彼女たちは、どうして解散という決断に踏み切ったのか。そして、現在のアイドルシーンに何を思うのか――。懐かしい思い出話や当時の裏話を交えつつ、4人の飾らない自然体なトークをお届けする。
(撮影/久保田司 取材・文/宮田英一郎)
解散後も続いていく4人の物語

中江友梨/1997年6月28日生まれ/大阪府出身
──もし結成日の2010年1月1日に戻って、ひとつだけ過去を変えられるとしたら、何をしたいですか?
新井 過去を変える? えっ、なんだろう。難しいなぁ。
山邊 変えたい過去……。
庄司 私がもし過去を変えられるとしたら、大事なところで噛まないようにしたいです。
山邊 それ、1回だけじゃ済まないよ!
庄司 たしかに(笑)。
山邊 15周年記念ライブのMCで芽生が解散発表をしたとき、「3月31日をもちまして解散します」と言わなきゃいけないところで、めっちゃ噛んだんですよ。
中江 きっと緊張で舌が回らなくて、「3月ちゃんじゅにち」みたいな言い方になっちゃったんだよね。
庄司 あの瞬間、ファンの方も「芽生ちゃん噛んだ!」と内心思っただろうけど、「噛んじゃいました」って言える空気じゃないから、何事もなかったかのように真面目に言い直して(笑)。私はこんなに大事なところでも噛むんだ……って悲しくなったので、過去に噛んできたところをもう一度やり直したいです。
中江 もし過去に戻れるとしたら、女子流で47都道府県を回るツアーをやりたかったです。コロナ禍でライブができなかった時期があったし、まだ行ったことがない場所もあるので。よくバンドさんが全国のライブハウスを回るツアーをしているのを見るので、ああいうガッツのあることをやってみたかったなって思います。
新井 私は変えたい過去がないかもしれないです。この15年間でいろんなことを経験させていただきましたが、自分なりに目標を持って物事に取り組んできました。つねに私が思う全力のパフォーマンスを届けてきたつもりだし、悔しくて涙することはあっても、それがバネになって頑張ることができました。もしひとつでも過去を変えてしまったら、何かが欠けて違う方向に進んでしまうような気がするので、変えなくてもいいかなと思います。
山邊 私もひとみと一緒で、変えたいことが思い浮かびませんでした。違う世界線の自分の姿がまったく想像できなくて。もちろん、この15年間でつらいこともありましたが、それも含めて今があるので、変えたいと思うことはないです。
中江 私、変えたい過去がありました! 初期の頃、年齢非公表だったのをいいことに「自称ハタチ」とか言っていたんですけど……。
新井 なかえってぃー(中江)が何歳の頃に言ってたんだっけ?
中江 15歳くらいの頃かな。まだ中学生なのに背伸びしてそんなことを言っていて。その頃から知っている方に「中江ちゃん、もう28歳なんだ」と言われると、ちょっと恥ずかしいので、「自称ハタチ」とか言わなきゃよかったなって思います(笑)。
──解散後、みなさんは東京での生活を続けるのでしょうか?
山邊 それぞれの道を歩むことになると思うんですけど……。
中江 ただ、東京女子流の活動は2026年3月31日をもって終わるけど、私たち4人が「じゃあ、さよなら」と言って、お別れするわけではないと思うんです。
新井 それはさすがに寂しすぎるよ!
中江 せっかく繋がったこの縁は、これからもずっと続くものだと4人とも信じています。解散後にそれぞれが違う形で働いていたり、別の道で輝いていたとしても、きっとまた会う日が必ず来るだろうなと思っています。
──たとえば、結成20周年のタイミングで集結して、一夜限りの復活ライブをするとか?
山邊 5年後‥‥。私たちがどうなっているのか、まったく想像できない。
中江 でも、何歳になってもプライベートで遊んだり、4人で集まったりする機会は大事にしたいよね。
庄司 4人でハワイ旅行とか行ってみたいね。
山邊 めちゃ楽しそう!
新井 15年間でなかなか旅行とかできなかったもんね。
中江 今から貯金しないと(笑)
──改めて東京女子流とはどんなグループだったと思いますか?
庄司 初期の頃は、大人っぽい楽曲をちょっと背伸びして歌っているグループと言われることが多かったです。ただ、15年間を振り返ってみると、自分たちの年齢だったり、状況に合わせてたくさん変化を繰り返してきたと思います。そうした変化を続けたからこそ、ジャンルの枠にとらわれることなく多彩な楽曲を歌うことができたし、それによって自分たちの表現の幅も広がりました。そういう面では、まさに東京のように目まぐるしく変わっていったグループなのかなと思います。
──そんな東京女子流のラストアルバム『東京女子流』が発売中です。
山邊 最後を締めくくるのにふさわしいアルバムが完成したなって思います。さっき芽生が言ったように、15年間でいろんなジャンルの音楽をやらせていただいて、私たちの成長だったり、表現の幅がこのアルバム1枚にすべて詰まっているんです。アルバムの最後を飾るのが『キセキ』という曲なのですが、私たちのデビュー曲『キラリ☆』を彷彿とさせるアウトロで、そこからまたデビュー曲に繋がっているのも結構エモいポイントなんじゃないかな。
新井 これまでにない女子流を感じていただける楽曲もあるので、たくさん聴いていただきたいです。来年3月31日まで立ち止まることなく走り続けるので、ラストアルバムに収録された楽曲はもちろん、女子流が今まで発表したいろんな楽曲たちを聴きに、ぜひライブも見に来てほしいです。