(撮影・取材・文/SCREEN+Plus編集部)

――そして、唯一のカバー曲も収録。山口百恵さんの「プレイバックpart2」。もともとこの曲はご存知だったのでしょうか?
TV番組とかの昭和の名曲・ヒット曲などの特集で、何度も聴いてきました。
――思い切った現代風のカバーですね。実際に歌ってみていかがです?
めちゃくちゃ難しかったです!どれだけアレンジしても原曲へのリスペクトを持っていれば、絶対に崩れない魅力のある楽曲です。それを信じて角田さんとアレンジしました。素晴らしい原曲の魅力は安心材料でしかなかったです。
――渡邉さんのお父さんお母さん世代の曲では? ご両親は何かおっしゃってました?
両親は原曲の雰囲気でEPに収録されると思っていたようですが、角田さん流のモダンさが強くてびっくりしたようです。
――渡邉さんの音楽の原体験についても聞きたいです。
僕が5歳くらいの時にマイケル・ジャクソンが亡くなったんです。亡くなったニュースの中で「スムーズ・クリミナル」の映像が流れていて。マイケルがパフォーマンスで「アォッ!」って叫んだのを見て、5歳くらいの自分にとっては“見たこともない人が僕の名前を呼んでいる”と思っちゃって(笑)。ものすごく奇妙な体験でした。その時、髭剃りしていた父に駆け寄って「ダンスを始めたほうがいい気がする」と言って、姉の通っているダンススタジオに自分も入れてもらいました。その後、スタジオでダンスや歌を学び、当時の事務所から声を掛けていただきました。いろいろなことが繋がって、今に至ったという感じです。
――マイケルに引き寄せられて、音楽を始めたと。
めちゃくちゃパフォーマンスが衝撃的だったんですよ。今でもあれほど誰かをかっこいいと思い、会いたいと思ったことはないんです。マイケルが亡くなったからニュースになっているとは、その頃の自分は理解できてなくて。しばらくはマイケルに会いたいという気持ちがエネルギーになっていました。
――作詞作曲を始めるようになったのは?
15歳とかですね。その時はパソコンを触ってみてトラックを作るという、ちょっとしたことから始めました。
――今は音楽活動以外にも俳優としてミュージカルでも活躍。ステージで歌う歌はいかがですか?
ミュージカルの歌で先輩に教えてもらったのは「歌うように話して、話すように歌え」と。誰かが誰かに言葉を伝えて、その心が繋がるのと同じように歌を歌いなさいと。ミュージカルにおいては、伝えることだけを考えて歌っています。でも、音楽は楽しんでいただかないといけないと思っているので、自然と身体がリズムを刻むようにと考えたりしています。ミュージカルとアーティスト活動で切り替えようという明確な意思はないのですが、勝手に違うものになっているかもしれません。
――いろんな経験を二十歳までにされていて吸収してきました。20代はどういう活動をできる人間になりたいですか?
クラシカルな魅力を身につけたいと思います。20代はまだ若いし、いろいろ実力以外の道具が使えると思うんです。たとえば、若さだったり。でも、そこに甘えていると30代40代となった時に、恐らく僕は生きていけない(笑)。30代、40代に使える魅力を今から10年後に育てようと思っていても、もう遅いと思うんです。20代でぱーっと花を咲かせようという目的ではなく、今から僕が年老いても使える魅力というのを磨き上げていきたいなと思っています。
――いろいろな経験して吸収したい?
もっといろんな現場でいろいろな方にお世話になって、吸収して、ちゃんとアウトプットできればいいなと思っています。そういう意味では今とあまり変わらないと思います。

<Profile>
渡邉蒼
生年月日:2004年10月14日
出身地:東京都
<近年の主な出演作>
ミュージカル『デスノートTHE MUSICAL』(25年11月上演)
舞台『War Bride』(25年8月上演)
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』(24年~25年)
音楽劇『不思議な国のエロス』(24年)
連続テレビ小説『舞いあがれ!』(23年)
<リリース>
Digital SG「歪な春」(24年11月16日リリース)
Digital SG「3mg」(25年2月12日リリース)
Digital SG「拍拍」(25年4月9日リリース)
Digital EP『ボーイズ・イン・ミステリー』
7月23日(水)リリース
〈収録曲〉
M1.歪な春
M2.3mg
M3.拍拍
M4.プレイバックpart2
M5.〈新〉地動説
【Streaming & DL】
