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マギー・スミス
(ミネルバ・マクゴナガル役/『賢者の石』より出演)
厳格な愛と不屈のプロフェッショナリズム
第1作『賢者の石』から全シリーズを支え続けたマギー・スミス。第6作『謎のプリンス』の撮影時は乳がん闘病中という過酷な状況にありながら、現場では「ウィッグがズレるのだけが心配」と冗談を飛ばし、周囲には微塵も体調の悪さを感じさせなかったという。2024年に89歳でこの世を去った今も、彼女が劇中のマクゴナガル先生さながらに体現した「品格」と不屈のプロ意識は、後進の行く手を照らし続けている。
マギー・スミス
リチャード・ハリス
(アルバス・ダンブルドア役/『賢者の石』・『秘密の部屋』に出演)
優しき威厳をたたえた、初代ダンブルドア
第1作『賢者の石』から2作品でホグワーツ魔法魔術学校の校長ダンブルドア役を務めた。当初は出演を断っていたが、11歳の孫娘から「出演しなきゃ二度と口をきかない」と脅され、役を引き受けたという。現場では、精巧な仕掛けの不死鳥フォークスを本物の鳥だと信じ込み、「最近の鳥はよく訓練されているね」と感心して話しかけていた純粋な一面も。2002年に逝去したが、その温かな知性は今も作品を包む不変の安心感として生き続けている。
リチャード・ハリス
マイケル・ガンボン
(アルバス・ダンブルドア役/『アズカバンの囚人』より出演)
茶目っ気と威厳をまとった、偉大なる校長
リチャード・ハリスから役を引き継ぎ、シリーズ最終作までダンブルドア校長を演じた。重厚な演技の一方で、素顔はいたずら好きでユーモアたっぷり。本番直前まで子役たちを笑わせ、ローブのポケットに煙草を忍ばせては、休憩中にハグリッド役のロビー・コルトレーンと一服していたという人間味あふれる姿も印象的だ。2023年に逝去した際、ダニエル(ハリー役)は「彼が現場にいるだけで、そこは魔法の世界になった」と語り、その存在の大きさを偲んだ。
マイケル・ガンボン
ロビー・コルトレーン
(ハグリッド役/『賢者の石』より出演)
その大きな体に、誰よりも深いあたたかさ
ホグワーツの鍵と領地を守る番人、ハグリッド役でシリーズ全作に出演。野性味あふれる外見とは裏腹に、誰よりも温かな心の持ち主だった。激しい雨の撮影中、巨大なコートの裾に子役たちを招き入れて雨を凌がせたというエピソードは、まさにハグリッドそのもの。2022年に逝去した後も、ファンの胸に刻まれている言葉がある。「50年も経てば、私はいない。でもハグリッドはここにいる」。その言葉の通り、彼は今も森の番人として私たちを見守っている。
ロビー・コルトレーン
ヘレナ・ボナム=カーター
(ベラトリックス・レストレンジ役/『不死鳥の騎士団』より出演)
奇抜な姿に込めた、唯一無二の役者魂
第5作『不死鳥の騎士団』から、ヴォルデモートへの狂信的な忠誠を誓う最凶の魔女ベラトリックス・レストレンジとして登場。シリーズでは最凶の魔女を演じるべく、自ら鳥の巣のような髪型を提案。さらに「中世の狂気的なシルエットを出すため」にコルセットを極限まで締めるよう依頼するなど、徹底したこだわりで最凶の魔女を確立した。「大人はハリポタファンを卒業すべき」との意見にも、「人は何歳になっても心の中に大きな子供を持っている。その子供らしさを生き続けさせなきゃ」とファンを全肯定。彼女の自由な生き様は、今もなお多くの共演者やファンの心を惹きつけて止まない。
ヘレナ・ボナム=カーター
レイフ・ファインズ
(ヴォルデモート役/『炎のゴブレット』より出演)
闇の帝王の、意外な素顔
第4作『炎のゴブレット』で初登場し、最終作まで闇の帝王・ヴォルデモート役を務めた。劇中では恐怖の象徴だが、撮影現場での素顔は驚くほどチャーミング。衣装のタイツのズレを防ぐため自らガーターベルトを装着し、ローブを捲り上げ「美脚」を披露しては周囲を笑わせていたそう。一方で役作りには妥協がなく「人間味を排除し、子供たちが本能的に震え上がる異形の怪物」であるために、あえて鼻をデジタル加工で消すことを提案。完結編『死の秘宝 PART2』でのドラコへの不気味なハグも、「愛を知らぬ者が示す精一杯の親愛」という独自の解釈が生んだアドリブ。遊び心と凄まじいプロ意識で、唯一無二の帝王を完成させた。
レイフ・ファインズ
ゲイリー・オールドマン
(シリウス・ブラック役/『アズカバンの囚人』より出演)
物語を越えてハリーを導いた、人生の道標
第3作『アズカバンの囚人』から、刑務所を脱獄したハリーの名付け親、シリウス・ブラック役としてシリーズに加わったオールドマン。撮影時は、実生活でもシングルファーザーとして息子たちを育てる多忙な日々の中にあり、後に本作への出演を「育児と仕事を両立させてくれた人生の救いだった」と回想している。現場では、俳優としての将来に迷っていた若きダニエル(ハリー役)に寄り添い、演技の師、そして実の父のように温かく見守った。その存在は、ダニエルが「俳優として生きていく」決意を固めるうえで、計り知れないほど大きな心の支えになったという。
ゲイリー・オールドマン
ジェイソン・アイザックス
(ルシウス・マルフォイ役/『秘密の部屋』より出演)
気高き悪役に宿した、物語を越えて続く“親子の絆”
第2作『秘密の部屋』から、傲慢な純血主義の貴族ルシウス役として登場。劇中では息子ドラコに冷徹に接したが、撮影の合間には、自身の威圧的な演技に怯える幼いトム・フェルトン(ドラコ役)を気遣い、カットのたびに駆け寄って抱きしめていたという。その絆はシリーズが完結した今も健在で、2022年にトムが舞台「2:22 A Ghost Story」でウエストエンドデビューを飾った際も真っ先に駆けつけ、舞台裏で「誇りに思う」と愛に満ちたエールを送った。作品を越えて続く“本物の親子”のような交流は、今も多くのファンの心を温め続けている。
ジェイソン・アイザックス
デヴィッド・シューリス
(リーマス・ルーピン役/『アズカバンの囚人』より出演)
その穏やかな眼差しに、誰よりも深い孤独と慈しみ
実は第1作『賢者の石』でクィレル役のオーディションに落ちた過去を持つ。だが数年後、自身の監督作『Cheeky(原題)』の現場で、その役を射止めたイアン・ハートと再会。そこで届いたルーピン役のオファーに、「原作で最高のキャラだ、絶対やるべき!」と背中を押してくれたのは、他ならぬイアンだった。劇中で「ある変化」を遂げるシーンでは、13時間もの過酷な特殊メイクを強いられたが「物語の一部になれるなら苦ではない」と完遂。撮影の合間にはダニエルらと趣味の音楽談義で盛り上がるなど、その気さくな人柄は、共演者たちの心の支えとなった。
デヴィッド・シューリス
まだまだいっぱい!
魔法の物語を支えた、英国演劇界の至宝たち
「え、この人も出ていたの!?」と、今見返してもその豪華さに驚かされるのが「ハリー・ポッター」シリーズの脇を固める顔ぶれだ。まずは第1作『賢者の石』で、名優ジョン・ハートが杖専門店の店主ギャリック・オリバンダーを演じ、ハリーに運命の杖を手渡した。
第2作『秘密の部屋』では、虚栄心の塊であるケネス・ブラナーが、闇の魔術に対する防衛術を教えるギルデロイ・ロックハートを軽妙に演じ、第3作『アズカバンの囚人』からは、エマ・トンプソンが占い学の教授、シビル・トレローニーとして出演。
さらに第4作『炎のゴブレット』では、ブレンダン・グリーソンが重厚な闇祓いの教授、アラスター・ムーディを体現。そして第5作『不死鳥の騎士団』では、イメルダ・スタウントンが魔法省出身の闇の魔術に対する防衛術の教授、ドローレス・アンブリッジを熱演。
名優たちの本気の役作りが、魔法界をただの空想に終わらせない“本物”の輝きを与えている。

ジョン・ハート(左)、ケネス・ブラナー(右)
エマ・トンプソン

ブレンダン・グリーソン(左)、イメルダ・スタウントン(右)
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