01:「ミッション:インポッシブル」(1996年)
スリリング&スタイリッシュに魅せた第一作
往年の人気TVシリーズ「スパイ大作戦」が映画になる! それだけでも興味を惹かれるが、スーパースター、トム・クルーズが主演のみならず初の製作も務めるのだから、期待するなという方がムリ。結果、イーサン・ハントがスクリーン・デビューを果たしたこの第一作は、鬼才ブライアン・デパルマ監督のスタイリッシュな演出も手伝い、世界中で大ヒットを記録した。
IMF内部の裏切り者の正体を探るイーサンの奔走は、敵かもしれないチームメンバーとのせめぎ合いを含めて、このうえなくスリリング。潜入不可能とされるCIAの中枢に忍び込んだ際の、宙づり状態で地面との並行を保つトムのアクションはアイコニックな名場面。すべてはここから始まった!
登場キャラクター
02:「M:I-2」(2000年)
アジアのアクション巨匠と組んだド派手作
続編を好まないトムが初めて続編の製作に着手したのだから、彼はよっぽどイーサン・ハントというキャラクターを気に入ったのだろう。そして、このキャラクターを掘り下げるために起用されたのが、アジアン・アクションの巨匠ジョン・ウー! スローモーションに二丁拳銃、飛び立つハトといったウー作品のアクション美学を取り入れたことで、このパート2は一作目とはまったく違う作品となった。
物語は、キメラなる殺人ウイルスとその解毒剤をめぐるテロを阻止すべく、イーサンが世界を駆けるというもの。ロン毛のワイルド・スタイルに、銃撃戦、バイクチェイス、ロマンスと、前作でイーサンがやっていないことをぎゅっと詰め込み、ド派手に盛り上がる!
登場キャラクター
03:「M:i:Ⅲ」(2005年)
ドラマチックな展開が見どころのJ・J監督作
シリーズものとはいえ同じタッチでは作らない、というトムのポリシーがさらに進化。それは前2作以上にドラマの深みを重視したことに表れている。一線を退いて後進を育成する立場となったイーサンが現場復帰を決意して、教え子を殺した武器商人を追撃。しかし、婚約者を誘拐されたことで窮地に陥り……。
通常、このようなハリウッド大作では新人を起用するのは稀だが、トムはTVシリーズ「LOST」で注目されていたJ・J・エイブラムスの手腕にいち早く注目。長編映画の経験こそないが、キャラクターを物語る手腕に長けた彼に演出を任せたことが吉と出て、これまで以上にドラマチックな物語が誕生した。エイブラムスの映画界での快進撃を生んだ一作なのだ。
登場キャラクター
04:「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」
ベンジーらとのチームプレーで新たな魅力を
前作で当時無名のエイブラムスを監督に起用したことに引けをとらない大きな賭けに、トムはまたも打って出る。「Mr.インクレディブル」などのアニメ作品を手がけてきたブラッド・バード監督に、初の実写映画を任せるという冒険。結果は、またしてもトムに先見の明があることを証明してみせた!
米国政府からの後盾を失ってしまう窮地の中、イーサンは新チームを率いて、核テロリストを追う。ドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファでの高層壁面這い上りをはじめとする立体感に富んだビジュアルに、バード監督の卓越した映像センスが光る。前作で脇役ながらイイ味を出していたサイモン・ペグふんするベンジーもコメディ・リリーフとして大活躍!
登場キャラクター
05:「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」(2015年)
ハードボイルドとバディ映画の絶妙なバランス
祖国を追われたならず者スパイからなる極秘組織“シンジケート”の陰謀を阻止すべく、イーサンがベンジーら仲間たちとともに奮闘。冒頭のスカイ・アクションからして手に汗握る迫力で、トムの並々ならぬやる気はそこだけでも存分に伝わってくる。
「アウトロー」で組んだクリストファー・マッカリ―を監督に起用してハードボイルド・テイストを強化。一方で、イーサンとベンジーとのユーモラスなやりとりを押し出した点には、バディ・ムービーの味わいもにじみ出る。ちなみに、最新作は本作の続きというべきポジションにあり、ここで登場したヒロインや悪役が再登場する。マッカリ―監督もシリーズで初めての続投。新作を見る前にぜひ復習しておこう!