「ラッキー」は、「窓際のスパイ」や「シュガー」「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」などの話題作を贈る、Apple TVのオリジナル作品。
Lucky — Official Trailer | Apple TV
youtu.be数百万ドル規模の強奪計画が失敗に終わり、FBIだけでなく冷酷な犯罪組織のボスからも追われることになった詐欺師ラッキーの華麗なる逃亡劇を描く、アクションありのサスペンススリラーだ。原作は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー小説であり、「リース・ウィザースプーン・ブッククラブ」に選出されて脚光を浴びたマリッサ・ステイプリー著の同名小説「Lucky」。ヒットメーカーであるリース・ウィザースプーンが製作総指揮としてプロジェクトを牽引し、クリエイター(共同ショーランナー・脚本)には、濃厚な人間ドラマとアクションに定評のあるジョナサン・トロッパー(「BANSHEE/バンシー」『アダム&アダム』)が参加している。
製作総指揮も務めるアニャ・テイラー=ジョイが、ピンチを機転で切り抜ける詐欺師ラッキー役を演じ、その夫ケリーをドリュー・スターキーが演じている。インタビューでは自身の役柄から、お互いの空気感、仕事や演技の選択の方法まで幅広く語っている。
アニャ「『モラルが曖昧な女性キャラクター』が少なすぎることに対して、少しフラストレーションを抱えていた」
――「ラッキー」は、詐欺師が詐欺に遭うというストーリーです。参考にしたロールモデルや、お気に入りの詐欺/泥棒映画はありますか?
アニャ・テイラー=ジョイ(以降、アニャ)「特に意識したロールモデルはいませんでしたね。ただ、いわゆる『自信に満ちた男や女』とはどういうものかについては、間違いなくリサーチを重ねました。私が『ラッキー』に惹かれた一番の理由は、もともとコンゲーム映画が大好きだったからです。そういった作品はどれも、スマートでセクシーで、ジョージ・クルーニーのようなハンサムなキャラクターが登場して、本当に憧れていたんです。

ラッキー(演:アニャ・テイラー=ジョイ)
でも、『ラッキー』が面白いと感じたのは、それらとは全く違う視点を見せてくれた点です。一瞬たりともじっとしていられず、生き延びるために常に動き続けなければならない、しかしその本質は『他者から奪う』ことである人物の姿が描かれています。これまでの詐欺映画では見たことのない側面だったので、それを表現することにとてもワクワクしました」
――アニャさんはこれまで、社会の「アウトサイダー」や「サバイバー」である女性を多く演じてきました。今回のラッキーのように、モラルが曖昧で流動的な人物を演じる上で、最も魅了された部分は?
アニャ「本質的なことを言えば、私の中のフェミニスト的な側面が、映画界において『モラルが曖昧な魅力的な男性キャラクター』はたくさんいるのに、『モラルが曖昧な女性キャラクター』が少なすぎることに対して、少しフラストレーションを抱えていたんです。私は女性も一人の生身の人間として扱われてほしいと思っていましたし、ラッキーはその意味で非常に興味深いキャラクターでした」
――アニャさん、あなたがこれまで演じてきたタフなキャラクターたちの多くは、『マッドマックス:フュリオサ』や、今後公開される『ロード・オブ・ザ・リング』の映画(『The Lord of the Rings: The Hunt for Gollum』)など、ファンタジー的な世界が舞台でした。今回、同じようにタフなキャラクターを、より現実的な地に足のついた世界で演じるのはいかがでしたか?
アニャ「最高でした!と同時に、予想もしなかった難しさもありました。素晴らしい第1班監督のジョナサン・ヴァン・トゥレケンが、ベガスを走るシーンの撮影で、私に最高のアドバイスをくれたんです。『もっと下手に走って。腕をバタバタさせてほしいんだ。走り慣れていない人の走り方をして、観客に“これ、本当に捕まっちゃうんじゃないか”と本気で心配させたい』と。つまり、あらゆるものに必死で体当たりしていく必要があったんです。ファンタジー作品のような、流れるように計算された美しいアクションの振り付けに守られているわけではないので。
でも、私の中のラッキーのイメージは、ずっと『熱湯に放り込まれた猫』のような感じでした。常にギリギリのところで表面に浮いていて、必死で生きながらえている。ドラマを観てもらえれば、その感覚が伝わると思います。彼女が本当に首の皮一枚で生き延びていることがリアルに感じられるはずです」
――ラッキーという役作りの準備は、どのように進めましたか?
アニャ「私はプロデュースチームの一員として、かなり早い段階からあらゆる決定プロセスに関わらせてもらいました。これは私がずっとやってみたかったことだったので、このキャラクターが生きる世界そのものを自分たちで形作ることができたと感じています。
撮影中に驚いたのは、『観客に感情移入して応援してもらわなければならない主人公が、劇中で常に“誰か別の人間”を演じ続けている(詐欺をしている)』という、とても面白い挑戦に直面したことです。その瞬間における『詐欺師としての嘘』と『彼女自身の真実』のバランスをどう取るか。観客が彼女に最後までついていきたいと思えるだけの魅力を保ちつつ、彼女が詐欺の天才であることを証明し、その場で観客をも騙すには、どんな綱渡りをすればいいのか。その塩梅を現場で毎日、ミリ単位で調整していく作業がとても刺激的でした」
ドリュー「ケミストリーを無理に『作る』のは難しいよね。最初からそこにあるか、ないかのどちらか」
――撮影中、お互いについて最も驚いたことは何ですか?
ドリュー・スターキー(以降、ドリュー)「アニャは僕がこれまでの人生で会った中で、最も愛らしくて素晴らしい人です。一緒に仕事ができて最高でした。仕事はまずプロフェッショナリズムから始まるものですが、僕の隣にはその最高峰のプロがいてくれたわけです。だから仕事がとてもやりやすかったですし、そのおかげで現場にゆとりが生まれて、純粋に楽しむことができました」

ケリー(演:ドリュー・スターキー)
アニャ「ええ、お互いに演技で遊ぶことができたわね。ただ、私はドリューが参加してくれたことに驚きはありませんでした。というのも、彼をこの作品にキャスティングするために、私が裏で猛烈にプッシュしたからです(笑)。彼こそが私たちの『ケイリー』だと分かっていましたから。
ドリューがこの役に素晴らしい、洗練された強さをまといながらも、同時にものすごく繊細で脆い部分を表現してくれたのは本当に見事でした。このキャラクターは、たとえ客観的に見て許されないような過ちを犯したとしても、観客が『いなくなると寂しい』と感じ、言い分を聞いてあげたいと思わせる人物でなければならなかった。ドリューにはそれがあるんです」
――お二人の間の相性や、昔からの深い絆のような空気感は、どのように作り上げたのでしょう?
アニャ「相性というのは、最初からある人にはあるものだと思います」
ドリュー「うん。ケミストリーを無理に『作る』のは難しいよね。最初からそこにあるか、ないかのどちらかだと思う」
アニャ「おそらく、一番大事なのは『信頼感』よね」
ドリュー「本当にそう思うよ」
アニャ「もちろん演技で形だけ取り繕うことはできるけれど、自分がどこへ行こうとも相手がついてきてくれると信頼できたり、相手の前ならいくらでも馬鹿な姿を晒しても大丈夫だと思えたりする関係だと、本当に助かります」
――役者として、自分が本当にやりたい仕事や演技の選択肢における「コントロール」を、どのように維持していますか?
アニャ「人生と同じで、ある種の『ダンス(絶妙なバランス)』が必要だと思います。自分でコントロールできる部分もありますが、もし人生において素晴らしいサプライズを受け取りたいのであれば、ある程度『偶然の余地』を残しておかなければなりません。自分で綿密に計画したことよりも、流れに身を任せた方がはるかに素晴らしい結果になることだってありますから。
(自身のプロダクションである)『レディキラー』を立ち上げたことで、自分が純粋に夢中になれるものに、とことん執着できるようになりました。私は深くこだわりを持つタイプなので、作品づくりのあらゆる側面に携わりたいと思っています。『なぜこれが成立するのか』だけでなく『どうやって作られているのか』という仕組み自体に興味があるんです。
そうやって初期のあらゆる議論に参加させてもらうことで、いざ撮影が始まった時には、事前の準備を完璧に終えているからこそ、逆に『すべてのコントロールを手放して身を委ねる』ことができるんです」
ドリュー「僕はコントロールなんて一切持ち合わせていないよ。自分が何をしてるのかさえ分かってない(笑)」
アニャ「それはむしろ良いことかもしれないわね。すべてをコントロールしようとしすぎるのも良くないもの」
ドリュー「そう思う。ただ僕が分かっているのは、自分が愛し、信頼できる人たちに囲まれてさえいれば、あとのことは自然とうまくいくっていうこと。それに、やっぱりサプライズは欲しいしね。僕たちの仕事において、コントロールできているという感覚は、ある種の「錯覚」にすぎないと思う。作品がどう仕上がるかも、観客がどんなリアクションを返すかも、事前には誰にも分からないんだから」

(左から)ドリュー・スターキー、アニャ・テイラー=ジョイ photo by Getty Images
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