『グレイ・ミッション』で奪われた10億ドルを強欲な独裁者から奪還する危険な作戦を決行する3人を演じた俳優たち、そして今回も痛快なアクション演出を見せるガイ・リッチー監督の言葉をお届け。(文・米崎明宏/デジタル編集・スクリーン編集部)
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ヘンリー・カヴィル(シド役)

“ジェイクとの間には監督の求めていた
知性と本能の対比が自然と生まれた”

ヘンリー・カヴィル(シド役)

「僕が演じるシドは、表向きは冷静で端正な男だけど、その内には複雑な歴史がある。彼はかつてブロンコと戦場で生き残って来た仲間であり、レイチェルには過去の借りのようなものがある。その関係性が彼の全てを決めている。ガイはそういう言葉にならない部分を大事にする監督だ。セリフよりも俳優の呼吸とか沈黙を信じてくれる。そして彼の現場には説明できない“魔法”があるんだ。何が起きるかわからないまま飛び込んで流れに身を任せる。そのスリルを楽しめるかどうかが大事で、僕はその感覚が大好きだ」

と3度目のタッグとなるリッチー監督を称賛するカヴィル。初共演のジェイク・ギレンホールとの仕事はやりやすかっただろうか。

「ガイの映画は俳優同士のテンポが全てを決める。ジェイクとは最初の数分でテンポが自然に合ったんだ。ガイが求めていた“知性と本能の対比”が僕らの間に自然と生まれたんだと思う。彼と一緒に演じるとシーンがどんどん転がっていくんだ」

とこちらもジェイクの才能をべた褒めしていた。

ジェイク・ギレンホール(ブロンコ役)

“ヘンリーと初めて会ってすぐに
素晴らしい俳優だとわかったよ”

ジェイク・ギレンホール(ブロンコ役)

「この作品の前にガイと組んだ『コヴェナント/約束の救出』はシリアスで重いテーマを扱っていた。だから今度はガイのユーモアと遊び心に溢れた世界に飛び込めることが楽しみだった。彼の手にかかると深刻な題材も“生きた会話”になるんだ。彼は俳優を信じてくれるし、俳優が何を持ち込むか楽しみにしてくれる」

とリッチー監督との再タッグのキメ手を語ったギレンホール。彼の演じたブロンコはどんなキャラクターだろうか。

「彼はある意味“本能の塊”みたいな奴。冷静なシドに対し、ブロンコは衝動的でどこか危うい。その危うさの裏には深い忠誠心がある。ただの荒くれじゃなくて仲間のためなら命を張るタイプの人間だ」と分析。また初共演のヘンリー・カヴィルについて、

「最初はどんな人だろうと考えていたけど、会って数分でわかった。素晴らしい俳優でとても誠実な人だと。即興が多くセリフもよく変わるガイの現場では、相手が柔軟でこっちを支えてくれる人だと心強い。ヘンリーはまさにそんな俳優だったよ」

とタッグを組めたことを喜んでいた。

エイザ・ゴンザレス(レイチェル役)

“監督との仕事は常に刺激的で楽しいから
オファーはいつでもOKよ”

エイザ・ゴンザレス(レイチェル役)

『グレイ・ミッション』で国際法の“言語”を自在に操り、巨額の債務回収作戦を指揮する敏腕弁護士レイチェルを演じるエイザ・ゴンザレス。『アンジェントルマン』でも組んだガイ・リッチーについて、

「彼との仕事は常に刺激的。気を抜けないし、挑戦の連続だけど、それが楽しい。それに自分自身を信じられるように導いてくれる監督だから、オファーにはいつでもOKよ。今回のレイチェルもこれまで私が演じた役の中で特に魅力的だった。厳格で率直で冷静沈着。同時にユーモアも持っている。少しダークなセンスだけどね。そして自分が何をすべきなのか、達成すべきかをきちんと理解しているわ」

と語っている。共演のカヴィルとギレンホールについては、

「ヘンリーとジェイクはまるで正反対のエネルギーを持っているのに、とても相性がいいの。ヘンリーは静かな強さを持っていて、ジェイクはどこか危うくて自由なの」

と分析し、2人の関係が自身の役作りにも自然と影響したことを明かした。

ガイ・リッチー(監督)

“自分に馴染みのないジャンルでも
既視感のある道を歩きたくないんだ”

ガイ・リッチー監督

ガイ・リッチーが『グレイ・ミッション』を企画した時、最初に興味を持ったのは「金融の闇」だったという。アセットマネジメント(投資資産の運用を実際の所有者・投資家に代わって行う業務)の世界に目を向けたリッチーは、そこで合法と非合法の境界線を巨額な金が行き来することが気にかかった。

「脚本を書き始めると“グレーゾーン”という言葉が頭から離れなかった。もしこの世界で誰かが意図的に情報を隠し、複雑化させたとき、どうやって巨額の金を取り戻すのか?それを知っているのは“国際法”という一種の言語を理解している者だけ。私が描きたかったのはこの言語を操る者たちの物語だった。さらにこの世界にはSBS(英海兵隊)、ネイビーシールズ(米海軍特殊部隊)などを退役した者たちがいて、弁護士を守りながら危険人物に金を払わせる仕事をする。そんな世界があることを観客に知ってほしかったんだ」

そこで書いた脚本が『グレイ・ミッション』となった。

「私は金融アクションというジャンルには馴染みがないが、既視感のある領域は歩きたくない。自分が面白いと思うものを作りたい。だからこそこの映画を作りたかった」

この物語の中心には、弁護士レイチェルと、彼女を守る立場の2人の元特殊部隊隊員であるシドとブロンコがいる。シド役ヘンリー・カヴィルとブロンコ役ジェイク・ギレンホールを共演させた意図は?

「この映画には実務的な面と手続き的な面が必要だった。知的と本能的、身体的と概念的、アメリカ人とイギリス人、そういう対比が物語を豊かにする。その構想を体現したヘンリーとジェイクは初対面でも初日から気が合っていた。またエイザ(ゴンザレス)が演じたレイチェルは、私がこれまで出会って来た法律家たちの知性を融合させた存在だよ」

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