名優たちのエッセンスが宿る、深みのあるキャラクター造形
本作は、東野圭吾作品の真骨頂であるミステリー要素とともに、主人公・直井玲斗(なおい れいと)を中心に、心温まる家族たちの物語を描くアニメーション映画。
理不尽な解雇の末に逮捕された玲斗。将来を思い描くことも、人生の選択を自ら決める意志もなかった彼に訪れたのは、亡き母の腹違いの姉・柳澤千舟(やなぎさわちふね)との出会い。釈放してもらう代わりに彼女から命じられたのは、月郷神社に佇む<クスノキの番人>になること。戸惑いながらも番人となった玲斗は、さまざまな事情で境内を訪れる人々と出会う。家族に秘密にしながらクスノキの“祈念”に通う佐治寿明(さじとしあき)、そんな寿明の行動を不審に思い、その秘密を探るためクスノキを訪れる寿明の娘・佐治優美(さじ ゆうみ)、そして老舗和菓子メーカーの跡取り息子で家業継承のために“祈念”を行う大場壮貴(おおばそうき)ら、様々な理由でクスノキのもとを訪れる人々に翻弄されながら、クスノキに隠された謎に迫っていく――。
世界的な名優を参考に!監督・伊藤智彦が挑戦した「実在感」の追求
本作で監督・伊藤智彦は登場人物一人ひとりに圧倒的な「実在感」を宿すことを追求。キャラクターデザインを担当した山口つばさに「リアルなキャラと漫画っぽいキャラが混在する世界観」をリクエスト。打ち合わせの場では「多少日本人っぽく見えなくてもいい」と伝えたという。
原作の人間ドラマを映像化する際のエッセンスとして参考にされたのは、世界的な名優たちの佇まい。天海祐希が演じる千舟には、気高き神秘性を放つティルダ・スウィントンのイメージが投影された。伊藤監督は、制作初期段階から千舟を重要な登場人物という意識で造り上げてきたといい「海外女優のイメージ」と唱えていたという。千舟という人物を強いキャラクターとして描き、主人公である玲斗の“どうしようもない青年”というキャラクターとの対比を出そうとしたという。その軸でシナリオもキャラクターデザインも進行していった。

主人公・直井玲斗と千舟(右)
さらに千舟のハトコにあたる柳澤将和と柳澤勝重にはアル・パチーノとマ・ドンソクといったハリウッドスターたちの存在感を造形や挙動に織り交ぜ、一人一人が血の通った「人間」として緻密に設計していった。

柳澤将和

柳澤勝重
こうした徹底したこだわりは、豪華キャスト陣による声の熱演によって、さらに人間味のあるキャラクターへと仕上げていった。主演の高橋文哉は、無気力だった玲斗が「番人」として再生していく心の機微を、まるで自身の成長と重ね合わせるかのように等身大で表現。対峙する天海祐希は、凛とした強さの奥に孤独を滲ませ、監督が意図した「圧倒的な存在感」を声だけで体現した。
さらに、秘密を抱え葛藤する父娘を演じる齋藤飛鳥と大沢たかお、伝統への重圧に揺れる青年役の宮世琉弥ら、いずれのキャストもキャラクターが抱える「家族の絆」や「言えない思い」を深く解釈し、言葉にならない感情の揺らぎまでをも掬い上げた。
伊藤は音響監督も務め、本作の製作プロデューサーは「役者の芝居も全部直接のやり取りで、音楽・効果音・歌も含め、今回非常に伊藤さんのカラーが出ていると思います。」と話しており、隅から隅まで伊藤監督の挑戦が詰まった作品となっている。
アニメーション映画『クスノキの番人』 本予告映像① 【2026年1月30日(金)公開】
youtu.be『クスノキの番人』
絶賛公開中
配給:アニプレックス
©東野圭吾/アニメ「クスノキの番人」製作委員会

