歴史ある世界3大国際映画祭の一つ、ベネチア国際映画祭が第83回を迎え、今年も9月2日から12日まで(現地時間)華々しく開催されました。金獅子賞をめぐって予想以上に大混戦が展開されましたが、マギー・ギレンホールら審査員が最高の栄誉に選んだのは、候補作の中では数少なかった女性監督作『ウーマン・アンノウン(原題)』となりました。(デジタル編集・スクリーン編集部)
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「近年最も政治的なセレクション」となった
作品群から選ばれた受賞作は

連日華やかな雰囲気に包まれた映画祭のコンペティション部門は、審査員長のマギー・ギレンホールが発した「映画は完全に非政治的でいることはできない」という言葉に沿うように、現在の世界情勢や我々の生活を鑑みたような優れた作品も多く、審査も難しかったようだ。映画祭ディレクターのアルベルト・バルベラも「近年で最も政治的なセレクションとなった」と評するラインナップには、戦争から移民問題、気候変動、社会格差、もっと個人的な人間関係まで現代社会に関わる問題が様々な形で表出された作品が並んだ。

審査員長のマギー・ギレンホールともう一人の栄誉金獅子賞受賞者エレン・バースティン

まず本命視されたのはイ・チャンドン監督の久々の新作『もしもの愛』で、完成度も高く、他にもマーティン・マクドナー監督の『ワイルド・ホース・ナイン』『バッキング・ファスタード』などが対抗として予想されたところに、イスラエル人監督のユヴァル・アブラハムとラシェル・ソール監督によるガザを舞台にした攻撃システムに関する衝撃のドキュメンタリー『ナザ(原題)』が現われ、25分に及ぶスタンディングオベーションという映画祭最長記録を叩き出した。

審査員グランプリ受賞作『もしもの愛』のイ・チャンドン監督

そこに日本からノミネートされた、是枝裕和監督の『ルックバック』と塚本晋也監督の『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』の2本がどこまで食い込むかに注目が集まっていたが、最終的に金獅子賞を受賞したのは、今回のコンペで数少ない女性監督作品のひとつ『ウーマン・アンノウン』(デンマークのメイ・エル=トーキー監督)だった。これは第二次世界大戦の後、ドイツ兵と関係した過去を隠して裕福な雇い主と結婚することになった家政婦を描き、この主人公を演じたマティルド・アーセルが女優賞も受賞。

金獅子賞に輝く『ウーマン・アンノウン』で女優賞を受賞の
マティルド・アーセルとメイ・エル=トーキー監督

階級の違う2組の夫婦を描いた『もしもの愛』は審査員グランプリ(と国際批評家連盟賞)が贈られ、監督賞は『DAU(原題)』のイリヤ・フルジャノフスキーに。『ワイルド・ホース・ナイン』からは、ベテランCIAエージェントを演じたジョン・マルコヴィッチが男優賞に選出され、次回米アカデミー賞主演男優賞の最有力候補の一人に躍り出た。そして注目の『ナザ』には審査員特別賞が贈られることになった。

『ワイルド・ホース・ナイン』で男優賞に輝くジョン・マルコヴィッチはビデオメッセージで受賞の喜びを語った

ベネチア国際映画祭2026受賞結果

◻︎金獅子賞:『ウーマン・アンノウン(原題)』(デンマーク=スウェーデン=ラトビア、メイ・エル=トーキー監督)
◻︎銀獅子賞(審査員グランプリ):『もしもの愛』(韓国、イ・チャンドン監督)
◻︎銀獅子賞(監督賞):イリヤ・フルジャノフスキー(『DAU(原題)』独=仏=スウェーデン)
◻︎ボルビ杯(女優賞):マティルド・アーセル(『ウーマン・アンノウン』)
◻︎ボルビ杯(男優賞):ジョン・マルコヴィッチ(英=米=チリ『ワイルド・ホース・ナイン』)
◻︎脚本賞:ア・グッド・リトル・ソルジャー(原題)』(仏、ステファン・ブリゼ監督)
◻︎審査員特別賞:『ナザ(原題)』(英=米、ユヴァル・アブラハム、ラシェル・ソール監督)
◻︎マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞):マルー・ケビジ(『ア・プレイス・トゥ・ヒール』原題)

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