命は一変する。母は服役し、残された子供たちは「殺人犯の子」という烙印を背負いながら兄妹で助け合って生きていくが、15年後、出所した母が帰ってきたことで彼らの心に閉じ込めていた記憶が再びあふれ出す。母のこと、家族のことを愛しているのに、許せない。憎んでいるのに、離れられない。『ひとよ』はそんな矛盾を抱えながらも互いを想い合う兄妹、そして母と子の痛切な絆を描き出している。過酷な現実の中でも寄り添い合う兄妹の姿を生々しく、痛々しいほど映し出す一作。

3本の映画に共通しているのは、“兄妹”という関係が単なる血の繋がりではなく、”生きる支え“として描かれていることだ。喧嘩しても、憎んでも、離れても、最後はどこかでお互いを想ってしまう━。この3本を観終えたあと、ふと兄や妹、家族に電話をかけたくなるかもしれない。

■『兄を持ち運べるサイズに』(2025年11月28日公開)

理子の元に突然かかってきた警察からの電話。何年も会っていない兄が、死んだという知らせだった。発見したのは、兄と住んでいた息子の良一だという。「早く、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう」東北へと向かった理子は、警察署で7年ぶりに兄の元嫁・加奈子とその娘の満里奈と再会する。兄たちが住んでいたゴミ屋敷と化しているアパートを片付けていた3人が見つけたのは、壁に貼られた家族写真。子供時代の兄と理子が写ったもの、兄・加奈子・満里奈・良一の兄が作った家族のもの…同じように迷惑をかけられたはずの加奈子は、兄の後始末をしながら悪口を言いつづける理子に言う。「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」もう一度、家族を想いなおす、4人のてんてこまいな4日間が始まったー。

■『花まんま』(2025年4月25日公開)

大阪の下町で暮らす加藤俊樹とフミ子の兄妹。兄の俊樹は、死んだ父と交わした「どんなことがあっても妹を守る」という約束を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた。妹の結婚が決まり、親代わりの兄としてはやっと肩の荷が下りるはずだったのだが、遠い昔に2人で封印したはずの、フミ子のある秘密がよみがえり……。

■『ひとよ』(2019年11月8日公開)

タクシー会社を営む稲村家の母・こはるは、3人の子供たちの幸せのためと信じて、家庭内で激しい暴力を繰り返す夫を殺害する。15年後、長男・大樹、次男・雄二、長女・園子の3人の子供たちは、それぞれに事件によって運命を狂わされ、心に深い傷を抱えたまま今の人生を送っていた。そんな3人の前に、出所したこはるが突然姿を現す。

『兄を持ち運べるサイズに』
11月28日(金)公開
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

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