ホフマンの実生活に、彼の小説やバレエが絡む幻想的なストーリー
E.T.A.ホフマンの世界をストップモーション・アニメで映像化、と聞いて反応する人にはオススメの映画がもうすぐ公開されるのでご報告。ホフマン的なものが好きな人なら気に入りそう。
ホフマン的なものとは、彼の小説に出てくる、民間伝承の怪物、自動人形、常軌を逸した科学者、ドッペルゲンガーといったもの。エドガー・アラン・ポーは、ホフマンの小説に影響を受けたと言われている。そういえば、ホフマンの「砂男」とニール・ゲイマンの「サンドマン」は、元ネタが同じヨーロッパの民間伝承。大人が子供たちを寝かしつけようと「早く寝ないと、砂男が来るよ」と脅したせいで、子供の夢想の中で砂男がどんどん恐しい怪物になっていく。そういう世界。
なので、登場人物が人間なのかそうじゃないのか、出来事が現実なのか妄想なのか、区別がつかない。だから、人間も人間でないものも、同じように人形が演じる、ストップモーション・アニメという手法がぴったりなのだ。
さらにこの映画は、ストーリーもホフマン的。ホフマンの小説「黄金の壺」を主軸に、そこにホフマン自身の実話や、彼の小説「砂男」「ブランビラ王女」、彼のオペラ「ウンディーネ」、彼の小説が原作のバレエ「くるみ割り人形」「コッペリア」の登場人物が絡んで、どこまでが現実でどこからが主人公の妄想なのか、判別できない。
ところで、ホフマンといえば、もう一つ気になる企画が。ホフマンの「砂男」を、『サスペリア』『フェノミナ』のイタリアン・ホラーの名監督ダリオ・アルジェントが映画化する『サンドマン(原題:The Sandman)』が何年も前に発表され、去年は下記の公式サイトもできたのに、その後、なかなかニュースがない。
主人公の砂男は伝説的ミュージシャン、イギー・ポップに決定済み。アルジェントもホフマンもオペラ愛好家。となれば、ホラー映画だと発表されているが、音楽面でも何か仕掛けがありそうな?
*『ホフマニアダ ホフマンの物語』は4月2日から東京都写真美術館ホールほかで公開