『呪怨』シリーズの清水崇監督最新作『だぁれかさんとアソぼ?』が7月24日(金)に全国公開された。若者の間で密かに流行る“絶対にやってはいけない遊び”が実行された事がきっかけで、抗えない恐怖の連鎖へと引きずり込まれていく学園ホラー映画。主演を務めるのは、本作が映画単独初主演にしてホラー初挑戦となる鎮西寿々歌。いま最も勢いのあるアイドルグループ「FRUITS ZIPPER」のメンバーとして活躍するなど多方面で支持を集める彼女が、事件が起きた高校へ派遣される心理カウンセラー・平瀬小春役として、これまでの明るいキャラクターを封印し、怪異に巻き込まれる難役に挑む!

撮影/久保田 司
スタイリスト/中野ゆりか(ende)
ヘアメイク/稲富 愛
インタビュー・文/辻 幸多郎

アイドル活動を経て学んだ、どんな人でも受け入れて、そして寄り添って否定もせずというところは、小春と重なる部分がありました

──Jホラー界の巨匠・清水崇監督の最新作に参加されたお気持ちから聞かせてください。

「単独での映画主演は初めてですし、ホラーも初挑戦、お芝居そのものもかなりブランクが空いていたので、マイナスに思ってしまいそうな気持ちもあったんですけど、“新たな挑戦をしたい!”という想いのほうが大きくて、“このチャンスを逃してはいけない! やるからには令和一のホラー作品になるように全身全霊で向き合いたい!”とその覚悟で挑みました」

──ホラー作品は観られます?

「私、ホラーが本当に怖いんです。血とか痛いのとかダメだし、ビックリ遺伝子があるので驚かされる系が苦手で。だから観られなくて……」

──じゃあ、清水監督の作品は……。

「観ました。楽屋で、すっごい顔をしながら。メンバーに(清水監督の作品に出演することを伏せていたので)“なんでそんな顔してまで観てるの?”って言われました(笑)。でも、清水監督の作品を観た時に、ホラーのイメージが変わったというか。ただただ怖いとか暗い描写があるわけじゃなくて、その中に人間関係だったり、人と人とのドラマがあるからこそ、清水監督の作品は支持されているんだなって。作品を観たことにより、ますます演じてみたいという気持ちになりました」

──主人公の小春を演じるにあたり工夫されたことはありましたか?

「この作品は、ドラマのシーンとホラーシーンの大きく二つに分かれていて、どちらも違う難しさがありました。前者は、特に小春は心理カウンセラーということもあって、普段は感情に波風を立てなかったり、あまり顔には出さず穏やかだったりするんですけど、次第にいろんな怪異的なことに巻き込まれていくとだんだん冷静じゃなくなり、且つ、妹の菜々美が事件に巻き込まれていく中で、彼女にどれだけ依存していたのかっていうことを気づいたり、感情を露わにしたりする。そういう部分は(星乃)あんなちゃんが演じる菜々美との関係値があってこそ出てくるものだと思ったので、彼女のことは本当の妹のように思っていました。でもそれは、あんなちゃん自身が妹のようにいてくれたからだなっていうのもあって。彼女と姉妹の役だったからこそ、ここまでスーって入り込めたなって思うし、あんなちゃんとじゃなかったらこういう感情になれなかったなって思うシーンがたくさんありました。あんなちゃんには本当に感謝しています。
 ホラーのシーンは、怖いという中に段階があって、怖いけどそれを押し殺したり、はたまたすごく出さなきゃいけない時もあったりという、ペース配分じゃないですけど、怖さの感情のレイヤーをどう出していくのかが難しかったです。脚本を読んだ限りでは“これってどういう風になるんだろう……”とか想像しきれなかったので、現場で作ろうと思っていたんですけど、いざ演じてみたら、監督からしたら足りないと感じる部分があったりして。ただ、“もっとここは恐怖を感じてほしい”とか、監督が具体的にちゃんと伝えてくださる方だったので、シーンを重ねていくごとに“こういう感じなのかな”みたいなのをちょっとずつ掴んでいきました」

──FRUITS ZIPPERでの活動が今回の役で役立ったとか、そういうことはありましたか?

「叫ぶシーンが多かったんですけど、声が枯れなかったんです。というのも、去年、歌い方を変えたんですね。変えたというか、新たな声の出し方を見つけて。メンバーのみんなは、実はその出し方で歌っていたらしいんですけど(笑)。叫んだり、複雑な息遣いをするって喉に負担がかかるから、アイドル活動も平行でしている中で“大丈夫かな……”と心配ではあったんですけど、それを気にして出し惜しむっていうのは絶対なしだと思っていたので、やっぱり叫ぶ。でも、その声の出し方を知っていたおかげで全然枯れることなく、思いっきり叫べたので、それはやっていてよかったなって思いました。あと、マインドとしては、アイドル活動を経て、メンバー、スタッフさんとすごく濃い時間を過ごしたり、いろんな人と出会ったおかげで考え方が変わったりすることで学んだ、どんな人でも受け入れて、そして寄り添って否定もせずというところは、カウンセラーである小春と重なる部分がありました。そこはベースとして大事な部分だったので、経験が活きていたなと思います」

画像1: アイドル活動を経て学んだ、どんな人でも受け入れて、そして寄り添って否定もせずというところは、小春と重なる部分がありました

──鎮西さんは、アイドルとして活動を始める以前にお芝居をされていた時期があり、先ほど「ブランクが……」と話されていましたが、逆に言うと、この作品でお芝居の面白さを再発見されたんじゃないですか?

「そうですね。まず、“お芝居はもうやらない”と決めていたんですけど、アイドル活動を経て、“またやりたい”と思った頃にこの作品のお話をいただいたんです。だから、この作品が終わってどう感じるかなって。“やっぱり自分は役者に向いていない”“演じるのが苦手だ”とか、思ったら今後はもうやらない。それぐらいの気持ちで臨んだんですけど、“お芝居が本当に楽しい!”って、やりながらもですけど、やり終えた今もすごく思っていて。もう、再発見だらけでした」

──それは例えば?

「私はこれまでお芝居にちゃんと向き合ってたつもりだったんですけど、それって〈つもり〉だったんだなっていうことがあったんです。以前は言い方とか技術的なことを変に意識していたんですけど、そこをいくら練習しても何か違うと思って。結局、その段階ではなかったんです。それはのちのち絶対やらなきゃいけないことだけど、それよりもまず、脚本の中からヒントをいっぱいもらって、その人の描かれていない人生をちゃんと生きるというか、役を自分の中に重ねた上で演じる。そうすると相手から発せられる言葉によって、自分が思っていたのと違う声が出たり、違う感情になったりもする。ガチガチに(演技プランを)作っていくんじゃなくて、今回の小春なら、ただ小春という人物だけ作っていけばいいんだって思いました」

──それは少し視野が広がったとか、余裕ができた部分もあってのことですかね。

「そうですね。それにこれまでは、その役をそのシーンでやりますみたいな感覚だったんです。自分が作品の一つのピースっていう感覚が欠けていたというか。今回は座長という気持ちもあって、作品はみんなで作るものだっていうのを再確認できたなと思います。ただ、泣くことが難しいと思っていたけど、今泣くところじゃないのに泣いちゃったり、泣くことを我慢して何か違うと感じたり。新たな難しさも見つかりましたし、お芝居の楽しさって紙一重だなって感じました」

──お芝居はこれからも続けていきたい。

「はい」

──お芝居の一番の魅力ってなんでしょう。

「その役と共に自分も成長できるところ。今回の小春と私には重なる部分があったんですけど、これからも役を演じていく時は一つでも共通点があると思って。自覚していなかった“私ってこんなところがあったんだ”という部分も役を通して認識することで、人としての幅が広がっていくなと思っているので、共に成長できるというところがすごく魅力的だなって思います」

画像2: アイドル活動を経て学んだ、どんな人でも受け入れて、そして寄り添って否定もせずというところは、小春と重なる部分がありました

言葉っていろんな方向に行くものなので、発言には本当に気をつけようと思いました(笑)

──『だぁれかさんとアソぼ?』とFRUITS ZIPPERによるコラボソング「センセーション」(FRUITS ZIPPER 5htシングルCD「ぱわーオブらぶ / センセーション 7月15日発売)について、どんな楽曲か教えてください。

「映画とシンクロする部分がすごくあって、カオスというか混沌としている世界を歌っていたり、これまでのFRUITS ZIPPERにはなかったダークサイドの〈KAWAII〉を表現している楽曲になっていると思います。アンチテーゼではないですけど、これまでの〈NEW KAWAII〉に対抗するものが世界観にある中で、ダンスにホラーを連想させるような振り付けが入っていたり、“ねぇ、アソぼ?”という歌詞があるんですけど、そこで私が歌う時にカセットテープを回すシーンがあって、そこも映画とリンクしていたり。テンポがすごく速くて、恐怖が畳みかけていく時のあの感覚、高揚感みたいなものが詰め込まれた楽曲になっているので、ぜひ劇場で聴いていただきたいです」

──「これまでのFRUITS ZIPPERにはなかった」とのことですが、ボーカル表現の部分において、変えたことや意識したことはありますか?

「自分の中では、どちらかというと仕掛ける側の気持ちになっているというか、呪う側の気持ちを織り交ぜて、“腫れ物だって化け物だって”という歌詞の“化け物”ではがなりっぽく歌っています。これまでそういう歌い方をしてこなかったし、できる楽曲もなかったんですけど、本当にこれまでとは全く違う、挑戦できる楽曲だなと思ったので、その“化け物”は象徴的に、結構攻めた歌い方をしました」

──映画にちなんだ質問を。まずは作品名の『だぁれかさんとアソぼ?』にちなんで、最近、誰と遊びましたか?

「結構忙しくてあんまり遊んでないんですけど……(とスマホの写真を見返して)あ、でも、近藤春菜さんのラジオに出させていただいた時に、食事をご一緒させていただきました。「天てれ(天才てれびくんMAX)」の時、私はてれび戦士で、ハリセンボンのお二人はMCという形で出てくださっていたんです。こんどん(近藤春菜の「天てれ」での呼び名)は、その頃はすごく上のお姉さんという感じだったんです。でも、私も成長して、いろんな状況を乗り越えた中で、ライブに来てくださったり、いつも応援していろんなことを喜んでくださるお姉ちゃんみたいな存在になって。こんどんとお酒を飲んだのも初めてだったんですよ。食事も二人っきりは初めてだったので、すごく楽しくて、あっという間の夜を過ごしました」

──ある意味、追いついたぐらいな感じ?

「それは恐縮です(笑)。でも、たしかに当時MCをされていた時と同い年ぐらいになったので、なんかすごく感慨深いです」

──では、もう一問。本作は「絶対にやってはいけない遊び」が実行されたことがきっかけで、抗えない恐怖の連鎖へと引きずり込まれていく物語です。そこで、鎮西さんの「やってしまった」エピソードがあればお聞かせください。

「ちょっと前なんですけど、「ラヴィット!」に出演させていただいた時に口座残高を言っちゃったっていう……(笑)」

──たしかに「やっちまったな」でしたね(笑)。

「あれは本当にいろいろ誤解があるんですよ。給料みたいな感じに思われて波紋を呼んだんですけど、言ったのは残高で。生放送は気をつけなきゃいけないっていうのは、小学生の頃からNHKで厳しく教えられてきたはずなのに(笑)。この映画にも通じるんですけど、言葉っていろんな方向に行くものなので、発言には本当に気をつけようと思いました」

──最後に、本作を楽しみにしている方々へメッセージをお願いします。

「『だぁれかさんとアソぼ?』は、令和のコックリさんのような作品で、気軽にやってしまった遊びがきっかけでいろんなことが巻き起こり、軽い言動で何かを失うことがあるというのをすごく考えさせられるような映画になっています。この夏に観るホラーの中で、一番身近に感じてもらえる、そして新しいなって思ってもらえるような、怖くてゾクゾクするだけじゃなく、何かワクワクするような、そんなホラー作品になっているので、お友だちやご家族と観に来ていただけるとすごく嬉しいです。休み明けの学校や会社とかで“この映画、面白かったよね”みたいな感じで話題になるぐらいの、そんな作品になったらいいなと思っているので、ぜひ皆さん、劇場に遊びに来てください!」

画像: 言葉っていろんな方向に行くものなので、発言には本当に気をつけようと思いました(笑)

PROFILE

画像: PROFILE

鎮西寿々歌 SUZUKA CHINZEI

1998年11月24日生まれ、兵庫県出身。
アイドルグループ・FRUITS ZIPPERのメンバーとして活動中。2025年には「第76回NHK紅白歌合戦」へ初出場し話題に。またViVi専属モデルを務めるなど、多方面で支持を集める。主な映画出演作は、『青春カレイドスコープ「夏色のマフラー」』(19)、『青の生徒会 参る! season1
花咲く男子たちのかげに』(20)など。

作品紹介

画像1: 鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER):
映画『だぁれかさんとアソぼ?』インタビュー

“お芝居が本当に楽しい”って、やり終えた今もすごく思っています
画像2: 鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER):
映画『だぁれかさんとアソぼ?』インタビュー

“お芝居が本当に楽しい”って、やり終えた今もすごく思っています
画像3: 鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER):
映画『だぁれかさんとアソぼ?』インタビュー

“お芝居が本当に楽しい”って、やり終えた今もすごく思っています

『だぁれかさんとアソぼ?』

若者の間で密かに流行る、絶対にやってはいけない遊びがあった。
それは「学校の、誰もいない階段。その13段目でカセットテープに日付と名前を吹き込むと、名前を吹き込まれた人は死ぬ」というもの。
ただの遊びのはずだった。最初の一人が死ぬまでは──。
軽い気持ちで実行した学生たちの日常は歪み始め、やがて校内で“カセットテープに名前を入れられた人物が相次いでその日付に謎の死を遂げるという事件”が発生。
事態を重く見た学校に招聘された心理カウンセラー・平瀬小春(鎮西寿々歌)は、事件を目撃した学生にカウンセリングを行うが、遊びを実行した一人は小春の妹・菜々美(星乃あんな)で……。
不可解な出来事が起こり、一人、また一人と怪異に巻き込まれていく学生たち。小春は菜々美と共に恐怖の連鎖へと引きずり込まれていく──。

出演:鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)
   星乃あんな 大西利空
   向井怜衣 小國舞羽 室はんな
   マキタスポーツ(友情出演)/ オクイシュージ 菜 葉 菜 染谷隼生 / 穂紫朋子
   染谷将太
監督:清水 崇
原案・脚本:角田ルミ 清水 崇
配給:松竹
大ヒット上映中

Ⓒ2026「だぁれかさんとアソぼ?」製作委員会

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