2026年3月31日にZepp DiverCity(TOKYO)で行われるラストライブをもって解散し、約16年の歴史に幕をおろす東京女子流。「音楽の楽しさを歌って踊って伝えたい」という思いを胸に、長きにわたって国内外で精力的にライブ活動を展開し、唯一無二の存在感を放ち続けてきた。
彼女たちは、どうして解散という決断に踏み切ったのか。そして、現在のアイドルシーンに何を思うのか――。懐かしい思い出話や当時の裏話を交えつつ、4人の飾らない自然体なトークをお届けする。
(撮影/久保田司 取材・文/宮田英一郎)

過酷すぎるレッスンの思い出

画像: 新井ひとみ/1998年4月10日生まれ/宮城県出身

新井ひとみ/1998年4月10日生まれ/宮城県出身

中江 私が思い出に残っているのは、赤坂BLITZで行った全曲ライブです。これまでに発表したすべての楽曲をフルコーラスでパフォーマンスする内容なのですが、1回目に開催した時は、(新井)ひとみが病気で出られなくて、3人でエキシビジョン公演としてやったんです。翌年に4人でステージに立ってリベンジすることができたのですが、70曲以上をパフォーマンスしました。あれはすごい挑戦だったなって思います。

山邊 めちゃくちゃ大変だったよね。倒れるかと思った。

中江 ライブ中はアドレナリンが出ているから大丈夫だけど、全曲披露が終わってステージをはけた後、一気に体の力が抜けたのを覚えています。

庄司 私は、体力作りのレッスンが忘れられないです。

新井 やってたね〜。

山邊 もう思い出したくない(笑)。

庄司 高校生の頃、学校終わりにみんなでスタジオに集まるんです。ライブに向けての基礎体力を作るレッスンで、ストレッチから始まり、腹筋や背筋などの筋トレをして、声を出しながら走る、というメニューを2時間くらいやっていました。

新井 かなり大変だったよね。

庄司 それがもう本当にきつくて!

──コーチみたいな方がいたんですか?

中江 はい。めちゃめちゃスパルタの先生なんですよ。

庄司 「まだまだまだ!」「もっとできる!」みたいな。

山邊 集中攻撃されたら終わりで。芽生が「ロールアップ」という体幹トレーニングがとくに苦手で、先生に目つけられるんです。だから、その隙に3人は「先生が見てないうちに早く!早く!」って急いでやったりしていました(笑)。

庄司 先生に見られているプレッシャーもあるし、何回もやればやるほど全身がプルプルしてきちゃうんです。もう汗と涙がスタジオの床にポタポタとこぼれ落ちて……。

山邊 その体力作りのレッスンは週2回あるんですけど、お仕事と被ってしまって参加できなかった場合は、そのぶんを次の週にやらないといけないんですよ。

中江 翌週に繰り越されるシステム(笑)。あれは過酷だった!

**新井*: でも、あのレッスンがあったから、体力もついたし、メンタルも鍛えられて4人ともパワーアップすることができたのかなって思います。もし、あのレッスンをやってなかったら、きっと全曲ライブもできなかっただろうし。そういえば、この間、めいてぃん(庄司)が、当時のレッスン動画を見ながら「私たちが頑張ってたなぁ」って、しみじみしてたよね(笑)。

庄司 何度もくじけそうになりながら、みんなで助け合いながら乗り越えたレッスンだったので、すごく記憶に残っているんです。

──長く活動を続けることができた大きな理由を教えてください。

山邊 4人とも東京女子流というグループが大好きで、全員が同じ目標に向かって進むことができたからだと思います。何よりも、メンバーそれぞれがお互いを思いやって毎日一緒に過ごしていたのが大きいと思います。純粋に仲が良い、というか。

中江 うん。それは絶対あるよね。

山邊 デビュー当時からずっと変わらない関係のままでいられたからこそ、15年間一緒に歩んでこれたのかなと思います。

──ぶつかり合ったり、険悪な雰囲気になったことは?

山邊 高校生の頃は、学校や仕事現場で顔を合わせるだけじゃなくて、住んでいるところも同じ寮だったので、本当に24時間ずっと一緒にいるような感覚だったんです。だから、ある程度の距離を保ったり、お互いに干渉しすぎないように意識して接していたかもしれません。

中江 オフの日は、それぞれの友だちと過ごして別行動したり。

山邊 でも、ひとみはオフでもメンバーと一緒に過ごしたい派だよね?

新井 うん。週末にみんなで寝泊まりしていた『女子流マンション』でまた共同生活したいですもん。……って言うと、いつも3人は「う〜ん、それはちょっと」みたいな反応になるんですけど(笑)。

中江 期間限定だったら楽しそうじゃない? なんだかんだできると思うし。

庄司 うん。やろうと思えば。

山邊 やろうと思えば? 義務だと思えば?

中江 言い方!

庄司 あはは(笑)。

新井 でも、ビジネスパートナーみたいな関係では全然なくて、今でもメンバーとご飯を食べに行ったりするし、普通に遊んだりもするんです。だから、知り合いには「そんなにメンバーとずっと一緒にいるの?」ってよく驚かれます。

中江 付き合いが長くなればなるほど、お互いに気恥ずかしさがあって、ちょっと距離を置こうとすることもあると思うんです。でも、女子流の場合は、さっき(山邊)未夢も言っていましたが、一緒にいればいるほど、お互いを思い合うことやリスペクトの気持ちが増えていって、昔よりも仲良くなったパターンなのかなと思います。

庄司 それと、4人とも平和主義的な性格だったのも、長く続けることができた理由なのかな。

中江 めっちゃ我が強いみたいな子がいないもんね。

新井 いたかもしれないけど、多分、トガっていた部分が削られていったんだと思う。

山邊 …………私のことかな?

中江 本人に自覚があった!(笑)

新井 でも、時間と共にみんなどんどん丸くなって、平和な空気感のあるグループになったなと思います。ファンの方に「女子流を見ていると、笑顔になれる」とか「穏やかな気持ちになれます」と言っていただくことが多いのは、そういう理由なのかなって。

This article is a sponsored article by
''.