LA在住の映画ジャーナリストとして活躍中の筆者が、“SCREEN”のインタビューなどで毎月たくさんのスターに会っている時に、彼らの思わぬ素顔を垣間見ることがあります。誰もが知りたい人気者たちの意外な面を毎月一人ずつお教えする興味シンシンのコーナーです。今回は「ロケットマン」にてエルトン・ジョンのマネージャー、ジョン・リード役を熱演したリチャード・マッデンに直撃!

成田 陽子
ロサンジェルス在住。ハリウッドのスターたちをインタビューし続けて38年。これまで数知れないセレブと直に会ってきたベテラン映画ジャーナリスト。本誌特別通信員としてハリウッド外国人映画記者協会に在籍。

セックスシーンは相手が男性でも女性でも好んでやりたいシーンではないよね

リチャード・マッデンが世界的に注目されたのは「ゲーム・オブ・スローンズ」のロブ・スタークを演じた時。しかしその前は人気テレビシリーズに出たり、舞台で「ロミオとジュリエット」などを演じて、英国内では若い女性たちの〝ハートスロッブ〞(心を沸かす)アイドルだった。

昨年はNetflixの「ボディガード守るべきもの」で政治家のボディガードに任命され、美しい大臣とのロマンスも展開というスリリングなドラマに主演してゴールデングローブ男優賞を受賞、そして今年は「ロケットマン」のエルトン・ジョンのマネージャー、ジョン・リード役を熱演、私生活ではモデルのエリー・バンバーと2017年から交際していたが昨年の暮れに別れたそう。

画像: 「ロケットマン」

「ロケットマン」

『「ロケットマン」での歌うシーンには閉口した。僕は演劇学校でわざと歌と踊りのレッスンは避けたんだ。絶対にミュージカルなどに出ないと決意していたから。「シンデレラ」でダンスのシーンがあったけれどあれも冷や汗モノだったね。今回はビートルズで有名な〝アビー・ロード・スタジオ〞で発声などの訓練を受けて挑戦したんだよ。

タロン(エガートン)とのセックスシーンは物語の上で非常に重要だから勇気を出してベッドイン。タロンの眼鏡を優しくはずすところなど先輩としての思いやりがこもっていると思わない?タロンはエルトンになりきっていたから恥ずかしいなんて気にはならなかった。

どうしてヘテロの男優ばかりがゲイの男を演じるのかって?役にふさわしい演技のできる俳優が配役されたのであって、ゲイの俳優がゲイの役をしなければならないっていうルールはないだろう。ベッドシーンは相手が女優でも男優でも気にならないけれど、好んでやりたいシーンではないことは確かだね』

僕のスコットランド訛りとタロンのウェールズ訛りで張り合ったりもしたよ

『今回演じたジョン・リードは、僕と同じ病院で生まれたというスコットランド人としてもすごく身近な人で、僕がいつも喋っているスコットランド訛りでオーケーって言われて、俳優になってはじめて僕の生まれながらのアクセントで話せるって最初は喜んで、ずっと撮影中お国訛りでセリフを言っていたんだ。

ところが製作の方からリチャードが話している言葉が全くわからないから、もっと普通のアクセントにするように、っていう指示が来て、もう少し一般的なスコティッシュ言葉に変えなければならなかった。もっともニュースフィルムなどを見るとジョンも世界的なマネージャーとなってからは、もっと普遍的なアクセントを使って話していた。

しかし僕らにとって自分の地方の言葉で話すっていうのはすごく嬉しいことなんだ。今でこそこうやってスタンダードに近い英語を喋っているけれど、シャンペンが入るととたんに強いアクセントが出てきてタロンのウェールズ訛りと競り合ったりする。

小さい頃からエルトンの大ファンだった。「サークル・オブ・ライフ」なんか大好きだな。両親もエルトンが大好きで家ではみんなでよく曲をかけていたものだった。僕自身が演じたい歌手は何と言ってもフランク・シナトラ。彼の若い頃からの生き方などを映画でやってみたいなあ、とよく思っている。セクシーで男らしくて、粋で、かなりワルで、世界中の人を魅了する素晴らしい声を持っているシナトラの映画、誰か企画してくれないかなあ!

カンヌ映画祭で「ロケットマン」が上映された時、後ろに座っていたタロンがずるずる鼻をすする音が聞こえてきて、そのうち周りの関係者たちが一斉に泣きはじめて、僕も一緒になってうるうるしてしまった。エルトンの曲のパワーってさすがだなあって改めて音楽、いやアートの影響力に感銘してしまった』

ちなみに映画「栄光のル・マン」で、スティーヴ・マックイーンがしていたという腕時計の周年記念特別バージョンのごっつい時計をもらったんだよ!と自慢気に見せてくれた。

Getty Images

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