最新作『ディスクロージャー・デイ』はスティーヴン・スピルバーグ監督自身にとっても重要な一作と言えそうです。というのも、本作が彼が監督人生を通じて描いてきた「エイリアン系SF映画」の集大成と見られているから!これまでにスピルバーグが生み出したヒット作を振り返りながら、なぜこのジャンルに彼が惹かれ続けているのかを探っていきましょう。(文・渡辺麻紀/デジタル編集・スクリーン編集部)

『ディスクロージャー・デイ』はスピルバーグのライフワーク?

画像: 『宇宙戦争』

『宇宙戦争』

画像3: 【エポック・メイキングな名作を生み出す天才監督スティーヴン・スピルバーグ】スティーヴン・スピルバーグとエイリアン系SF作品

『宇宙戦争』

4K Ultra HD+ブルーレイ:6,589円(税込)
Blu-ray:2,075円(税込)/DVD:1,572円(税込)
発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©2005, 2020 by DW Studios L.L.C. and Paramount Pictures.

この2本が強烈なせいか、スピルバーグ=善良な宇宙人を描く監督という印象が強いのだが、『宇宙戦争』はそれとは180度ちがう侵略者度100パーセントのエイリアンだった。彼らの激しい攻撃を受け続ける街で、主人公(トム・クルーズ)は子どもを離婚した母親の元に届けるために奔走する。宇宙人はお馴染みの火星人をより気持ち悪くしたデザインで、でっかいトライポッドが容赦なく人々を襲いとても恐ろしい。実はホラーな演出にも才能を発揮するスピルバーグの“らしさ”が味わえるのだが、本作のように宇宙人=敵と彼が考えているとは思えない。というのも本作にはH・G・ウェルズの有名すぎる原作があり、ジョージ・パルが53年に製作した同名映画のリメイクだからだ。『未知との遭遇』『E.T.』のように個人的なつながりは薄いはずだ。

もう1本、意外なかたちでエイリアンを登場させた『…クリスタル・スカルの王国』では、UFO系では無視できない「エリア51」を登場させ、宇宙人が描いたとも言われる「ナスカの地上絵」にも言及し、最後にはクリスタル・スカルを「次元を超越する生命体」だったと明言する。なので正しくは宇宙人ではないのかもしれないがルックスはまさにそっち系。そのあとにUFOを登場させたりして宇宙人度を高めている。ここでも彼らは決して悪いヤツラではない。ちなみに『…クリスタル・スカルの王国』の脚本家、デヴィッド・コープ(『ディスクロージャー・デイ』も手掛けている)は、このシリーズでエイリアンを出すのはおかしいと思い、スピルバーグとジョージ・ルーカス(原案&製作総指揮)にその旨伝えものの却下されたとコメントしているが、おそらくふたりは、50年代のB級SF映画にオマージュを捧げたかったのだと思う。だから、エイリアンや原爆を筆頭に、エリア51やナスカの地上絵等、当時のその手の映画のアイコン的な要素を散りばめたのだ。

画像: 『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

画像4: 【エポック・メイキングな名作を生み出す天才監督スティーヴン・スピルバーグ】スティーヴン・スピルバーグとエイリアン系SF作品

『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

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スピルバーグは『ディスクロージャー・デイ』に関するインタビューで「地球にいるのは人類だけじゃないと思っている」と発言し、さらに「それが発覚しても、破滅的な混乱を招くとも思わない」と、これまでの自作と重なり合うような言葉を口にしている。宇宙人がその辺を実は闊歩しているというのだから、『メン・イン・ブラック』のような設定が決して絵空事ではないと考えているのかもしれない。

画像: 『メン・イン・ブラック』 Photo by Columbia Pictures/Getty Images

『メン・イン・ブラック』
Photo by Columbia Pictures/Getty Images

また、本作は最後に「泣ける」というコメントが多いところを見ると エイリアンの存在に宗教的な意味合いをもたせているとも考えられる。『未知との遭遇』『E.T.』の公開時、あたかも空から神が降臨し人類に福音をもたらしてくれるという解釈をする人も多数いたからだ。

ということはこの『ディスクロージャー・デイ』、『未知との遭遇』『E.T.』に続くエイリアンものの最終章。もしかしたらスピルバーグのライフワークなのかもしれない“善良なエイリアン映画三部作”の最後を飾るにふさわしい感動のエイリアン映画になっている可能性大だ。

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