本気で向き合ってくれるおじさんは少女にとって何よりも大切な存在
少女とおじさん、この組み合わせが登場する映画は少なくない。アカデミー賞外国語映画賞に輝いたフランス映画「シベールの日曜日」はじめ、天才子役テータム・オニールとライアン・オニールの実の父子共演が話題になった「ペーパームーン」、ヴィム・ヴェンダース監督の初期作「都会のアリス」などは、少女とおじさんがお互いを支え合う関係を描いた往年の名画たち。そんな〝少女とおじさん〞の映画は、もちろん今でも数多くあって、見る人の心を温かな感動で満たしてくれる。
「アマンダと僕」の〝僕〞＝ダヴィッドはまだ20代半ば。でも姪のアマンダにしてみれば、立派なおじさん、しかも血のつながった叔父さんである。恋も仕事も楽しみたい年若いダヴィッドにとって、最愛の姉の遺児とはいえ、アマンダは手に余る存在だ。それでも同じ大切な人を亡くしたふたりは、なんとかうまくやっていこう、とそれぞれに決意する。そんなふたりの温かな笑顔が胸に残る。
「アマンダと僕」（2018）
突然の悲劇で姉を失った青年ダヴィッド。大きな喪失感を抱えながらも、彼は姉の遺児アマンダを引き取ることに。
同じく血のつながった叔父さんと姪っこの物語「gifted／ギフテッド」では、叔父フランクが積極的に姪メアリーの世話を焼く。フランクは、メアリーの人生に責任を持つ覚悟を固めているのだ。少女をめぐる親権争いは、それぞれのメアリーに対する思いが理解できるだけに複雑な様相を呈してくるけれど、叔父さんかおばあさんか、どちらと一緒にいるときにメアリーの表情が生き生き輝くかを見ていれば、答えは明らかだ。
「gifted ／ギフテッド」（2017）
姉の遺児メアリーと暮らしている青年フランク（クリス・エヴァンス）。ところが彼女は数学の天才児だったのだ。
少女とおじさんの絆を描いた作品としてファンに熱狂的に支持されている「レオン」。復讐を誓う少女マチルダのため、殺し屋レオンは彼の特殊技能を彼女に教え、マチルダは無学なレオンに知識を与える。教える内容の良し悪しは別にして、このふたり、持ちつ持たれつの離れがたい関係になっていく。少女にとってもおじさんにとっても、相手を守りたいという思いがお互いを支えることになる。
「レオン」（1994）
両親を殺され復讐を誓う少女マチルダ（ナタリー・ポートマン）と、彼女に手を貸す殺し屋レオンの奇妙な友情。
「アジョシ」は韓国語でずばり、おじさん。ウォンビン演じるテシクは、自分を〝アジョシ〞と呼んで慕ってくる隣家の少女ソミがうっとうしい。窃盗を疑われた自分を見捨てて背を向けたテシクに『アジョシを嫌いになれない。アジョシしか好きな人はいないから』と言うソミ。そんなソミが犯罪に巻き込まれ、テシクが危険を顧みず救出に向かうのは、自分を見つめた彼女の瞳が忘れられなかったからだろう。おじさんは少女のまっすぐな瞳を裏切れない！
「アジョシ」（2010）
犯罪に巻き込まれ拉致された少女を救い出すため、暗殺者テシク（ウォンビン）は単身、巨大組織に立ち向かう。
一途な少女の思いをしっかり受けとめるのは「トゥルー・グリット」のおじさんも同じだ。酒飲みでだらしのない保安官と、父殺しの犯人を追う少女マッティ。力がモノを言う開拓時代の西部で、最初は犯罪者の追跡にしぶしぶだったおじさんが、やがて少女のために本気を出す。少女はおじさんをつき動かす原動力になるし、頼り甲斐のあるおじさんの姿は少女の人生にやがて大きな影響を与える。
「トゥルー・グリット」（2010）
父を殺した犯人を討つため少女（ヘイリー・スタインフェルド）が雇ったのは、不愛想で大酒飲みの保安官だった。
「X-MEN」のヒーロー、ウルヴァリンの最期を描く「LOGAN／ローガン」で、彼が命を懸けて守ろうとするのはひとりの少女。ウルヴァリンと少女を指して『きみと彼女は似ている』という言葉が出てくる。おじさんと少女にかぎらないけど、似たもの同士は年齢性別を越えて引きつけ合うもの。未来に思いを託すおじさんの遺志を継いで少女はどんな道をたどっていくのだろうか。
「LOGAN ／ローガン」（2017）
X-MEN最強の男ウルヴァリン（ヒュー・ジャックマン）とミュータントの少女は、果てなき逃避行を続ける。
