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“私は撮影中に監督のマギーから演技に関して指示をもらうのが大好きなんです。
この映画の撮影が終わり、それがないことを寂しく感じています”(ジェシー)
近年、女性監督の作品が海外の映画祭や賞レースなどでも注目されているが、ハリウッドの演技派女優でありながら、監督としても本気を見せているのがマギー・ギレンホールである。大ヒット作『ダークナイト』(08)やオスカー候補となった『クレイジー・ハート』(09)の演技で評価されたが、監督としてはNetflix作品『ロスト・ドーター』(21)でデビュー。イタリアの女性作家、エレナ・フェランテの小説を自身で脚色して、アカデミー脚色賞候補となっている。
そんな彼女の監督2作目となった新作が『ザ・ブライド!』。1930年代の伝説的なホラー映画『フランケンシュタインの花嫁』(35)から得たアイデアをマギー独自の解釈でふくらませた作品である。そして、この映画でマギーと2回目のコンビを組むことになったのが『ハムネット』(26)で数々の賞を獲得しているジェシー・バックリー。マギーの前作『ロスト・ドーター』でもアカデミー賞助演女優賞候補となったが、今回は主演女優として大胆な役作りを見せ、マギーのよき共犯者となっている。
ブライドのパワフルな存在が核になる作品だが、他にもブライドを作り上げる博士(アネット・ベニング)、おたずね者となるブライドや恋人フランケンシュタインを追う捜査官(ペネロペ・クルス)など女性の活躍が目立つ構成になっている。
2月に監督のマギー・ギレンホールとブライド役のジェシー・バックリーにズームでインタビューが実現。「この映画は女性の視点で撮られていますね」という質問に関して、まずマギーがこんな答えを返してくれた。
「女性の私が作った作品なので、当然、女性の視点の映画になっています。それはすごく自然なことですよね。そして、女性の人物像には、すごく興味がありますが、同時に女性から見た男性像にも着目した作品です。これは人に聞いた話ですが、昨年の映画界で女性監督の比率は約7パーセントだったようです。つまり、女性監督はまだ多くないので、その視点には人と違った新鮮なものがあり、ラディカルな部分もある、ということでしょうね」
“女性の人物像には、すごく興味がありますが、
同時に女性から見た男性像にも着目した作品です”(マギー)
今回の『ザ・ブライド!』はハリウッドのスタジオによる大型作品。この点をマギーも意識していて、「女性の視点を打ち出した作品で、ここまで大きな規模の作品は珍しいかもしれませんね。自分としては、すごく自然な感覚で作ったんですが、まわりの反応を見ていると、どうやら少し危険で、ラディカルな部分もあるようです」。そう言いながらマギーは笑っていた。
この映画の描写はかなりエッジが効いていて、かつて過激な暴力描写が話題を呼んだ名作『俺たちに明日はない』(67)を明らかに意識した場面も用意される。また、ザ・ブライドやフランクのメイクは、ホラーというよりパンク・テイストを思わせる。ふたりのどこか破滅的な関係は、70年代の伝説のパンク・バンド、セックス・ピストルズのシド・ヴィシャスと彼の恋人、ナンシー・スパンゲンの悲恋を追った『シド&ナンシー』(86)に重なる部分もある。映画の舞台は1930年代だが、音楽に関しては80年代のとがった感覚も盛り込まれ、時代設定があいまいになっているところが、この映画の個性でもある。
ブライド役のジェシー・バックリーは、繊細で、内省的な演技を見せた『ハムネット』の母親役とは、まったく異なるアグレッシブな演技で見る人を驚かせる。マギーとは前作『ロスト・ドーター』に続く2度目のコンビとなったが、彼女はマギーのことを心から信頼し、気にいっているようで、その共犯関係についてはこう語った。
「私は撮影中に監督のマギーから演技に関して指示をもらうのが大好きなんです。この映画の撮影が終わり、それがないことを寂しく感じています。現場で彼女は私の耳元に素晴らしい指示を出す。そして、私が彼女の求めるような演技を見せる、という流れです。その共通の合図で、コミュニケーションがうまくいくんです。だから、すぐに作品の世界に飛び込めるし、そんな仕事のやり方がすごく楽しいです」
ジェシーはマギーのことを“ソウル・シスター”と呼んでいるが、そんなシスターフッドに関してマギーはこう答えてくれた。
「前作の『ロスト・ドーター』で初めてジェシーに会った時、最初はお互い、すごくナーバスになっていました。でも、そのうち、ふたりが同じ“言語”を話していることに気がつきました。ただ、この映画の経験から、すべての女優たちにジェシーと同じやり方は通用しないことが分かりました。前作の主演だったオリヴィア・コールマンに接した時、『あなたの言っていることがよく分からないわ』と言われてしまったんです(笑)」
今回の映画では他にも博士役のアネット・ベニング、捜査官役のペネロペ・クルスなど実力ある多彩な女優たちとマギーの共同作業が実現している。
「そこで女優たちとのつき合い方を考えてみたんです。ベテランのアネットにはそんなに多くの指示はいらないと思いました。ペネロペにも他の女優のやり方は通用しないように思えました。こんな風に女優たちとの関係を学んでいくのがすごく楽しかった。そして、ジェシーの場合、まるで自分自身に話しかけるように接することができるんです」
取材中のふたりは本当に仲が良さそうで、監督のマギーは現場をしきるリーダーで、彼女の世界観を体現しようとするジェシーはよき妹に思えた。そんなお互いへの信頼感や共犯関係があってこそ、マギーは自身の大胆な解釈で、挑発的でオフビートながら、ちょっと切ないブライドの物語を作り上げ、ジェシーもこの映画で新境地に挑戦できたのだろう。
Profile
マギー・ギレンホール
1977年11月16日、アメリカ・ニューヨーク生まれ。10代に父の監督作で映画に初出演。監督としても活躍し『ロスト・ドーター』(21)でベネチア映画祭の脚本賞を受賞。
ジェシー・バックリー
1989年12月28日、アイルランド生まれ。マギーとタッグを組んだ『ロスト・ドーター』でオスカー助演賞候補になった。本年度も『ハムネット』(26)でオスカー主演賞候補に。
『ザ・ブライド!』
2026年4月3日(金)公開
アメリカ/2026年/2時間6分/東和ピクチャーズ=東宝配給
監督:マギー・ギレンホール
出演:ジェシー・バックリー、クリスチャン・ベール、ピーター・サースガード、アネット・ベニング、ジェイク・ギレンホール、ペネロペ・クルス
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