2025年1月に配信され、人気を博した「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室」のシーズン2が動画配信サービスU-NEXTで独占配信されている。本シリーズで主人公ロビナヴィッチ(ロビー)を演じ、米テレビ界で最も権威ある賞のひとつとされるエミー賞において、第77回主演男優賞を受賞したノア・ワイリーがシーズン2について語ったインタビューが届いた。

エミー賞&ゴールデングローブ賞受賞の医療ドラマ

「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室」は、人気医療ドラマ「ER 緊急救命室」のチームが再集結し、ペンシルベニア州ピッツバーグの救急医療室(通常「ピット」)の1日を、1話1時間×全15話で贈るノンストップ医療ドラマ。24時間365日、ひっきりなしに運び込まれる患者と向き合い、命を救うために奔走する医師たちの過酷な現場を、圧倒的なリアリティと没入感で描く。

シーズン1は昨年1月に放送され、「2025年のU-NEXT人気海外ドラマランキング」では「AND JUST LIKE THAT... シーズン3/セックス・アンド・ザ・シティ新章」「THE LAST OF US シーズン2」に続く第3位にランクインするなど、数ある海外ドラマの中でも高い支持を集めた。

また、世界的にも高い評価を受けており、米テレビ界で最も権威ある賞のひとつとされるエミー賞において、第77回授賞式で作品賞、主演男優賞(ノア・ワイリー)、助演女優賞(キャサリン・ラ・ナサ)を含む13部門ノミネート、5部門受賞という快挙を達成。

さらに、ゴールデングローブ賞でも作品賞・主演男優賞の2部門にノミネートされるなど、世界から注目を集める医療ドラマとなっている。

数ある医療ドラマの中で「ザ・ピット」が支持されるのはなぜか?

──「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室 シーズン2」の舞台設定について教えてください。

シーズン2の舞台は、前作で描かれた銃乱射事件から10か月後、独立記念日(7月4日)の週末です。この10か月という時間は、登場人物それぞれにとって大きな意味を持っています。リハビリを経て、ようやく現場復帰を果たす人もいれば、現場に立ち続けながら経験と自信を積み重ねてきた人もいる。トラウマと向き合い始めた人がいる一方で、助けが必要だという事実を受け入れられず、その影響が別のかたちで表面化している人もいます。シーズン1が「医者もまた患者である」という物語だとすれば、シーズン2は「医者は必ずしも良い患者ではない」という物語ですね。

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──シーズン間を10か月空け、さらに独立記念日の週末を舞台にした理由は?

きっかけは、エグゼクティブ・プロデューサー兼監督のジョン・ウェルズが、私とR・スコット・ジェミルに話をしてくれたことでした。彼は「前作を超えなければならない」というプレッシャーを感じる必要はない、と言ってくれたんです。彼が私たちに求めたのは、「過剰な演出に走らないこと」。つまり、再び銃乱射事件のような大惨事を描くのではなく、前作から時間が経ったあとの彼らの人生をもう一度覗いてみよう、という発想でした。忙しい週末が続き、疲労が蓄積していく―その”疲れそのもの”が、十分にドラマになると考えたんです。

もしシーズン2に大きな事件がなくても、主人公が精神的に追い詰められていく物語として成立するなら、この作品は救急外来で起こる人間ドラマだけで、長く続けていけるはずです。だから私たちの合言葉は、「スケールを大きくする」「展開を加速させる」ではなく、「もう一度、同じことをやる」でした。

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──10か月を経て、ロビーはどう変わりましたか?

物語の冒頭から、ロビーには明らかな変化があります。これまでのように徒歩で出勤するのではなく、バイクで現場に向かっているんです。しかもヘルメットを着けていない。ところが序盤で、彼は誰かに「普段はちゃんとヘルメットを被っている」と話します。この時点で、彼が何かを隠していることは明らかです。ただ、それが何なのかは、まだわかりません。

彼はこれからサバティカル(長期休暇)に入る予定で、このシフトが休暇前の最後の勤務になります。3か月間の旅に出る計画を語るその姿は、どこか理想的でロマンチックです。しかしシーズンが進むにつれ、彼がなぜ旅に出ようとしているのか、そしてその旅が何を意味するのかが問われていきます。それは、向き合うべき現実からの逃避なのか。それとも、正しいセルフケアなのか。その揺らぎこそが、今シーズンの大きなテーマになっています。

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──キャラクター描写と、慌ただしい展開をどう両立させていますか?

それは、実際の医療従事者と同じです。3人の子どもを育て、夫婦関係や生活費の問題を抱えながらも現場に立ち、1時間に4回も「誰かの人生で最もつらい瞬間」に立ち会わなければならない。

彼らは、それらすべてを一旦心の中で切り分け、極めて高い集中力で仕事をこなします。ある意味、超一流のアスリートなんです。火の中へも、銃声の響く場所でさえも、負傷者のもとへと駆けつける。それができるのは、自分の専門性によって人を救えるという確信があるからです。例えるなら、残り時間わずかで2点ビハインドの場面があったとき、誰もがボールを欲しがるわけではありません。しかし、私が出会ってきた医師たちは、例外なくそのボールを欲しがる人たちでした。

一方で、彼らは私生活の問題を心の奥に押し込めたまま仕事をしている。それを30年も続ければ、バランスを崩し、必ずどこかで壁にぶつかります。

ロビーは良い患者ではありません。彼は素晴らしい医師ですが、医師という職業は本質的に「外向き」で、自分の内面に目を向けることに慣れていない。そして、いざ内面と向き始めたとき、人は必ずしも良い反応を示すとは限らない。彼の誰にも見せられない内側を演じることは、とても興味深い体験でした。

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──医療ドラマは数多くありますが、「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室」が支持されている理由は?

「最もリアリティのある医療ドラマ」と言われる理由は、その正確さと、作り物感を徹底的に排している点にあると思います。

音楽やサウンドデザイン、スタッフ編成も最小限。カメラマンは2人、音声スタッフ1人。それ以外は、すべて現場の環境音です。 そのため撮影中も非常に没入感があり、その感覚が視聴体験にも反映されています。

パトカーの後部座席に乗って同行取材をする、あるいは戦地に同行するジャーナリストに近い感覚ですね。安全でも快適でもない。でも、一度入り込むと、簡単には抜け出せない。受動的に眺めることはできず、スマホを置いて向き合うことを求められる。あなたはもう観客ではなく、作品の中にいるんです。

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──シーズン2で、よりリアルで没入感のあるものにできた理由は?

スタイルとコンセプトが正しかったと証明されたことで、同じやり方を自信を持って続けられたことです。通常、俳優は床に貼られた場ミリに立ちますが、私たちの現場にはそれがほとんどありません。カメラが俳優を追いかける、完全にジャーナリスティックな撮影手法です。

その結果、俳優は構図や照明を気にせず、処置そのものに集中できる。その集中力が、より引き込まれる演技につながっています。

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──医療職を志す人を増やすきっかけになれば、と話していましたが反響はありましたか?

この作品には、「再び医療の現場に人を呼び戻したい」という明確な目的があります。コロナ禍以降、多くの人が救急医療の現場を離れました。一時は人気の高かった救急医療が、命の危険と隣り合わせの仕事と見なされ、看護師不足や人員不足が深刻化した。その状況は、コロナが落ち着いた今も大きくは改善されていません。

さらに地方の病院が閉鎖され、医療保険を失った人々が救急外来に集中することで、現場は慢性的な過密状態にあります。

そんな中で、この仕事を再び「魅力的なもの」として描けているなら、わずかながら効果はあったのではないでしょうか。実際に「子どもが医師や看護師に興味を持ち始めた」という声を聞くこともあります。それが本当なら、とても嬉しいですね。

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──この作品の演技は、どれほど過酷ですか?

シーズン序盤は、朝7時に現場入りします。物語上も第1話は朝7時の設定なので、キャストの体力的にもまだ余裕があります。しかしエピソード10〜13に進むにつれて、物語の時間帯は午後から夜へ移っていく。そうした回では、朝6時半に現場入りしながら、すでに長時間勤務を終えた状態を演じなければならない。それが一番大変でした。ただ不思議なことに、実際に疲れてくるほど、その疲労を演技に落とし込みやすくなる面もあります。

シーズンの初めに、私は全キャストに「15時間、丸一日立ちっぱなしで過ごす」という課題を出しました。空腹を感じるタイミングや、トイレに行きたくなる間隔を記録し、それを演技に反映させる。その積み重ねが、自然な演技につながると考えたんです。

やり方は違っていても、キャスト全員が同じような意識で取り組んでいました。

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──海外での反響をどう感じていますか?

「ER 緊急救命室」シリーズが世界的に成功したときと同じくらい、いまでも信じがたい気持ちです。ピッツバーグという非常にローカルな舞台の物語が、これほど世界に届いていることに驚いています。

今の時代、人々はどこに住んでいても、「もし自分が病院に運ばれたとき、そこには献身的で信頼できる医療従事者がいてほしい」と願っています。その想いに、このドラマが真っ直ぐと応えていることが、安心感につながっているのではないでしょうか。

また、実際に医療の現場で働く人たちにとっても、完璧ではなく、欠点や葛藤も抱えながらも職務を全うする姿として描かれている点に、意味があるはずです。

救急外来は、警察署やホワイトハウスとは違い、誰もが利用する可能性のある場所です。誕生、死、病、人生の節目―あらゆる人間の経験が交差する場所だからこそ、世界中の人を惹きつける。その普遍性が、この作品を世界と強くつないでいるのだと思います。

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「ザ・ピット / ピッツバーグ救急医療室 シーズン2」
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