『ミッドナイトスワン』から5年、内⽥英治監督“真夜中シリーズ”待望の最新作『ナイトフラワー』。北川景子演じる⼦供のためにドラッグの売⼈になることを決意する夏希と、森⽥望智演じる夢を追いかける⼥性格闘家・多摩恵が出会い、生きるために⽀え合いながら運命を共にする愛の物語だ。多摩恵を一途に想い寄り添い続ける海を佐久間大介がリアルに体現。俳優としての幅を広げた本作の海という男──、夜の街で生きるその背景を佐久間を通して見ることができた。文・佐久間裕子/写真・藤本和典/ヘアメイク・宮本春花/スタイリスト・渡邊奈央(Creative GUILD)/デジタル編集・スクリーン編集部)
衣装協力・seyto/株式会社アンティローザ CAMPHOR WOOD
今まで僕が内田英治監督作品で演じてきた役の中で、
最も普通の男の子に近かったので難しかった
佐久間大介 プロフィール
1992年7月5日⽣まれ、東京都出⾝。2012年Snow Man結成。メンバーとして⾳楽活動を⾏う傍ら、俳優・声優として活躍。近年の出演作は映画『おそ松さん』(22)、映画『マッチング』(24)など。声優としては、中国アニメ映画『白蛇: 縁起』(21)吹き替え、TVアニメ「キミとアイドルプリキュア♪」(25)などがある。また、内田英治監督との3度目のタッグになる『スペシャルズ』(2026年3月6日公開)で主演をつとめる。
──今作で佐久間さんが演じた池田海からは幼なじみの芳井多摩恵への特別な感情が伝わります。海の心情をどう捉えて演じられたのでしょうか?
「海は『多摩恵を守りたい』と一番に考えていると思いました。でも多摩恵を守ろうとして自分が取った行動や彼女に求められてやってあげたことに対して罪悪感を覚えている。多摩恵ファーストでありながら心のどこかで『自分のせいで……』と感じているので、常に苦しい立ち位置にいる男だなと思いました」
──好きな人が悪い方向へ行くのを見たくない海は、かなり早い段階で多摩恵に向けて北川さん演じる夏希に関わるなと助言しますね。
「あれも多摩恵に幸せになって欲しいから、変なことに首を突っ込まないでくれという気持ちの表れですよね。演じている間は多摩恵に対して怒っていたし、ちゃんと叱りたいって気持ちになることが多かったと思います。でも多摩恵の現状が幸せではないことを海もわかっているから、彼女に求められたら何も言えなくなってしまうんです。海は多摩恵が働く風俗店で送迎の仕事をしています。おそらく多摩恵を見張るために一緒に働いているんだけど、好きな人がそこで働いていることに苦しい気持ちでいるんですよね」
──海が多摩恵に抱く想いは、恋愛としての「好き」だけではなく、いろんな感情が入り交じった複雑なものなんでしょうね。
「そうですね。海は多摩恵と恋人になりたいというより、家族になりたかったんだろうなと思いました。単純な恋愛感情ではなく、一緒にいて『こいつを幸せにできたらいいな』と思うような存在なんだろうなって。子供の頃、親がいなくなったつらい時期に一緒にいてくれて、それからずっと『こいつと一緒にいたいな』と思える関係性だったんだと思います」
──完成した作品を見て多摩恵の試合のシーンは、胸が押しつぶされそうになったそうですね。
「演じた時の海の気持ちが僕の中にまだ残っていたので、海の目線でそのシーンを観たら本当にやばくて。多摩恵の感情に海はここまで心揺さぶられるんだなって、彼の気持ちを改めて実感できました」
──役柄としては難しかったですか?
「難しかったです。今まで僕が内田英治監督作品で演じてきた役の中で、最も普通の男の子に近かったので。僕がちょっと人間離れしているというか、キャラクター性が強くて声も大きいから、僕自身の感じで普通に芝居すると声がデカ過ぎて(笑)。この感じで『ナイトフラワー』の世界にいたら目立ち過ぎるだろうということで、怒るにしても声はどのくらいのボリューム感なのか考えました。感情の動きもブワッと出すのではなく、グッと抑えた状態で怒る。表情や声量などいろいろ考えて調整して、細かい感情の機微としてまとめ上げないといけなかったので、そこが海という役の難しさだなと思いました」
──普通の人を演じるのが一番難しいという話をよく聞きますが、実感しました?
「うん、一番難しいですね。あまりにも普通過ぎると、自分過ぎてしまう可能性もあるから。そうなると観て下さる方の中に何も残らないだろうし、じゃあどこをどう取るか、その加減が難しいと感じました。それと今回はすごく自然な演技をさせてもらいました。特に多摩恵と一緒にラーメンを食べるシーンは、撮影中から幼なじみの距離感でじゃれたりできたし、シンプルに嬉しいって気持ちをちゃんと伝えられた気がして。完成した作品を観たときにより思いましたね。『あ、いいな』って」
──監督のコメントによるとちょっとSnow Manぽさが出てしまったところもあったとか。
「あ〜、ちょっとカッコ良すぎたんですよね(笑)。クランクインしてすぐの頃で、セリフの喋り方やパッと上げたときの顔がキマリ過ぎていたみたいで、『ちょっと今、Snow Manだったな』と監督に言われて、『すいません、すいません。アイドル出ちゃいました?』みたいな話をしました(笑)」
※全文はSCREEN2026年1月号に掲載
『ナイトフラワー』
トランスジェンダーの主人公と少女の絆を描き大きな話題となった『ミッドナイトスワン』(20)で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた内田英治監督が原案・脚本・監督を手掛けた最新作。借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希は、昼夜問わず働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、ボディーガード役を買って出るが──。多摩恵を支える幼なじみの海を佐久間が演じている。
池田海(佐久間大介)
多摩恵を一途に想い続ける幼なじみ。多摩恵が働く風俗店で働き、傍で見守って支えている。多摩恵たちを危険な世界へ繋げてしまい心配している。
『ナイトフラワー』
2025年11月28日(金)公開
日本/2時間4分/松竹配給
監督・脚本/内田英治
出演/北川景⼦ 森⽥望智 佐久間⼤介(Snow Man) 渋⾕⿓太/渋川清彦 池内博之/⽥中麗奈 光⽯研
©2025「ナイトフラワー」製作委員会





