前作でセリフさえなかったショックがわかるかい?
新シリーズでルーク・スカイウォーカーが帰って来る!『フォースの覚醒』から始まる新トリロジーの製作が発表されたとき、ファンを喜ばせたのはルークやレイア、そしてハン・ソロの再登場だった。ところが、出来上がったその作品のルークの出番はほんのちょっとだけ。ラストシーンまで待たなくてはいけなかったのだ。
「一番驚いたのは僕だよ。この映画に出るため、50週間かけておよそ21キロ痩せたんだ。みんながフィジカルトレーニングと呼ぶ“拷問”を週に2回受け続け、ケーキやアイスクリーム、美味しいと思う食べ物を食べずに50週間がんばった。そして、それなりの体型を手に入れ、脚本を読み始めた。ああ、ここにレイアが出てきて、ハン・ソロはここか……そうやってどんどんページをめくって行き、やっとルークが登場した。でもそれはラストシーンで、しかもセリフすらなかったんだから!このショック、判るかい?」
『フォースの覚醒』はルークを探す物語だった。そして『最後のジェダイ』は、ライアン・ジョンソン曰く「ルークはなぜひとりで孤島にいるのか?彼に何が起きているのか?それを描いている」になる。レイによって見つけられたルークが、物語を牽引することになりそうなのだ。
「そう、すべてはライアンのおかげだよ。彼が驚きに満ちた素晴らしい脚本を書いてくれたから。トリロジーの2作目に当たる『帝国の逆襲』でもダース・ベイダーがルークの父親だったというショッキングな事実が告げられたように、新トリロジーの2作目である本作でも衝撃やダークネスがある。でも、同じような作品なのかというとまったく違う。ユーモアがあり、アクションがあり、楽しいクリーチャーが登場するし、前作のあとを継いだ物語には違いないけれど、これまでのどの『SW』とも全然違う作品になっているんだ。それがライアンのスゴさなんだよ」
キャリーがもういないと考えると辛くなってしまう
才能豊かなジョンソンに全幅の信頼をおいているマークだが、それにはもうひとつ、こんな理由もある。
「正直言うと、クランクインした当初、僕は『SW』に戻ってきたことが凄く怖かった。僕にとって大きすぎる作品だったし、別に僕はブロードウェイの小さな舞台をやったり、アニメーションの声優をやることで十分満足していた。自分の顔を全面的に出したいなんてもう考えていなかったんだ。だから、いざとなると震えるくらい怖くなってしまった。困った僕は思い切ってそれをライアンに言ってみることにした。『僕は凄く怖いんだ』ってね。そのとき彼が何て答えたと思う?『ああ、僕もだよ』と言ったんだ。その言葉は僕の恐怖心をとてもとても小さくしてくれた。彼のひと言のおかげで、心が本当に軽くなったんだ」
監督との信頼関係。それがマークをプレッシャーから解放してくれたということ。では、かつての仲間との共演はどうだったのだろう。とりわけ、去年の暮れに亡くなってしまったキャリー・フィッシャーについては。
「懐かしい人たちとの共演も嬉しいことのひとつだった。今回の出演に『YES』と言ったことに驚かされたハン・ソロのハリソン(・フォード)、そしてレイアのキャリー。彼女がいなくなったことは、この作品を語るとき、僕をメランコリーな気分にしてしまう。キャリーのタイミングはいつもパーフェクトで、必要なときはいつもその場所にいたにもかかわらず、今回はいない。『エピソード9』だって彼女が出るべきなのに、それが出来ないんだよ!キャリーのことを考えると辛くなってしまうんだ」
ちなみにマークは日本にも住んでいたことがあり、インタビューのときは日本語で「ありがとうございます」といい、こんな思い出話をしてくれた。
「僕は高校の2年間を横須賀で過ごしたんだ。父が海軍だったからね。それは楽しい思い出ばかりだった。休日には家族みんなで北海道に行ったり、磐梯山に登ったりした。東京に電車で出て映画を観てディナーをとったり、凄く満喫していたと思う。父親に日本に引っ越すと聞いたときはイヤだったし、恐ろしかったから『日本でビートルズを聴けるの?』なんて言っていたんだけど、住んでみればそんなことはない。いい思い出ばかりだよ。『最後のジェダイ』のプロモーションでまた行けるといいよね!」