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グレン・パウエルの初のアクション大作主演は
彼の“勢い”が乗り移ったキャリアの集大成にもなっている
『ランニング・マン』にはグレン・パウエルのキャリアを躍進させる“勢い”が乗り移っている
映画を観ているこちらも
痛快な気分にさせてくれる
ひとりの俳優がキャリアを躍進させる“勢い”が、出演した作品に乗り移ることがある。『ランニング・マン』は、そんな映画だ。リアリティ番組に出演した主人公のベン・リチャーズは、巨額の賞金を受け取るために、30日間、逃げまくらなくてはならない。プロの刺客や一般のTV視聴者も彼の命を狙うわけで、サバイブはほぼ不可能なレベル。それでも何とかわずかなチャンスに賭け、その場その場で機転を利かせ、映画のタイトルにもなっている番組「ランニング・マン」で、過去の挑戦者が到達していない地位を目指す……。これはまるで弱肉強食がまかりとおるハリウッドで、千載一遇のトップスターの地位に近づきつつある、グレン・パウエルの運命とシンクロしているかのよう。そんな風にちょっぴりこじつけの視点で観ると、本作は楽しみが増すのではないか。
実際に逃亡が続くうちに、ベン・リチャーズの“スター性”が明らかになっていく。最初こそ番組の視聴者は、過去の出場者と同じくベンを新たな犠牲者だと哀れな目で見つめていたものの、しぶといまでの彼の生存能力によって、その見方に変化がもたらされる。逃亡の最中には、思わぬ助っ人も現れるのだが、ベンの苦闘に「この人なら!」と協力している節もある。貧困層で会社も解雇された、誰も目もくれない男がヒーローになっていく。そして窮地に立たされても、TVカメラに向かって挑発するかのような言動も繰り返すベンに、やがて番組の制作陣もカリスマティックなスター性を見出していく流れを、グレン・パウエルが生き生きと演じ、映画を観ているこちらも痛快な気分にさせてくれるのだ。
逃亡を続ける主人公ベン(グレン・パウエル)の前には思わぬ助っ人も現れる
このベンの挑発的行動にグレンの過去の役を重ねることも可能だ。たとえば、ブレイクのきっかけとなった『トップガン マーヴェリック』での“オレ様”気質で、相手の神経を逆撫でしたりもするハングマン役。また、絶体絶命のピンチに陥ってしまっても、『恋するプリテンダー』や『ツイスターズ』での、いい意味でのグレンの“軽さ”を思い出せば、開き直った態度で乗り越えるだろうと、ポジティヴに捉えられる。そして殺し屋として七変化をこなした『ヒットマン』でのグレンの芸達者ぶりは、本作の逃走における変装はもちろん、リアリティ番組におけるエンタテイナーの素質に説得力をもたらすはず……と、初のアクション大作主演は、グレンのキャリアの集大成にもなっているのだ。
シュワルツェネッガー主演の
87年版との大きな違いは?
この『ランニング・マン』は、スティーヴン・キング原作の2度目の映画化。1度目は1987年の『バトルランナー』で、主演がアーノルド・シュワルツェネッガーだった。今回の2度目も基本のストーリーは同じ。しかしすでに『ターミネーター』や『コマンドー』などで、ムキムキの最強アクションスターになっていたシュワと、現時点でのグレン・パウエルは、あまりにイメージが違う。役名は同じベン・リチャーズながら、両者の“設定”に合わせてのキャスティングだからだ。『バトルランナー』のベンは警察官。無実の罪で逮捕され、脱獄犯となったことから、TV番組にスカウトされる。もともと戦闘能力が秀でている役どころなのでシュワにぴったり。一方、今回のベンは娘の薬代のために賞金を獲得しようとする、どこにでもいそうな父親。戦闘テクなど皆無の男が必死に対抗し、逃走するわけで、そこに等身大ヒーローが似合うグレンがハマった。限界へと追い詰められるスリルが、今回はリアルに感じられることだろう。しかも「娘のため」という動機がエモーショナルな雰囲気を導く。

87年版のシュワルツェネッガーとは異なり“等身大ヒーロー”が似合うグレンが主人公にハマる
さらに2作の大きな違いは、逃げ回る場所の範囲とタイムリミットだ。『バトルランナー』ではカリフォルニアの地下に作られた巨大アリーナという限定空間だったが、今回は世界中どこでも移動が可能になっている。とはいえ、あまりに遠くへ逃げるのは難しいのでほぼアメリカ国内での逃走劇となる。それでも格段に移動のオプションは広がり、アクションも多様化。番組の視聴者が街なかでベンを見つけ、報告も可能になる。『バトルランナー』が3時間のルールだったのに対し、今回は30日間と長くなった結果、ベンの逃走は数多くのドラマも伴うことに。エドガー・ライト監督が「アクション・ロードムービー」を意識したと語るように、ゲームをクリアする感覚もあった『バトルランナー』に比べ、「007」や「ミッション:インポッシブル」と似た、場所に応じたスペクタクルを体験できる一本にもなっている。
グレン・パウエルが「トム・クルーズからアドバイスをもらった」と語るスタントに関しては、全力疾走から無謀なジャンプ、カーチェイスまで、本人が実際に挑んだからこその臨場感をもたらした。ビルの外壁を素手で、しかも素っ裸で降りて行くシーンは、脱ぎっぷりの良かった『恋するプリテンダー』を思い出し、そこにトム・クルーズとは異なるグレンの“軽妙”な魅力も凝縮された。そこにエドガー・ライト監督らしいパンクなノリが重なり、ベンの逃走そのもののノンストップな快作に仕上がった『ランニング・マン』。1982年に書かれた原作が、フェイク動画やドローンを駆使した中継などで現代の映画らしくアップデートされている点も、お観逃しなく!
普通の男が 30日間、死の鬼ごっこを生き残れるのか?
『ランニング・マン』あらすじ
近未来、格差の広がる社会で人々の最大の娯楽となっているのが、命を賭けた“デスゲーム”リアリティショーだった。失業者のベン・リチャーズは重病の娘を救うため、生存率0%の番組「ランニング・マン」に参加する。ルールは「30日間逃げ切れば賞金1000億円」。だが敵はプロの殺人ハンターに加え、懸賞金を狙う“全視聴者”。世界中が監視者となる中、職も特殊能力も持たないただの父親による、孤独で過激な逃走劇が幕を開ける。
“デスゲーム小説の先駆け”となった原作「ランニング・マン」とは?
原作の「ランニング・マン」は「シャイニング」「IT」などで知られ、“モダン・ホラーの帝王”の異名も持つレジェンド作家スティーヴン・キングが“リチャード・バックマン”名義で82年に発表した小説。1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演により『バトルランナー』のタイトルで映画化され、日本でも当時そのタイトルで小説が出版されたが、今回の映画の公開にあわせて「ランニング・マン」として改題・改訳され、20年ぶりに復刊されている。奇しくも原作の舞台設定は、映画が製作されたのと同じ“2025年”となっている。
『ランニング・マン』(発売中)
著者:スティーヴン・キング(リチャード・バックマン名義)酒井昭伸/訳 定価:1,650円(税込) 発行:扶桑社
『ランニング・マン』1月30日(金)公開
監督:エドガー・ライト
出演:グレン・パウエル、ジョシュ・ブローリン、コールマン・ドミンゴ
配給:東和ピクチャーズ
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