ニューヨークで15週連続上映の異例のロングランを達成した、話題のカミング・オブ・エイジストーリー『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』が2月27日に公開される。本作はデミ・ムーア主演『サブスタンス』を手がけ、世界中の映画ファンから熱狂的な支持を集めるアートハウス系ストリーミングサービス・配給会社MUBIにて、2021年度の最高視聴数を記録。さらにニューヨークでは16週間連続上映という異例のロングランを達成し、コロナ禍で見過ごされた傑作として語られてきた。この度、本作の脚本・監督を手がけた気鋭監督エマ・セリグマンのインタビューが届いた。

パパ活女子、お葬式で修羅場 
集まったのは〈両親・元カノ・パパ活相手〉
この気まずさ、限界。

大学卒業を間近に控えたある日、誰が亡くなったのかも知らされないまま、両親とともにシヴァへ参列することになったダニエル。故人の自宅へ到着すると、その場に居合わせた幼馴染で元カノのマヤがロースクールに合格したことで賞賛を受ける一方、ダニエルはパッとしない進路や容姿の変化について親類縁者たちから不躾に詮索され、次第に身の置き所を失っていく。そんな中、ついさきほど会っていたシュガーダディ(パパ活相手)のマックスが、容姿端麗な実業家の妻・キムと泣き叫ぶ赤ん坊を連れて現れる。プレッシャーが限界に達したダニエルの混乱は、自らの手にも負えない事態を招くことになり……。

『ボトムス 最底で最強?な私たち』(23)のエマ・セリグマン監督の長編デビューとなる本作は、21歳のときに大学の卒業制作として手がけた短編「Shiva Baby」の長編版。監督自身が経験した「シヴァ(ユダヤ教徒の葬儀)での気まずく滑稽な時間」に“シュガーベイビー(パパ活女子)”の友人たちのエピソードを重ね合わせ、自らの価値や将来に不安を抱く大学生・ダニエルが自己崩壊の危機に直面する決定的な数時間の出来事を描く。

短編に続き主演をつとめたのは、アメリカで絶大な人気を誇るマルチ・クリエイターのレイチェル・セノット。本作でゴッサム賞を受賞するなど俳優としての地位を確立した。そのほか、ウディ・アレン監督作の常連でもあるフレッド・メラメッドほか、モリー・ゴードン(『シアター・キャンプ』)、ダニー・デフェラーリ(『オッペンハイマー』)、ダイアナ・アグロン(『glee/グリー』)など実力派俳優が脇を固める。

また、2025年にドラマ「人生の最期にシたいコト」「ブラック・ミラー」シリーズでエミー賞にノミネートされたアリエル・マルクスが音楽を担当し、ミニマルかつ不穏さを孕んだスコアで賞賛を集めた。 制作当時はCOVID-19の影響で多くの映画祭が中止を余儀なくされる中、2020年8〜9月にかけて複数の映画祭でオンライン上映が実現し、同年のトロント国際映画祭で初の劇場上映。その後、ニューヨークで16週にわたる異例のロングランを達成した話題のカミング・オブ・エイジ・ストーリーが、ついに日本で劇場公開を迎える。

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「不安に押し潰されそうな若い女性たち」に届けたい

ニューヨーク大学在学中に制作した短編『Shiva Baby』を原点に本作を生み出した、エマ・セリグマン監督。短編を制作した最終学年、21歳の頃を振り返り「大学時代に見いだした偽りの“性的パワー”が徐々に燃え尽き、信じられないほど低い自尊心が掘り起こされていくことに気づいていた頃」と明かす。さらに「卒業が近づくにつれ将来への不安は確実に大きくなっていた」「セクシュアリティを通じて自立や主体性を得たつもりでも、親の目にはまだ子供に映っていた」と率直な当時の胸の内を語った。

本作の主人公ダニエルの設定<“シュガーベイビー(パパ活をする若い女性)”>にも、監督自身のリアルな周囲の経験が色濃く反映されているという。「親しい友人の中にそうした子が何人もいました。大学の多くの女の子がそうだったように、私自身も手っ取り早く同じことをしようとしていた」と赤裸々に告白。「卒業制作で教授から“自分の知っていることを書くように”勧められたとき、頭に浮かんだのがシュガーベイビーとシヴァだった」と語り、極めて私的な実感から物語が立ち上がったことを明かした。

ユダヤ人コミュニティで育った背景も、作品の核を形作る重要な要素となっている。「閉鎖的なコミュニティで育ち、何度もシヴァに参列しました。そのたびに興味深いと感じていたんです。誰かが亡くなったばかりなのに、人々はベーグルを食べ、不満を言い、子供を見せびらかし、踏み込みすぎる質問を投げかけてくる」と振り返る監督。哀悼の場に渦巻く嫉妬やユーモア、羨望――日常的なおしゃべりが入り混じる異様なコントラストに惹かれたといい、「家族の行事は愛と温かさに満ちる一方、世代間の違いがキャリアや逸脱性への疑問を突きつけてくる。大人になる物語の舞台としてこれ以上ない空間でした。ダニエルを“深い不安のシンフォニー”の只中に置きたかった」と述懐。

画像: 「不安に押し潰されそうな若い女性たち」に届けたい

そして完成した『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』が自身にもたらした変化についても言及。「この3年間で、この作品は私を思春期から大人の入口へ導きました。若い女性のセクシュアリティに伴うユーモアや恐怖、混乱、興奮への見方をゆっくりと、しかし劇的に変えていった」と語る。劇中で象徴的に登場するサーモン入りベーグルやおせっかいな親族たちというユーモラスで窒息寸前の舞台装置については、「思春期から大学時代に抱えていた無力感を清算することができました」と手応えをにじませる。

さらに脚本執筆から撮影、編集に至るまで机の上に掲げていたという“作品づくりの原動力となった信念(ミッションステートメント)”にも触れ、「不安に押し潰されそうな若い女性たちに“自分の声が誰かに届いている”と感じてもらいたい」と強調。「私にとって、これからキャリアを築こうとするステキなユダヤ人の女の子であることと同時に、解放されたセクシュアリティを持つ自立した若い女性であろうとすることは、これまでの人生で最大とも言える綱渡りでした」「私は『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』を観た若い女性たちが“矛盾して窒息しそうなプレッシャーの中にある自分たちを誰かが見てくれている”と感じてくれたらうれしいです。そして何よりも、ダニエルの物語を観てユーモアを感じ、少なくとも一時的な安堵感を味わってほしいと思っています」と力強くメッセージを送った。

画像: エマ・セリグマン監督

エマ・セリグマン監督

『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』 
2月27日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町全国公開 
監督・脚本:エマ・セリグマン 
出演:レイチェル・セノット、モリー・ゴードン、ダニー・デフェラーリ、ダイアナ・アグロン、ポリー・ドレイパー、フレッド・メラメッド 
2020|78分|英語|アメリカ、カナダ|原題:Shiva Baby|字幕翻訳:内海千広 <G> 
配給:SUNDAE 
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