電話の通話のみで展開する新感覚サスペンス
電話からの声と音だけを頼りに誘拐事件の解決に挑む男の姿をほぼリアルタイムで描く新感覚のワンシチュエーション・サスペンス。2018年のサンダンス映画祭で「search/サーチ」と並んでワールド・シネマ・ドラマ部門の観客賞を受賞するなど世界中の映画祭で高い評価を受け、すでにハリウッド・リメークも決定している。
物語の大部分は緊急指令室にかかってきた電話の通話のみを通して展開し、ほとんど唯一の登場人物となる主人公の警官アスガーを、スウェーデンのベテラン俳優ヤコブ・セーダーグレンが演じている。声の出演でイェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセンらが参加。監督・脚本を手がけたのは本作が長編デビューとなる新鋭グスタフ・モーラー。
“見えない事件”を解決できるのか
アスガー(セーダーグレン)はある事件をきっかけに一線を退いた警察官。緊急通報指令室で働く彼のもとには、様々な電話がかかってくる。ドラッグ中毒者からの意味不明な叫び、強盗被害者の助けを求める声。瞬時に状況を判断し、時には警察を送り込むのが彼の仕事だ。
その日彼が取った電話は、今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。どうやら彼女は犯人に拉致され、車で移動しているらしい。彼女は自分の子どもに電話をするフリをして、緊急ダイアルに救いを求めてきたのだ。
彼に与えられた事件解決の手段は電話から聞こえる音だけ。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い。微かな音だけを頼りに、“見えない”事件を解決することができるのか?
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01:登場キャストはほぼ一人!
本作に登場する主要人物はただ一人、主人公の警官アスガーのみ。それ以外の“登場人物”はほぼ緊急ダイアルにかかってきた電話の“声”だけ。そのため監督はキャストを起用するにあたり、声だけを聞くブラインド・オーディションを実施。役者の知名度や見た目ではなく、その登場人物に必要な声を持っているかどうかを一番重視したという。
▼主人公を演じるのはスウェーデン俳優のヤコブ・セーダーグレン。国内外の映画やテレビで長年活躍し、トマス・ヴィンターベア監督の「光のほうへ」(2010)で主演を務め、一躍脚光を浴びた。本作の監督も「光のほうへ」を見て彼のファンになり、いつか彼と組みたいと思っていたとか。
アスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)
電話の音だけを頼りに誘拐事件に挑む
緊急通報指令室のオペレーター。今まさに誘拐されている女性からの通報を受け、電話から聞こえる音だけを頼りに事件解決に挑む。警察官として一線を退いたのは“ある理由”が。
02:電話のやり取りだけで物語が進行
物語はほぼリアルタイムで進行し、劇中で交わされる会話は電話でのやり取りのみ。観客は視覚情報のない中で、電話口の微かな音から、事件について想像力を働かせることになる。人間が聴覚から得られる情報は全体のわずか11%。その限界の中で、“見えない事件”を解決できるのか?このスリリングな状況が緊張と興奮を生み出すことになる。
03:ハリウッド・リメークも決定
サンダンス映画祭をはじめ世界中の映画祭で絶賛を受け、海外メディアも本作を『リメーク権を巡ってハリウッドでは争奪戦が起こるだろう』(Variety)と絶賛。その予言通りハリウッドではすでにリメーク企画が進行中。ジェイク・ギレンホールが主演を務めるという。作品選択眼に定評のあるジェークが本作をどう生まれ変わらせるのかも注目だ。