DCユニバース最新作『スーパーガール』を更に楽しむための情報をお届け!後半は、過去作やコミックにまつわる注目ポイントをご紹介します。(文・杉山すぴ豊/デジタル編集・スクリーン編集部)
カバー画像:『スーパーガール』より © & TM DC © 2026 WBEI

LEGACY〈杉山すぴ豊が解説!〉

【 09 】
原案のコミックは
世界的な評価を受けた一冊!

映画『スーパーガール』は『Supergirl:Woman of Tomorrow』というタイトルになるはずでした。というのも2021年に発表された同名のコミックが原案だからです。スーパーガールの愛犬クリプトが悪党のクレムの毒矢を受け負傷。その解毒剤を手に入れるためルーシーという少女とともにクレムを追うというストーリー展開はコミックと同じ。アートも素晴らしくアイズナー賞(世界的な漫画賞)の候補になるなど高い評価を受けました。

6月26日(金)発売
スーパーガール:ウーマン・オブ・トゥモロー 完全版(上)
2,970円(税込) 発売元:フェーズシックス出版
*下巻は8月発売予定 © & ™ DC. © 2026 WBEI.

【 10 】
その軌跡を辿りながら解説!
今回の“スーパーガール”は何が違う?

コミックにおけるスーパーガールとは

スーパーガールとは一言で言えばスーパーマンのいとこ。コミックでのデビューは1959年のアクション・コミック誌252号。恐らくスーパーマンの人気テコ入れのために新キャラを導入したかったのでしょう。またバットマンにおけるロビンみたいにティーンの相棒をスーパーマンにつけたかったのかもしれません。なお、スーパーマンの女性版というアイデアはこれ以前にもあり、スーパーマンの恋人ロイスがスーパーパワーを身につけるとか、スーパーマンの相棒ジミー・オルセンが魔法の力で“スーパー・ガール(SUPER−GIRLとつづります)”を生み出すエピソードがありました。

アメコミの場合、その設定が後付けで多少変わることもありますが、現時点でのスーパーガールのオリジン(誕生秘話)は次の通りです。スーパーガールの本名はカーラ・ゾー=エル。スーパーマン同様惑星クリプトンの住人です。母星が崩壊の際、その大地の一部が都市を乗せたまま宇宙を放浪します。その都市の名はアルゴシティ。この街は特殊なドームに覆われていたため、ドームのついた地表ごと宇宙を漂いなんとか生き延びます。このアルゴシティに両親と共に住んでいたのが少女時代のカーラです。

しかし、アルゴシティは隕石雨を受けドームが崩壊。カーラの父ゾー=エルは娘を宇宙へと逃がします。ゾー=エルは兄のジョー=エルの息子カル・エル(つまりスーパーマン)が赤ん坊の時に地球へ送り出されたことを知り、カーラを地球へと送るわけです。こうしてスーパーマンと同じコスチューム、同じ能力を持つ少女ヒーローが誕生します。

過去の映画では“代打”的イメージも?

スーパーガールは何度か実写映像化されました。1984年に映画『スーパーガール』が公開。これは当時作られていたクリストファー・リーヴ出演の『スーパーマン』映画のスピンオフで主人公を演じていたのはヘレン・スレイター。次はドラマで「ヤング・スーパーマン」のシーズン7(2007)より登場。ローラ・ヴァンダーヴォートが演じています。

画像: ヘレン・スレイターが実写版初のスーパーガール(1984年) Photo by Getty Images

ヘレン・スレイターが実写版初のスーパーガール(1984年)
Photo by Getty Images

「ヤング・スーパーマン」のローラ・ヴァンダーヴォート(2007〜2011)
Photo by Getty Images

そして2015年から2021年にかけて放送されたドラマ「SUPERGIRL/スーパーガール」ではメリッサ・ブノワが主人公役。2023年に公開された映画『ザ・フラッシュ』ではサッシャ・カジェがスーパーガール役。なお、この映画ではマルチバースを漂うシーンで様々な世界のスーパーマンたちが登場しますが、そこでクリストファー・リーヴのスーパーマンとヘレン・スレイターのスーパーガールが(CGですが)共演する場面があります。

どのスーパーガールも素敵ですがヘレン版・メリッサ版はスーパーマンのようにスーパーガールが地球の人々を悪の手から守るという典型的なヒーロー物。サッシャ版ではスーパーマンの代わりに彼女が活躍するという設定です。若干スーパーマンの代打的な描かれ方でした。それらに比べ、今回の『スーパーガール』は彼女自身の物語によりフォーカスしています。

メリッサ・ブノワ主演のドラマ版は計6シーズンの人気シリーズに(2015〜2021)

「SUPERGIRL/スーパーガール

〈ファースト・シーズン〉」デジタル配信中
権利元:ワーナー ブラザース ジャパン
ブルーレイ&DVD発売元/販売元:
ハピネット・メディアマーケティング

©2015 Warner Bros. Entertainment Inc. SUPERGIRL and all related pre-existing characters and elements TM and © DC Comics based on characters created by Jerry Siegel & Joel Shuster. SUPERGIRL series and all related new characters and elements TM and © Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

画像: サッシャ・カジェ版はスーパーマン不在の世界に登場(2023)

サッシャ・カジェ版はスーパーマン不在の世界に登場(2023)

『ザ・フラッシュ』デジタル配信中

権利元:ワーナー ブラザース ジャパン
ブルーレイ&DVD発売元/販売元:
ハピネット・メディアマーケティング

DC LOGO, THE FLASH and all related characters and elements © & ™ DC. The Flash © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

人物像から違う今回のスーパーガール

僕は当初メリッサ版のスーパーガールのように地球の街・大都会を舞台にスーパーガールがかっこよく活躍する映画を期待していました。しかし、それでは前作の『スーパーマン』とほとんど変わらないですよね。そこで今回、映画の製作陣は地球が舞台のヒーロー映画ではなく宇宙を軸にしたロードムービーとして本作を仕上げました。宇宙の旅を通じて主人公が成長していくドラマです。一方アクションの方は荒くれエイリアンを相手にカーラが大バトルする宇宙版「マッドマックス」的な痛快さ。ここにジェイソン・モモア演じる、ワイルドな宇宙の賞金稼ぎロボ(コミックでも人気のアンチ・ヒーロー)が絡んできます。

今までのスーパーガールがどちらかというと明るくて元気な女性だったの対し、今回のカーラは少しやさぐれていて世の中を白けた目でみています。というのも、カル=エル/スーパーマンは実の両親との直接的な記憶やクリプトン星での思い出がないまま赤ん坊の時に地球に送られましたが、それに対してカーラ・ゾー=エル/スーパーガールは両親やアルゴシティで暮らした日々があり、それらとの別れがあるわけです。したがって、故郷を失う哀しみを彼女は知っているわけですね。

ミリー&監督の過去作的にも今回のテイストはぴったり

すごいパワーを持っているのに心に深い傷を負った若者が、その旅の中で、どう自分と向き合っていくか。本作の監督であるクレイグ・ギレスピーは『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』『クルエラ』と一筋縄ではいかない“女性映画”を手掛けたクリエイター。そのセンスが活きています。カーラ役のミリー・オールコックはドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のスピンオフ「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」でレイニラ・ターガリエン王女の少女時代を演じていました。このレイニラも世の中をシニカルにしたたかに見ている感じでした。それがまたすごく魅力的でもあり、今回のカーラにも通じています。

スーパーガールはこの先のDCユニバースでの活躍が期待され、次のスーパーマン映画『マン・オブ・トゥモロー(原題)』にも出るとの噂です。彼女との再会が早くも楽しみです。

画像: シニカルな視線を持つミリー・オールコック版(2026)

シニカルな視線を持つミリー・オールコック版(2026)

『スーパーガール』
全国公開中
アメリカ/2026年/東和ピクチャーズ、東宝配給
監督/クレイグ・ギレスピー
出演/ミリー・オールコック、ジェイソン・モモア、イヴ・リドリー、マティアス・ス―ナルーツ、デヴィッド・コレンスウェット

© & TM DC © 2026 WBEI

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