5つのテーマで振り返る2025年の話題作

2025-12-31

スクリーン編集部 @ SCREEN

注目情報ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング F1®️／エフワンワン・バトル・アフター・アナザートワイライト・ウォリアーズ決戦！九龍城砦教皇選挙

ことしもたくさんの話題作が映画館を彩りました。ここでは5つのテーマに沿いながら、ピックアップしながら代表作を振り返ってみましょう。（文・斉藤博昭、スクリーン編集部（作品あらすじ）／デジタル編集・スクリーン編集部）
カバー画像：映画『F1®️／エフワン』より　© Apple Video Programming LLC 2025. All rights reserved.

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テーマ３）熱いファンを生んだ、2つの群像劇

2025年は“まさか”のヒットをとばした2作が出現した。まず1月公開の『トワイライト・ウォリアーズ決戦！九龍城砦』。1980年代に描く黒社会と男たちの絆は、地元・香港でも歴代1位の記録だったが、日本にも“熱さ”が伝播し、5.7億円に到達。香港アクション復活の道を切り拓いた。

もう1本が3月の『教皇選挙』。アカデミー賞に合わせた公開だったうえに、同作が描く「コンクラーベ」が現実でも進行して話題を加速。ミステリーの見応えも評判を呼んで、週ごとにランクが上がり10億円超えのヒットとなった。この2作に共通なのが、個性豊かなキャラクターが集う群像劇という点。特定の人物に共感し、なおかつ全員を“箱推し”したくなる感覚も口コミで広がった。

『トワイライト・ウォリアーズ決戦！九龍城砦』

1980年代。香港へ密入国した青年・陳洛軍は、掟を破り黒社会に追われる身に。逃げ込んだ先は、黒社会の手も及ばぬ“九龍城砦”。龍捲風ら城砦の住人との交流の中で自分の居場所を見つけるが、城砦に危機が迫る。洛軍は大切な場所を守るため、仲間達と共に立ち上がる。

『トワイライト・ウォリアーズ決戦！九龍城砦』
UHD豪華版：8,800円（税込）
Blu-ray豪華版：6,380円（税込）
DVD通常版：4,400円（税込）
発売元：クロックワークス　販売元：ハピネット・メディアマーケティング

『教皇選挙』

ローマ教皇が亡くなり、外部から隔離された礼拝堂で次期教皇を決める教皇選挙（コンクラーベ）が始まった。選挙を執り仕切るローレンス枢機卿は候補者たちの陰謀やスキャンダルと直面し、投票の度に情勢が一変していく。やがて、バチカンを揺るがす秘密を知ってしまう。

『教皇選挙』

ブルーレイ：6,600円（税込）　DVD：4,400円（税込）
発売元：キノフィルムズ／木下グループ
販売元：ハピネット・メディアマーケティング

テーマ４）存在感を増す、インディペンデント作品

ここ数年、「A24」に代表されるように、インディペンデントの製作・配給スタジオの名で、観る作品が選ばれる傾向が顕著に。A24は2025年も、同社初の3部作完結編『MaXXXine／マキシーン』や、『ベイビーガール』『愛はステロイド』といった超インパクトの作品を連発。

日本でも急速に認知度がアップしているのが「NEON」。今年のアカデミー賞作品賞の『ANORA アノーラ』が象徴するように、近年のカンヌやアカデミー賞の受賞作を数多く北米で配給。日本映画『8番出口』もNEONが北米配給だ。

そして注目なのが「オムネス・フィルムズ」。新世代の仲間による制作集団ながら、いきなりカンヌに2作（『クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント』など）を送り出すなど急成長。その名前を覚えておきたい。

『MaXXXine／マキシーン』

A24作品。舞台は1985年。マキシーンが凄惨な殺人事件から生き延びて6年後。ホラー映画主演の座をつかみ、ハリウッドスターへの夢へと邁進する彼女の周囲で、謎の殺人鬼が暗躍。さらに6年前の事件を知る者がマキシーンを脅かす。

『MaXXXine／マキシーン』

ブルーレイ：6,600円（税込）　
DVD：4,400円（税込）
発売元・販売元：ハピネット・メディアマーケティング

『ANORA アノーラ』

NEON北米配給作。ニューヨークでストリップダンサーとして働くアノーラは、客として来たロシア人御曹司と契約彼女になった後、衝動的に結婚。豪勢な世界を知るが、猛反対する相手の両親の渡米が彼女に残酷な現実を叩きつける。

『ANORA アノーラ』

ブルーレイ+DVDセット：5,390円（税込）
発売・販売元：ハピネット・メディアマーケティング

『クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント』

オムネス・フィルムズ作品。4世代に及ぶ大家族がクリスマス・イブのパーティの為に集う。ごちそうを食べ、陽気に話し、歌う大人たち。一方、若者は抜け出して夜の街に繰り出す。退屈に感じる恒例行事も、一夜の刺激も、それは刹那に過ぎ去る。

『クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント』

全国順次公開中
提供：JAIHO
配給：グッチーズ・フリースクール

テーマ５）新たなスター誕生！新星光った話題作

次世代スターの魅力を満喫する作品は、少年・少女たちの成長や絆、活躍を描くものに多い。2025年は『ヒックとドラゴン』や『ブラックフォン2』が代表格だが、その両方に出演したことで、メイソン・テムズには大ブレイクの年になった。

映画初出演の俳優をメインキャストで起用し、輝かせたのが、『罪人たち』と『ワン・バトル・アフター・アナザー』。前者で牧師の息子を演じたマイルズ・カトンと、後者でレオナルド・ディカプリオの娘を演じたチェイス・インフィニティは、作品の高評価もあって注目の的に。

『ベイビーガール』『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』と立て続けに話題作に出たエスター・マクレガー（ユアンの次女）も一気にキャリアを前進させた一人。

メイソン・テムズ

2021年の『ブラック・フォン』で注目を集め、『ヒックとドラゴン』実写化ではオリジナル版のファンも大満足させた。現在18歳で、北米で10月公開のロマンティックコメディ『Regretting You』では大人の俳優への変貌も実感。

マイルズ・ケイトン

ミュージシャンのキャリアを積んでいたが、映画初出演の『罪人たち』で物語のキーとなる役をゲット。マイケル・B・ジョーダン相手に存在感たっぷりの演技をみせつけた。まだ20歳なので、俳優として多くのオファーが舞い込むはず。

チェイス・インフィニティ

Apple TV+の「推定無罪」に出演し、その後、『ワン・バトル・アフター・アナザー』の大役でスクリーンデビュー。賞レースでノミネートを重ねている。次回作『The Julia Set』では主演を任されるなど急成長中の25歳。

Photos by Getty Images