作品を発表するたび話題となり、最新作「女王陛下のお気に入り」が第91回アカデミー賞部門にノミネートされたヨルゴス・ランティモス監督。その一方で、難解でとっつきにくい印象を持たれているのも事実。だけどフタを開ければ愛すべき登場人物と独創的な世界が広がっています。一度足を踏み入れたら抜け出すのに苦労する“ランティモス・ワールド”へようこそ。
(文:稲田隆紀/デジタル編集:スクリーン編集部)

刺激的で唯一無二のランティモス・ワールド(続き)

『ロブスター』では独身が罪とされ、カップルにならないと動物に変えられてしまうという奇想天外な世界を発想。

この社会で翻弄される男の軌跡を紡ぐ。こちらも寓意に満ちていることでは人後に落ちない。彼の常に不条理な世界を発想するシニカルでブラックなストーリーテリングぶりが、予断を許さず、見る者を画面に釘付けにする。

ロブスター

画像5: 奇妙 キテレツ 摩訶不思議...ハマる!ヨルゴス・ランティモスの世界

イギリスに移住したランティモスが英語で勝負したSFラブストーリー。独身は罪、パートナーを見つけなければ動物に変えられる世界で翻弄される男の姿を描く、豪華なキャストの2015年作品。
©2015 Element Pictures, Scarlet Films, Faliro House Productions SA, Hautet Court, Lemming Film, The British FilmInstitute, Channel Four Television Corporation.

ココがランティモス!
キャストの豪華さを忘れるほどの独創的で珍奇なシチュエーション

画像6: 奇妙 キテレツ 摩訶不思議...ハマる!ヨルゴス・ランティモスの世界

「ロブスター」
ハピネット

2011年にイギリスに移住してから、『ロブスター』を送り出し、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』と続いたわけだが、ここでは不穏さに満ちた不条理スリラーに挑戦している。心臓外科医ファミリーと、この医者と因縁のある少年が織りなすサスペンス。ここでも他の作品同様、突き放すような結末が待ち受けている。

ランティモスの作品歴を見つめなおすと、作品を重ねるごとに演出が練れてきている。ロベール・ブレッソンとジョン・カサヴェテスを敬愛する彼だが、仮借ない眼差しという点でふたりの影響があると見受けられる。

「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」

心臓外科医ファミリーと心臓外科医に殺された患者の息子が繰り広げる不条理なスリラー。不穏さが秘められた静かな画面がかえって恐怖をかきたてる。イギリス・アイルランド合作、2017年作品。

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▶︎ココがランティモス!
とにかく不安を煽ってくる独特のカメラワークとバリー・コーガンの存在

©2017 EP Sacred Deer Limited, Channel Four Television Corporation, New Sparta Films Limited

画像8: 奇妙 キテレツ 摩訶不思議...ハマる!ヨルゴス・ランティモスの世界

「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・ セイクリッド・ディア」
ハピネット

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