カンヌ国際映画祭コンペティション部門 審査員賞は最高賞パルムドール、グランプリに次ぐ主要賞のひとつで、その年のコンペ出品作の中から特に独創性や挑戦性を評価した作品に贈られる。パルムドールとは異なる観点から“審査員が強く推した一本”を示す賞として知られ、映画ファンの間でも注目度の高い受賞枠である。日本を代表する映画監督のひとり、是枝裕和も『そして父になる』で第66回審査員賞を受賞している。これまで同賞に輝いた作品群―世界の映画人たちが見出してきた“個性的で挑戦的な才能”の系譜を紹介する。

『枯れ葉』(2023) 第76回<審査員賞受賞>アキ・カウリスマキ監督

フィンランドの名匠アキ・カウリスマキが引退を撤回、5年ぶりに手がけた本作は、孤独な男女の出会いを静謐なユーモアとともに描いた、ミニマルなラブストーリー。カウリスマキ監督の「労働者3部作」――パラダイスの夕暮れ、真夜中の虹、マッチ工場の少女――に連なる第4作として、厳しい現実の中でも不器用ながら真っ直ぐに生きる人々のつつましい日常を静かに見つめ、そして確かな希望をすくいあげる。

画像: アキ・カウリスマキ監督『枯れ葉』予告編 youtu.be

アキ・カウリスマキ監督『枯れ葉』予告編

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『レ・ミゼラブル』(2020) 第72回<審査員賞受賞>ラジ・リ監督

第92回アカデミー賞国際長編映画賞にフランス代表としてノミネート。<レ・ミゼラブル>の舞台として知られ、現在は犯罪多発地区の一部となっているパリ郊外モンフェルメイユを背景に、現代社会の闇をリアルに描き出す衝撃作であり、自身も同地出身のラジ・リによる初長編監督作品。新人警官ステファンは、同僚たちとともにパトロールにあたるが、ひとりの少年が起こした些細な事件をきっかけに、やがて取り返しのつかない事態へと発展していくー。息詰まるリアリズムと圧倒的な緊迫感で観る者を引き込む本作は、ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』とパルムドールを競ったことでも大きな話題を呼んだ。

画像: 映画『レ・ミゼラブル』15秒スポット youtu.be

映画『レ・ミゼラブル』15秒スポット

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『そして父になる』(2013) 第66回<審査員賞受賞>是枝裕和監督

学歴も仕事も家庭も手に入れ、自らの力で築いた人生を誇ってきた良多(福山雅治)。だがある日、病院からの一報で、6年間育ててきた息子が出生時に取り違えられた別の夫婦の子どもだったと知る。血のつながりか、共に過ごした歳月か――。突然突きつけられた究極の選択に揺れる二つの家族の姿を通して「愛」と「絆」、そして「家族」の本質を問いかけるヒューマンドラマ。この5年後、『万引き家族』でパルムドールを獲得、長年にわたりカンヌで高く評価され続けている、日本を代表する映画監督のひとりである。

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そして父になる 予告編

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『落下音』(4/3公開) 第78回<審査員賞受賞>マーシャ・シリンスキ監督

1910年代のアルマ、1940年代のエリカ、1980年代のアンゲリカ、そして現代のレンカ――4つの異なる時代を生きる4人の少女たちが、同じ土地で体験する不可解な出来事を描いた、百年にわたる映像叙事詩である本作。音響、映像美、何層にも重なる物語など、独創的な映画的アプローチを通して、感覚的に世界を捉え直す試みが評価、唯一無二の世界観を生み出し、「今年のカンヌで最も記憶に残る作品」「映画言語を更新する新たな才能」「次世代を担う重要な監督の登場」といった称賛が相次ぎ、瞬く間に映画祭の“ダークホース”として注目を集める存在となった。

<STORY>
1910年代、アルマは同じ村で、自分と同じ名を持つ幼くして死んだ少女の気配に気づく。1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは片脚を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体のしれない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていた。そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感に蝕まれていく。百年の時を経て響き合う彼女たちの<不安>が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていく――

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『落下音』本予告【4月3日(金)公開】

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『落下音』
4月3日(金)新宿ピカデリー ほか全国ロードショー 
監督・脚本:マーシャ・シリンスキ  
出演:ハンナ・ヘクト、レア・ドリンダ、レーナ・ウルツェンドフスキー、レーニ・ガイゼラー 
英題:SOUND OFFALLING |2025年|ドイツ|カラー|ビスタ|5.1ch|155分|字幕翻訳:吉川美奈子|PG-12| 
配給:NOROSHI ギャガ 
(C) Fabian Gamper - Studio Zentral

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