Photo by Vanni Bassetti/Getty Images for Balenciaga
“自分から最も遠い存在を見つけることが、刺激になるんです”
── ルパート・サンダーズ監督があなたをキャスティングし、最初に会ったのは『ザ・クロウ』の撮影現場であるプラハでしたよね。お互いのケミストリーがうまくいくと、すぐに感じましたか?
「『うまくいかなければならない』と最初から分かっていました。僕は以前からFKAツイッグスの音楽やミュージックビデオの大ファンで、彼女と一緒に探っていけるという発想自体にすごくワクワクしていました。ルパートのキャスティングは本当にクールだと思いましたし、初対面のときも『これは絶対に成立させなきゃいけない』と感じていました。この2人のキャラクターに否定しようのない化学反応がなければ、映画自体が崩れてしまう。
実際にFKAツイッグスと会ってみるとすごく気が合って、一緒に作品を掘り下げることがとても楽で自然でした。彼女を知り、この作品を一緒に探っていく過程は、本当にやりやすくて楽しかったですね」
── 1994年版『クロウ/飛翔伝説』のブランドン・リーや原作コミックから、エリック像のインスピレーションは得ましたか? それとも完全に自分自身の解釈でしょうか。
「すべてはルパート・サンダーズ監督との対話から始まりました。彼が描こうとしている物語と、この新しいエリック像についてたくさん話しました。そのビジョンをもとにキャラクターを組み立てていったんです。
オリジナルとは大きく異なりますが、それこそが狙いでした。新しい構造と物語の中で、この映画ならではのエリックを、誠実でリアルな存在として作る。子どもの頃にオリジナル版は観ていましたし、今回改めて観直し、原作コミックも読みました。ただ最終的には、自分なりのやり方でしか向き合えない。これは新しい物語なんです」
── 役作りで特別な準備はしましたか?
「僕にとっては、観客が初めて出会う時点でのエリックが、どこから来て、どんな道を歩んできたのかを理解することが重要でした。なぜ人生と希望を完全に失った場所にいるのか。そこから始め、シェリーが彼にとっての“救済”として現れること、そして『君なしでは生きられない』という形で愛が増幅されていく。物語が転じてからは、神話的で超自然的な出来事の犠牲者となった彼の心理を探りました。最終的に自ら選んだわけではない存在へと変貌していく、その過程を。復讐の闇の天使へと花開いていく複雑な層を見つけることが大切でした」
── 肉体的にも大変な撮影だったのでは? 特にエリックの後半のメイクには相当時間がかかったのでは。
「タトゥーのメイクは毎朝かなり大変でしたし、その上、黒い血まみれになる。第3幕では、ほぼ全身が血と黒い液体で覆われています。見た目はクールですが、連続性を保つのは悪夢でした。実はオープニングクレジットが最後の撮影で、シロップ状の粘液のタンクに飛び込んだんです。あれはなかなか楽しかったですね」
── エリックのようなダークでアンチヒーロー的な役に惹かれますか?
「道徳的に曖昧なキャラクターの方が、単純なヒーロー像よりも魅力的に感じます。葛藤が多いほど面白い。観る側としても、そういう作品に惹かれますね。ただ、ダークな役だけを演じたいわけではありません。幅広く挑戦したい。でも、この世界の魅力は“作り話”であり、怪物やクリーチャーを演じる楽しさでもある。自分から最も遠い存在を見つけることが、刺激になるんです」
──『ザ・クロウ』のようなダークな作品から、気持ちを切り替えるのは難しかったですか?
「影響はありますね。4か月間、ほぼ毎日撮影していましたし、エリックは非常に重く暗いキャラクターです。撮影中は想像の世界に浸りきるので、どうしても引きずります。作品ごとに精神状態が変わるのは、そのせいだと思います」
COLUMN
ビル・スカルスガルドの、かつてないほどヒロイックな活躍にシビレる!
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』で神出鬼没のピエロ、ペニーワイズを怪演して注目されたビル・スカルスガルド。スウェーデンに生まれ、名優ステラン・スカルスガルドを父に持ち、兄弟も俳優として活躍中という背景は、本誌読者ならご存じだろう。そんな彼の快進撃が止まらない!
『デッドプール2』『エターナルズ』(声の出演)などのマーベル作品で顔を売り、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では悪役にふんしてキアヌ・リーヴスとの対決を演じきった。『バーバリアン』『ノスフェラトゥ』といった力作ホラー/スリラーでの堂々たる主演も見逃すわけにはいかない。
これまでヴィランを演じることの多かったビルだが、『ザ・クロウ』での彼はひと味もふた味も異なる。死後の世界から蘇ったダークヒーロー像は、これまで演じてきたホラーキャラにも通じるものがある。しかし肝心なのは、この主人公エリックが繊細で純真な青年であること。孤独を寄せ合い、惹かれ合った恋人シェリーに一途で、一時は自身の恋心に疑念を抱きもするが、それでも彼女のために自らを犠牲にしようとする。なんとも、いい男じゃないか! ビルはそんな心の変遷をリアルに表現する一方で、ハードなアクションにも挑戦。とりわけ、オペラハウスで繰り広げられる死闘の大熱演は脳裏にこびりつくこと必至。ビル史上最高にかっこいい彼が見られると言っても過言ではない。190センチを超える長身を存分に生かした、ヒロイックな活躍にシビレて欲しい。
「ザ・クロウ」シリーズはココが魅力!
復讐の先にある、あまりに純粋な“愛の物語”
映画版「ザ・クロウ」シリーズはアメコミ原作のホラーアクションではあるが、何よりも欠かせないのはラブストーリーであること。これは、婚約者と死別した体験を作品に投影した原作者ジェームズ・オバーの思いと無縁ではない。あの世に行っても、地獄に落ちても、愛する者を愛し続けたい。生死を超越した愛という物語の核は、今回の映画化でもしっかりと生きているのだ!
『ザ・クロウ』STORY
孤独な青年エリックとシェリーは、更生施設で出会い深い愛で結ばれる。だが謎の組織に襲われ、二人の命は無残に奪われてしまう。復讐の力を得て現世に蘇ったエリックは、自らの魂を代償に、愛する人を汚した者たちを闇へと葬るため孤独な戦いに身を投じる。
『ザ・クロウ』
3月6日(金)公開
監督:ルパート・サンダーズ
出演:ビル・スカルスガルド、FKAツイッグス、ダニー・ヒューストン
配給:クロックワークス
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