(文、デジタル編集・スクリーン編集部)
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いまハリウッドが大注目するZ世代監督
ケイン・パーソンズ監督

“映画製作を学んだことは今までなかったけど、
本作の製作過程がいい勉強になったよ”

『バックルームズ』で弱冠20歳で長編映画監督デビューを果たし、A 24史上最年少監督の座に就いたケイン・パーソンズ監督。これまでに何作もネット上で「The Backrooms」という動画短編を作ってきた実績があるとはいえ、長編映画化に際しては独特の苦労があったに違いない。映画は実際のセットで撮影されているが、初めてこの巨大セットを見てどう感じたのだろう。

「本当に驚いたね。僕自身が何か月もかけてデザインしたもので、作る過程をずっと見て来たんだけどね。完成したものを見たのは撮影開始後だったんだ。外の世界のシーンを撮っている間に時間を見つけては確認しに行っていた。僕が構想したアイデアが見事に肉付けされていた。全体のトーンも統一されていて、照明も思い描いていた通りだった。これまで何年も見て来た光景の中に立っていると感動したね」

短編シリーズ版から継続したかったことは何だろう。

「今回セットはすべて新たに映画のために作ったんだ。ASYNC研究所(劇中登場する謎の組織)の敷居を除いてね。あれはシリーズと映画の唯一の共通点で重要な役目をはたしている。何より大切なことはこのスペースが自ら拡大していくという論理が守られていることだったんだ。もちろん全てにおいてこだわっているんだけど、一番こだわったのは研究所の敷居だった」

ほかに映画化で目指したことについて、パーソンズはこうも語っている。

「ウェブ・シリーズのコアなファンを尊重しながら、この物語を作っていることは実感していたけど、初めてこの世界に触れる人も置き去りにすることなく、こうした従来のファンの期待に応えることが僕らのゴールだった。結果としてオリジナルに極めて忠実な物語にできたのではないかな。僕はARG(代替現実ゲーム)の出身で、映画製作について学んだことは一度もないんだ。でもだからこそこの映画の製作過程は、僕がYouTubeで作り続けてきた世界観に忠実でいながら、商業映画としても楽しんでもらえるバランスを学ぶ良い経験になったよ」

Profile)ケイン・パーソンズ

2005年6月18日生まれの現在21歳。ケイン・ピクセルズ名義でオンライン上で公開した「THE BACKROOMS(FOUND FOOTAGE)」が一躍注目され、今回初の長編映画を監督することになったZ世代クリエイター。デジタルプラットフォームを拠点に独自の神話体系を拡張し、従来とは異なる映画製作法で物語の世界を構築するスタイルは、若い世代を中心に支持を集めている。

オスカー・ノミニーの2大名優が初共演!
キウェテル・イジョフォー&レナーテ・レインスヴェ

“監督はいい意味で強迫観念に駆られているように見えたね”(イジョフォー)

“あのセットにいることでメアリーの立場を理解することができたわ”(レインスヴェ)

家具店の販売員で、結婚生活は破綻し、事業の失敗、夢の挫折などで心に不安感を持つクラークを演じるキウェテル・イジョフォーと、そんなクラークのセラピストであり、彼女自身も精神的な問題を抱えているメアリーを演じるレナーテ・レインスヴェ。クラークもメアリーも、突然現れた“裏の世界”にはまり込んでいく。俳優として、2人には『バックルームズ』のこの裏の世界の巨大なセットは演技にも何らかの影響はあっただろうか。

レインスヴェ「私は自身を取り巻く環境に大きく影響されたわ。(こういう世界には)恐ろしくて一人では絶対行かないと思う。でも知らないところに初めて足を踏み入れる恐怖は理解できた。この映画にしろ俳優として新しい企画に参加するのは緊張するものよ。初めて対面する俳優やスタッフと仕事するのは不安を伴うわ。ゼロからのスタートだものね。今回はその感覚を役づくりに活かすことができた。メアリーが置かれた状況に自分を投影することができたの」

イジョフォー「あのセットの空間にいると、不安感が増してくるんだ。不穏な雰囲気はネット版のシリーズと同じだ。しばらくその中で過していると大丈夫かなと思えてくるんだ。精神的に疲弊してきて、さらにどんどん迷い込んでいき、現実との接点を失うわけだから、そういう感覚は当然だと思う」

この作品の監督ケイン・パーソンズはこれがデビュー作でしかも20歳そこそこの若さ。2人はそんな彼の才能をどう感じただろう。

レインスヴェ「細部までこだわって、この世界を構築していることに感心したわ。彼の創造的なエネルギーは、とても力強くて、奥深くまで掘り下げるの。その世界に飛び込んでいくのは楽しかった。でも同時にとても謙虚な姿勢で撮影に臨んでいた。毎日のように『明日改善できる点はある?』って聞いてくるの。その態度に個人的にも刺激を受けたわ」

イジョフォー「その意見に同感だね。監督はいい意味で強迫観念に駆られているようだった。とにかく何でも徹底的に調べ、理解しようとしていた。不思議とそこに職人らしさが感じられたんだ。最新技術を使ってるけど、どこか触覚で感知できるような何かを作っているという感覚というか。そんな風に空間を有機的に捉えられるのは、彼自身が時間をかけて作った空間だからだ。その環境を誰よりも熟知している監督と組めるのは俳優としてとても助かるんだよ」

Profile)
キウェテル・イジョフォー

アカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』(14)で主人公を演じ、自らもオスカー主演賞候補になった名優。脚本家、映画監督としても活躍。主な出演作に『オデッセイ』(16)『ドクター・ストレンジ』(16)『ライオン・キング』(19、声の出演)『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』(24)など多数。15年には名誉大英勲章を授与されている。

レナーテ・レインスヴェ

米アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた『センチメンタル・バリュー』(25)などで著名なノルウェーを代表する演技派スター。『センチメンタル…』と同じヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』(21)でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞してブレイク。ほかにA24製作の『顔を捨てた男』(24)、TVシリーズ「推定無罪」(24)などに出演している。

『バックルームズ』
2026年9月4日(金)公開
アメリカ/2026年/2時間6分/ハピネットファントム・スタジオ配給
監督:ケイン・パーソンズ
出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット

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