なぜ映画のプロはこの作品を選んだのか?どこが評価されたのかを考えてみましょう。
まずはストーリーをおさらい
NASAのラングレー研究所では多くの優秀な黒人女性が働いていたが、まだ人種差別が色濃く残っていた時代、彼女たちは重要なポストに就くこともなく、待遇面でも差別を受けていた。
しかし幼い頃から数学の天才だったキャサリン(タラジ)は特別研究本部に抜擢され、次第にその中心的存在として実力を発揮するようになる。ドロシー(オクタヴィア)も新たに導入されたコンピューターを管理するようになり、エンジニア志望のメアリー(ジャネール)も技術部で認められる。
人類史上初の有人宇宙飛行はソ連に後れを取ってしまったが、キャサリンたちの努力によってついにアメリカも有人宇宙飛行を成功させるのだった。
逞しい女性たちが立ち向かう現実、掴み取った希望。
1960年代といえば、人種差別と共に、職場での女性差別もあからさまだった時代。そんな劣悪な職場環境の中でも、自分の夢を忘れず、理想のために前進しようとしていたのが主人公となる3人の女性だ。
ある者は上司や同僚に現状改革を訴えかけ、ある者は新技術の導入を利用し、ある者は裁判に訴えまでして、自らの道を諦めず邁進する。これが実話だというのがまず感動的だ。実際にそのような人々が存在し、そういった行動をとったことは、当時の風潮を考えると勇気のいったことだっただろう。誇りと尊厳を持っていたからこそ取れた行動だ。
そして、彼女たちはそういった行動によって手にしたアドバンテージを、仕事に活かしていき、実際に素晴らしい成果を見せることになる。結果を出したのだ。そうでなければいま改めてこの話が語られることはなかっただろう。成果を上げた行動だったからこそ、いま語られても感動を覚えるのだ。
黒人であること、女性であることは変えられない。それでも周囲に屈することなく理想を追いかけ成果を上げた。現在の閉塞したように見える世界では、そのことが人々に希望を与えてくれるのでないだろうか。