ミュージカル映画の金字塔として、誕生以来60年の長きにわたってあらゆる世代のファンに愛されてきた『サウンド・オブ・ミュージック』。この傑作が4Kデジタルリマスター版で映画館の大画面に戻ってきます。美しい映像と素晴らしい音響で、何度も繰り返して鑑賞している方も、まだ劇場で体験してない方も、この機会に本来あるべき姿に修復された『サウンド…』のオリジナルの魅力に触れてみては? (文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)

イントロダクション

今から60年前の1965年、世界中で公開され大ヒットを記録、その後も何度も再公開されるたびに多くのファンを獲得してきた不朽の名作『サウンド・オブ・ミュージック』。この傑作ミュージカルが、60周年を記念して4Kデジタルリマスター化され、かつてない美しい映像と音響で輝きを増し、いままた大スクリーンに甦る!

ナチスの追っ手を逃れオーストリアからアメリカに亡命したトラップ大佐一家の物語を綴った原作を基に、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世がブロードウェイでミュージカル化した舞台を映画化した本作はアカデミー賞作品賞ほか、全5部門で受賞。それまで歴代興行収入記録を持っていた『風と共に去りぬ』を抜き、72年に『ゴッドファーザー』に抜かれるまで、歴代1位のヒット作となった。

監督は『ウエスト・サイド物語』などの名匠ロバート・ワイズで、脚色はアーネスト・レーマン。ザルツブルグの美しい大自然や街並みを捉えた撮影はテッド・マッコードが担当。名コンビ、ロジャース&ハマースタインが生み出した「エーデルワイス」「ドレミの歌」など名曲の数々は今なお人々の心に残っている。

前年『メリー・ポピンズ』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したばかりのジュリー・アンドリュースが修道院からトラップ家にやってくる家庭教師のマリアを演じ、7人の子供たちを持つトラップ大佐を後に『人生はビギナーズ』でアカデミー賞助演男優賞を受賞するクリストファー・プラマーが演じた。他に『探偵物語』のエリノア・パーカーらが共演。子役たちはオーディションで選ばれたアンジェラ・カートライトやニコラス・ハモンドらが演じている。

ストーリー

第二次世界大戦が始まる直前のオーストリア。修道院で修行中のマリアは明るく奔放。そんな彼女を修道院長は、妻を亡くして子だくさんのトラップ大佐の家で家庭教師をするようにと勧める。マリアが大佐の屋敷を訪ねると、7人の子供たちが厳しい躾の元で窮屈に暮らしていた。そこでマリアは子供たちに歌を歌う楽しさを教え、急速に打ち解けるようになっていく。大佐はマリア流のやり方に最初は反発したものの、元気になっていく子供たちの様子を見て自分のやり方が間違っていたことを認め、マリアを家族の一員として迎えることに。これを機に次第に惹かれあっていくマリアと大佐だったが、大佐には婚約者がいた。自分の心の変化に戸惑いを覚えたマリアは本当の気持ちを隠してトラップ家を去ってしまう…。

しかし修道院にもどって意気消沈するマリアに、修道院長は「自分の道は自分で見つけるように」と諭し、マリアは再び大佐の家へ。大喜びする子供たちの様子を見た大佐も心を決め、気持ちを確かめ合った2人は結婚式を挙げる。しかしそんな幸せもつかの間、オーストリアにはナチスドイツの影が迫りつつあった…。

チェックポイント

4Kデジタルリマスター版で本来の魅力が蘇る

画像: 永遠の名作が4Kの美しい映像で上映される

永遠の名作が4Kの美しい映像で上映される

今回の4Kデジタルリマスター版は、ウォルト・ディズニー・フィルム修復チームが4K解像度で修復リマスターの作業を実施、9か月以上にわたって、保存フィルムのデジタルスキャンと汚れ・歪み・その他の問題点の修正作業を修復チームが監督したもの。初公開当時の本来意図された映像と音響が蘇り、これを劇場の大スクリーンで見られることは圧倒的な感動に繋がることだろう。実際日本に先駆け、世界28か国950館以上の劇場で公開され、北米では限定公開にも関わらず3日間で興行収入1億6000万円を超える異例のヒットを記録。大型スクリーン用に映画が作られていた時代の作品とあって、まず一度は映画館で本作の真の魅力を味わうために、今回の4K版はその威力を忠実に発揮することだろう。

トラップ・ファミリーとは

画像: トラップ家の子供たちの歌声に心癒される

トラップ家の子供たちの歌声に心癒される

この映画で世界的に有名になった「トラップ室内聖歌隊」。実在のオーストリア軍人で貴族だったゲオルク・フォン・トラップとその子供たちによる合唱団で、最初の結婚で生まれた7人の子供、再婚した妻のマリアとの間に生まれた3人の子供も加えて、12人のメンバーで構成されていたそう。金融恐慌で財産を失ったゲオルクに、マリアが家族そろっての合唱で収入を得ることを提案。最初はイベントなどで歌っていたが、ザルツブルクのコンクールで優勝し、ヨーロッパ各地を巡業するように。やがて侵攻してきたナチスとの衝突を避け、アメリカに亡命。米国興行で成功を収めた。マリアが著した自叙伝を基にした一家の物語は『サウンド…』の前に西独映画『菩提樹』(56)とその続編でも描かれている。

ロバート・ワイズ監督没後20年

画像: 本作で2度目のオスカーに輝いたロバート・ワイズ監督

本作で2度目のオスカーに輝いたロバート・ワイズ監督

2025年は『サウンド・オブ・ミュージック』を生み出した名匠ロバート・ワイズ監督の没後20年にもあたる。ワイズ監督は本作で2度目のアカデミー賞監督賞を受賞する前に、やはりミュージカル映画の金字塔『ウエスト・サイド物語』で最初のオスカーを獲得していることからミュージカル映画の巨匠と言われている。しかし実際は『地球の静止する日』『アンドロメダ…』『スター・トレック』などのSF系から、『たたり』『オードリー・ローズ』などホラー系、『深く静かに潜航せよ』『砲艦サンパブロ』など戦争系、『私は死にたくない』など人間ドラマまであらゆるジャンルを手掛けた職人監督としても知られる。そんな多才な彼の代表作の一つが『サウンド…』で、時代を超えて観客に愛される作品を生んだマジカルな演出を劇場で再確認したい。

画像2: 2026年1月21日(水)発売「サウンド・オブ・ミュージック製作60周年記念版 4K UHD+ブルーレイセット」

『サウンド・オブ・ミュージック 4K デジタルリマスター』
2025年11月21日(金)公開
アメリカ/1965/2時間55分/配給:カルチャヴィル合同会社
監督:ロバート・ワイズ
出演:ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー

© 2025 20th Century Studios.
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