解散ライブまであと数カ月。残された時間をどのように過ごし、どのようなラストを迎えるのか――。グループを代表して、メンバーの秋本帆華と咲良菜緒が素直な思いを語ってくれた。
(撮影/久保田司 取材・文/宮田英一郎)
ガイシホールで解散すると思っていた
──これまでに解散の話が持ち上がったことは?
秋本 活動をするなかで、いつまで続けるのかという話になったことは何度かあります。いろんな区切りごとに、メンバー同士やスタッフさんとそういう話し合いが行われてきました。
咲良 デビューから約13年8カ月でグループにとってのターニングポイントがたくさんありました。基本的には、自分たちにできることがまだあるなら前を向いてやっていこうというスタンスでしたが、そのつど解散という選択肢があったのは事実です。それこそ、ガイシホール(2017年3月開催『TEAM SYACHIHOKO THE LIVE ROAD to 笠寺 おわりとはじまり at 日本ガイシホール』)を終えた頃くらいから、つねに〝解散〟の二文字が付きまとっていたと思います。
──結成以来、愛知・日本ガイシホールでの単独公演を目標として掲げていました。
秋本 そもそもメンバーたちはガイシホールで解散すると思っていたんです。チームしゃちほこ時代の出囃子で「人間50年、アイドル5年」と言っていて、ちょうど路上デビューから丸5年が経ったタイミングだったので。
咲良 でも、「ガイシホールで解散する」とも「これからも続けていく」ともはっきり言われていなかったんです。だから、ガイシホール直前のインタビューで「解散するんですか?」と質問されて、「どうなるんですかね? 私たちもわからないです。でも、春からのツアーが発表されたし……」みたいに、ぼんやり回答していました(笑)。ただ、絶対にグループがなくならない、とは思っていなかったかも。アイドルってそういうものだと思っていたので。
──限られた時間を駆け抜けるように生きるのがアイドル?
咲良 そう思っていました。いま振り返ってみたら、アイドルの寿命が5年なんて短すぎますけどね(笑)。
──当時、新メンバーを入れるという選択肢は?
秋本 もちろんそういう選択肢もなくはなかったです。
咲良 新メンバーについてもたくさん話し合いをして、いろんな意見が出ましたが、結局、4人で続ける道を選びました。グループ改名やプライベートレーベル立ち上げなど、その時々で自分たちがやれることを模索しながらTEAM SHACHIはどう進むべきなのか……そういう選択を何度も繰り返してきたように思います。
秋本 たくさんのいろんな決断をしてきて、今のTEAM SHACHIがあるんだと思います。
──約13年8カ月の歴史のなかで忘れられない場面といえば?
咲良 初期の頃のほうが記憶は鮮明かもしれない。
秋本 デビューして1、2年目がめっちゃ濃かったもんね。毎回試練を与えられて、それをメンバー同士で力を合わせて乗り越えて……。とくに私が覚えているのは、ももクロちゃん(ももいろクローバーZ)と、えびちゅうちゃん(私立恵比寿中学)と私たちの3組で長崎県の稲佐山公園野外ステージでのイベント(2012年9月開催『クローバーEXPO』)をやったことかな。
咲良 懐かしい!
秋本 当時、私たちはデビューしてまだ数カ月で、とても1万人のお客さんの前でパフォーマンスするレベルじゃなかったんです。でも、チームしゃちほこというグループを知っていただくために何かインパクトを残さなきゃいけなくて、スタッフさんの指示で菜緒が「味噌かけて食ってやるー!」ってステージで叫んだんですよ。あの瞬間を今でもはっきり覚えています。
咲良 スタッフさんに「そうじゃない。もっと煽るようなマイクパフォーマンスをしてほしい」と言われて、ステージ裏で何度も練習しました。「味噌かけて食ってやる」なんて言ったことないので、一体何が正解なんだ〜!? と思いながら(笑)。
秋本 1万人を煽っているときの菜緒の姿がすごくかっこよかった。
咲良 デビューしてすぐにあの景色を見られたことは、自分たちにとって大きな財産になりました。ただ、稲佐山のイベントは私たちのことをほとんど知らない1万人でしたが、その何年後かに幕張メッセや日本武道館など1万人規模の会場でライブをやるときは気持ちが全然違いました。私たちのことを知っている人たちがたくさんいて、しかもチケットを買ってライブを見に来てくれていることにびっくり!というか。
秋本 「なんで好きになったんだろう」「何が好きなんだろう」と思っていました(笑)。
咲良 そうそう。「どこで知ったんだろう」とか。
秋本 不思議がいっぱいだったよね。
咲良 いろんなところで私たちを見て、知ってくれたんだろうけど、どうして私たちのことを知っている人がこんなにたくさんいるんだろう?って、頭の中で点と点が結び付かなかったです。
──2018年のTEAM SHACHI改名後、印象深い出来事といえば?
咲良 個人的にはサマソニ(『SUMMER SONIC 2019 OSAKA』)に出演できたことがすごくうれしかったです。野外フェスは何度か出演したことがありましたが、サマソニは海外のミュージシャンも多いので、ちょっと違うイメージで。しかも、Red Hot Chili Peppersと同じ日だったので、スタッフのポポちゃんが舞い上がっていて(笑)。「レッチリのライブを見て、最後はみんなで花火を見たいと思います!」って興奮気味のメッセージがグループLINEに来たんだよね。
秋本 そうそう。メンバーよりも楽しみにしてて(笑)。
咲良 みんなで見たサマソニのレッチリと花火は、忘れられない夏の思い出です(笑)。
秋本 私は、改名後初シングルの『Rocket Queen feat.MCU/Rock Away』が思い出深いです。『ロックマン』とコラボした楽曲で、私たちが主人公の本格的なゲームまで作っていただき、「コラボをきっかけに好きになりました」という『ロックマン』ファンの方がたくさんいらっしゃいました。
──海外にもファンが多いゲームですね。
秋本 YouTubeで公開されたMVは、海外からのコメントも多かったです。ただ、作っていただいたゲームが本家の『ロックマン』に負けないくらい激ムズで、まったくクリアできなかった……。
咲良 MVが攻略動画になっているんだけど、それを見ても全然クリアできない(笑)。
秋本 あと、『Rocket Queen feat.MCU』はマーチングバンドver.もあって、中越高校吹奏楽部の学生さんとコラボをしたんです。今年の夏、中越高校の野球部が新潟県代表で甲子園に出場したのですが、吹奏楽部のみなさんが応援ソングで『Rocket Queen feat.MCU』を甲子園で演奏してくださったことが本当にうれしかったし、感動しました。
