カバー画像:Photo by Pierre Mouton/Getty Images for Universal Pictures
マット・デイモン Matt Damon
Born:October 8, 1970
Birth Place:Cambridge, Massachusetts, United States
オデュッセウスに通ずる“総合力”
——最初に注目を浴びた知性派の側面
俳優デビューから間もなく40年。世界的大ヒットを記録中のクリストファー・ノーラン監督作『オデュッセイア』で堂々の主演を務めるなど、トップスターの地位をさらに高みに引き上げるマット・デイモンだが、オスカーを獲得したのが脚本賞とクリエイティヴの才能にも溢れ、“総合力”でハリウッドに君臨する存在かもしれない。
名門ハーバード大学に入学(卒業せずに中退)という経歴からわかるとおり、もともと知性派。親友ベン・アフレックとともにアカデミー賞脚本賞を受賞した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』での天才青年はハマリ役で、同じ年の『レインメーカー』の弁護士志望の役とともに、俳優としてのイメージを鮮やかに打ち出すことに成功した。

1998年、第70回アカデミー賞授賞式でのマットとベン
Photo by Ron Davis/Getty Images
ベン・アフレックとは業界屈指の親友コンビ
2ブロック先に住んでいた10歳のマットと8歳のベン(彼の弟ケイシーも含む)が仲良くなり、映画業界での成功を夢みて成長。下積み時代は共同の銀行口座を作って経済的に助け合い、やがて製作会社を共同設立。離婚やアルコール依存に悩むベンをマットが支えたり、公私ともに強い絆は崩れず、近年も共同脚本や製作、共演作を量産中だ。
アクションスターとしても開花
肉体と知性、両面で存在感を発揮
そこから主役級の出演が相次ぎ、作品や役どころも多様化するが、次の大きなブレイクはジェイソン・ボーンのシリーズ。無意識に超人的な能力を発揮するこの役で、アクションスターとして認められる。同シリーズ以外でも戦争モノ(『プライベート・ライアン』『グリーン・ゾーン』)、犯罪モノ(『ディパーテッド』『Rip/リップ』)、スポーツもの(『インビクタス/負けざる者たち』『フォードvsフェラーリ』)、SF(『エリジウム』)など50代の現在に至るまで多様なアクションに挑み、リアリティを与えるのがマットの持ち味で、“肉体派”として憧れの存在にもなった。『ボーン・アイデンティティー』の来日インタビューで、「東京の街をジョギングしたいけど、いいコースはある?」と相談されたこともあり、とにかく体を動かすのが好きなようだ。そして『インターステラー』や『オデッセイ』での博士や学者役が示すとおり、“知性派”の側面でも代表作を送り出し続けていく。肉体派と知性派の両面を究極レベルで一体化させたのが、最新作『オデュッセイア』の主人公と言っていいかも。クリストファー・ノーラン監督とは3度目のタッグだが、クリント・イーストウッド、リドリー・スコット、スティーヴン・ソダーバーグなど巨匠たちから複数の作品で仕事をしたいと請われるトップ俳優の地位を確立。幼なじみから俳優の“同志”および仕事上の最高のパートナーとなったベン・アフレックとは、前述の『グッド・ウィル・ハンティング』から24年後の『最後の決闘裁判』で共同脚本を手がけ、『AIR/エアー』『Rip/リップ』と一緒に製作&出演など“ずっと仲良し”なところも、映画ファンに愛される要因だろう。
イジられても、楽しんで返す!
親しみやすい人柄も愛されポイント
こんな風にマットのスターとしての魅力、および作る側としてのキャリアを振り返ると、全方向からパーフェクトに感じられるが、“ツッコミどころ”というキーワードも彼のキャラには欠かせない。たとえばトップスターへの階段を駆け上がる時期の『リプリー』。金持ちの美青年になりすまし、殺人に手を染めるシリアスな役どころも、劇中で浮いた印象として使われる、ビーチでのライトグリーンの水着姿が、映画を観た多くの人から「マットの海パンが脳裏から離れない」とツッコミを入れられた。ここから妙に“イジりたくなる”マットの一面が広がった印象で、これは大ヒットの「オーシャンズ」シリーズで、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピットら錚々たるキャストの中で、なぜかイジられまくるキャラでさらに定着。そしてアメリカの人気テレビ番組「ジミー・キンメル・ライブ!」で、司会のキンメルによってマットがジョークのネタでからかわれ、それをマット本人も楽しんで受けて立つ流れがおなじみに。この恒例のやりとりは、キンメルがホストを務めたアカデミー賞授賞式でも再現された。
こうしたイジられキャラとしての魅力は当然ながらコメディ作品では武器になる。そのコメディへの出演はマット自身の人生も大きく動かし、『ふたりにクギづけ』の撮影中にマイアミのバーで出会ったのが、妻のルシアン・ボザン・バロッソ。バーテンダーの彼女に大スターが夢中になったエピソードも、マットの“いい人”伝説を裏付けているようで微笑ましい。

戦地からの帰還を描いた『プライベート・ライアン』
Photo by Michael Ochs Archives/Getty Images
マット・デイモンは世界一帰宅に金のかかる男?
『オデュッセイア』は故郷への長く過酷な旅が描かれるが、この設定、マットの“得意芸”と言っていい。『プライベート・ライアン』ではチームが一丸となって、アメリカへ帰還させようとする落下傘兵の役。『インターステラー』では宇宙空間に投げ出されて地球に帰って来られなかったが、『オデッセイ』では、たった一人で取り残された火星から何とか戻って来ることに成功。ひたすら道をさまよう『GERRY ジェリー』といった小品は別として、『プライベート~』が0.7億ドル、『インターステラー』が1.08億ドル、『オデッセイ』が1.65億ドル、『オデュッセイア』が2.5億ドルと製作費を並べると、“マットの帰還”に大金が投入される法則も発見!?
