(※編集部注:こちらの記事は1月11日時点の情報に基づいて執筆されたものになります。)
カバー画像:『ワン・バトル・アフター・アナザー』より © 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. and Domain Pictures, LLC. All Rights Reserved.
批評家賞作品賞を独占状態の
『ワン・バトル・アフター・アナザー』が一歩リードか
昨年は最後まで混沌としたオスカー・レースだったが、今年はどうなるだろうか。2026年1月22日(現地時間)に迫った第98回アカデミー賞のノミネーション発表を控え、1月上旬時点(ゴールデングローブ賞発表前)での作品賞最終候補10本に残りそうな有力作の動向を見ていこう。
いま最もアカデミー賞に近いと噂されている作品は、日本でも昨秋公開されたポール・トーマス・アンダーソン監督の『ワン・バトル・アフター・アナザー』。全米映画批評家賞で作品賞などを受賞したのをはじめ、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞や、クリティクス・チョイス・アワード、ニューヨーク映画批評家賞などの重要な批評家賞でも作品賞を次々受賞している。これまでアカデミー賞で作品賞、監督賞に縁のなかった名匠アンダーソンが初の戴冠なるか、注目される。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』デジタル配信中
権利元:ワーナー ブラザース ジャパン
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この対抗馬とされているのがクロエ・ジャオ監督の『ハムネット』。これまでにオスカーの登竜門、トロント国際映画祭の最高賞である観客賞の他、AFIアワードの作品賞などを受賞している本作は、文豪ウィリアム・シェイクスピアの名作戯曲「ハムレット」誕生の裏にあった悲劇と愛情の物語を描くもので、シェイクスピアの妻アグネスに焦点をあてている。スティーヴン・スピルバーグとサム・メンデスが製作総指揮に当たっており、本年度の賞レースで台風の目になること間違いない。

『ハムネット』4/10公開
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もう一本、全米年末公開で現在大ヒット中、かつ評価も急上昇中なのがティモシー・シャラメが卓球の才能豊かなサイテー男を演じる、ジョシュ・サフディ監督の『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』。世界一の卓球選手をめざすマーティが世界選手権の出場の資金集めのために奔走する姿を辛らつに描き、クリティクス・チョイス・アワードでシャラメが主演男優賞を受賞するなど勢いがついてきていて、今後の展開が楽しみな一作だ。
『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』3/13公開
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そして本年度の特徴ともいえるのが、アメリカ以外で製作された作品が有力候補になりそうな点。まず昨年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したヨアキム・トリアー監督作品『センチメンタル・バリュー』。ゴールデングローブ賞では7部門8ノミネートの快挙を果たした。映画監督の父親と舞台俳優になった娘の複雑な関係を描く家族ドラマで、ノルウェー、フランス、デンマーク、ドイツの合作だ。そして同じくカンヌでパルム・ドールを受賞したジャファール・パナヒ監督の『It Was Just an Accident(英語題)』も有力な一作。かつて不当に投獄された男が復讐を果たそうとする姿を描くスリリングかつユーモラスなドラマで、いままさにパナヒ監督自身がイスラム革命裁判所から懲役判決を受けて上訴することになっていることからも、作品の今後が注目されている。なおイラン映画だがフランスとの合作で国際長編映画部門には仏代表として選出されている。ゴールデングローブ賞でも作品賞など4部門で候補に。
『センチメンタル・バリュー』2/20公開
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『It Was Just an Accident(英語題)』2026年公開
©LesFilmsPelleas
この2作以外にもやはりカンヌで監督賞(クレベール・メンドンサ・フィリオ)と男優賞(ワグネル・モウラ)を受賞したブラジル、フランス・オランダ、ドイツの合作『The Secret Agent(英語題)』や、同映画祭審査員賞を受賞のオリヴァー・ラクセ監督のスペイン、フランス合作『Sirāt(原題)』なども国際長編映画賞だけでなく本選の作品賞の有力候補にも名を連ねていて、インターナショナルなノミネーションになるかもしれない。





